『風ノ旅ビト』
対応ゲーム機 ―→ プレイステーション3(ダウンロード専用)
配信開始日 ―→ 2012/03/15
配信価格 ―→ 1,200円(税込)
ジャンル ―→ アドベンチャー
プレイ人数 ―→ 1~2人
└→ インターネット通信プレイ ―→ 2人
CERO(対象年齢) ―→ A(全年齢対象)
■====== 簡単なご紹介 ======■
これまで『flOw(フロー)』や『Flowery(フラアリー)』など、独創的な作品を提供してきた開発チームによる、新作アドベンチャーゲームです。
言葉の存在しない世界。目の前に広がる砂漠。ところどころに存在する、何かの名残。先に進む手がかりを探しながら、奥地へとどんどん足を踏み入れていきます。
とりあえず、操作だけ説明しますね。
左スティックで移動。右スティック、もしくはコントローラを傾けると、カメラ視点を操作。
○ボタンを押すと、何やら不思議な波動を発します。長押しで溜めて離すと、より広範囲に広がります。これによって反応するポイントがあるので、探してみましょう。
また、随所にお札みたいなものが漂っています。近寄ると、身に着けているマフラー的なもの?にお札が吸い込まれて、パワーが溜まります。
この状態で×ボタンを押すと、浮遊することができます。押している間はずっと上昇しますが、パワーがなくなれば落下してしまいます。
お札の集まりに○ボタンの波動を当てると、一気に吸い寄せられてプレイヤーが浮遊します。
基本的な操作はこれだけ。
これだけで、先に進む手がかりを見つけ、道を切り開いていきます。
なお、ゲームオーバーという概念はないようです。
あと、今作はいくつかのチャプター(区切り)があります。
すでに通ったことのあるチャプターには、オプションからチャプター選択エリアへ移動して、自由に選ぶことができます。
※チャプター選択エリアに移動すると、セーブされていない現在の進行状況は消えるので注意しましょう。
■====== partygameの評価 ======■
○=良い △=まあまあ ×=悪い
◆=== 参考データ ===◆
プレイ内容 ―→ シナリオクリア
シナリオクリアまでの目安 ―→ ●○○○○
●○○○○ = 10時間未満
●●○○○ = 10~20時間
●●●○○ = 20~30時間
●●●●○ = 30~50時間
●●●●● = 50時間以上
備考 ―→ 途中までオンライン、途中からオフライン
◆=== グラフィック・サウンドについて ===◆
○ ―→ 表現力と広大さがプレイヤーの目を惹きつけます。
リアル志向のグラフィックではなく多少メリハリの利いた色調ですが、砂漠とかの、風などによる砂の流れとかが怖いくらいに自然。
そして、どのマップも広い。簡単に迷えそうなくらい広いです(笑)
何やらこっそりと、収集要素みたいなものも隠れているようなので、探究心をくすぐります。
○ ―→ サウンドによるアクセントが随所で光ります。
場面や状況によって、音楽が変わる様がすごくいいですね。昨今の『ゼルダの伝説』シリーズみたいな感じです。
この作品は「言葉」が存在しない作品なので、音楽による表現が、より強い存在感を示しています。
△ ―→ 見たら分かるかと思いますが、地味です。
最後のほうはテンション上がりますが、序盤は分かっていることも少ないだけに、少々退屈に感じるかもしれません。
そこはまあ、とりあえず歩を進めていってみてください。どこかで印象が変わる…かもしれません。
◆=== 操作について ===◆
△ ―→ 良くも悪くも、シンプル操作。
基本的には、移動と○ボタン・×ボタンだけ。ファミコンでもやろうと思えばできる操作スタイルなので、誰でも分かりやすいかと思います。
ただ、モーションコントロールによるカメラ操作は、別になくても良かったかな…という印象です。まあ、なくてもいいなら、あってもいいじゃん!とも言えますが(苦笑)
○ ―→ 疾走感を得られた時の気持ちよさが、いいですね。
お札をたくさん付けて、すごく高くジャンプしたり。ある程度坂になっている地面は、スーッと滑り降りていったりします。
