夜明け前、人陰の少ない中央線ホームに酒に酔った大人達の声が聞こえる
これから19時間にも及ぶ旅がはじまる。
列車は寝静まった街の中を走っていく
ちょうど日野あたりだっただろうか、空が赤く染まり始めた。
車内はこんな時間にも関わらずたくさんの人が肩を落としていた
八王子についたのは6時30分頃
登山客がホームに溢れている。時は12月。雪がちらつく季節、冷たい風が指先を冷やす。
ロングシートをたたえた列車はほぼ定刻通りにホームにやってきた。これから3時間お世話になる車両だ。
先頭車両に席を確保し、しばらくすると列車はドアを閉じた。
列車は小仏を通り山の中へ入っていく。窓ガラスは薄汚れていて外の景色の中に点を落としていく。
笹子のトンネルを抜けると赤石山脈が連なって見えた。私が急いで写真に収めようとしていると、近くにいた子連れの男性が
『この先でもっと綺麗に見えるからそんな焦らなくていいのよ』
話はほとんど止まらず列車は進んでいった
雪化粧した山と青すぎる空は美しかった
走る展望台は大きなカーブにはいった
車内に歓声が広がる
つづく