本来は行動にけっこう制限があったりする反面、ダイナミックに行動できる時の喜びが、より強く感じられます。
◆=== ゲームの根本的なスタイルについて ===◆
○ ―→ プレイヤーの想像力を、かきたてます。
ここは、言葉のない世界です。ゲーム中は(操作説明やメニューを除いて)一切言葉が出てきません。
そんな中で、周りの景色とか表現とか、あるいは何らかの幻想とか音楽とか。そういったもので、ユーザーの想像力を刺激します。
おそらく、この作品を遊んだ人たちに「これはどういう物語でしたか?」と問うと、十人十色の答えが返ってくるのではないかと思います。もちろん、ここで語ると壮絶なネタバレになるので、言いませんが(笑)
それくらい、どうとでも取れるということです。良く言えば想像力をかきたてる。悪く言えば、曖昧であるということになります。
しかし、個人的にはこれは”明確にそうしている”という意図が分かるので、曖昧だと受け取る人は少ないと思っています。
どう捉えるかは人それぞれですが、とりあえず”言葉のない世界”であることだけでも理解しておくといいでじょう。
○ ―→ 道しるべは、そこはかとなく。
ハッキリと分かるわけではありませんが、何となく次に進むべき道や場所が、分かるようにはなっています。
謎解きとまではいわないものの、単調になってしまいがちなこの作品においては、いいアクセントではないでしょうか?
△ ―→ とはいえ、やはり単調かな~と。
ギミックは色々とありますし、その表現力も高いのですが、死ぬこともないですし、そこまでたいしたデメリットもないので、何となく緊張感が薄いのです。
なかにはけっこうドキドキする場面もありますが、例えばチェックポイントまで戻される、みたいなのがあるだけでもさらに緊張感が作れたような気がします。
ま、あくまでゲームではなく映像作品であることを貫いた結果なのかもしれませんね。
△ ―→ オンライン要素は、本当に申し訳程度です。
簡単に言うなら、『デモンズソウル』や『ダークソウル』で、他のプレイヤーの行動が白い幻影となって見えるアレ。そんなレベルです。
プレイしていると、突然自分以外のプレイヤーが近くにいます。しかし、言葉のない世界ですし、明確な攻撃や協力といった行動ができるわけでもなく、干渉はほとんどできません。というか、できること自体が限られていますからね。
それでも、多少なりとも助け合うことはできる気がします。自分以外のプレイヤーが○ボタンで反応させたギミックを、自分も利用できるとか。相手に付いていくことで、先に進む道が分かるとか。
簡単にいうと、オンライン要素はなくても全然問題ありません。あれば、ちょっとだけ嬉しいという感じです。
■====== 得点とまとめ ======■ … 75点(100点満点)
広大感。虚無感。言葉のない表現力で、プレイヤーに様々な刺激を与え、想像させてくれる作品です。
ゲームというよりは、”自分が主人公になれる映像作品”といった感じですかね。
正直、評価するのが難しい作品です。
ボリュームはほとんどないですし、ゲーム性もほとんどない。進む道は基本的に決まっていますし、ゲームオーバーの概念もない。1,200円が高く感じてしまうものです。
じゃあ何を楽しむのか?と言われると、ただただ”見て進んで何を感じるか?”を楽しむということです。
言うならば、小説みたいなものですね。小説は文字しかなく、頭の中で自分なりに映像を想像します。
この作品は逆です。映像しかありません。映像を見て、頭の中で映像にあるキーワードや物語を想像するのです。
ま、そんなわけで、何も考えずにアクションで一騎当千したいような人には、オススメできません。
逆に、それこそ小説が好きな人とかだったら楽しめるんじゃないでしょうか?
便利で親切になってきたおかげで、想像の余地が少なくなった昨今のゲーム。それにモヤモヤしているような人は、買ってみて、想像の膨らむ世界を楽しんでみてはいかがでしょうか?
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