ロックダウンが段階的解除になってから、フランスでもマスク姿で外を歩く人が多くなりました。 実はこれ、フランス人にとってはなかなかの意識革命なのです。
以前はインフルの季節に多少ゴホゴホしていようと、花粉症の季節でズルズル、クッシュンであろうと、フランスで外でマスクをしている人はまずいませんでした(涙)。 文化の違いとしか説明のしようがないのですが、こちらでは「顔を隠している」こと自体がまずは非常に怪しいことで、ましてやマスクは病気(うつる危険)の印であり忌むべき姿… みたいな感じだったのです。 だから多少ゴホゴホ、ズルズルしていても、周囲の社会的不安を掻き立てるネガティヴなイメージしかなかったマスクの着用はまず考えられなかったのです。 マスクは自分を守る為だけでなく、周囲に菌を撒き散らさないための配慮(エチケット)として着用するものだ、という理解も社会的にポジティブなイメージもなかったのですね。 なので意外にガンコな夫など、未だにマスクを付けて外に出るのはかなりの抵抗があるようです。 。。
でも新型コロナのお陰で、マスクはようやくフランスでも市民権を獲得しつつあります!
ちょっと前まで品薄で市販のマスクがなかなか購入できなかったこともあり、最近はこちらでもマスクの手作りが普及して、オシャレな布マスクを付けて歩いている人も少なくありません。 パリではないですが、ロンドンに住むある友人など、美しく染められたインド綿で手作りしたマスクをしていたらご近所でカワイイ!と評判になり、今や一人では捌き切れない程の注文を受けるまでに。 マスクが必要な病院や施設からの注文のほか、自分のドレスと同じ布地でマスクを作って欲しい!など、色々な注文があるそうです。
ロックダウン解除後のフランスでは公共交通手段を使う場合のマスクの着用が義務となり、自治体によっては日本のように無料マスクを市民に配布しています。 ちなみにパリ市は住民が多過ぎるせいか、残念ながら市民への自動的なマスクの無料配布は行われていないようです。
さて、我が家のあるクールブヴォワ市はどうだろう?と市役所に問い合わせたところ、市民へのマスクの無料配布を少しずつ進めていて、マスク作りのボランティアを募集しているとのこと。 つい先日パリ市在住の友人たちが、病院で不足している使い捨ての医療用上っぱり(ブルーズ)の代用品を、ゴミ用ポリ袋で作るボランティアをしていると聞いて、おお、なんと素晴らしいことよ!と感心し、自分の役立たずを恥じていた矢先。 ここはひとつ私もいち市民として少しでもお役に立たなければと、自分の超不器用をすっかり忘れてすぐさまボランティアに応募。
翌日さっそく市役所の担当者から電話があり、必要な材料はこちらで準備してあるので、作り方の説明書を付けた制作キットを渡すから取りに来て下さい、とのこと。 指定された月曜日の朝に市役所の窓口に受け取りに行くと、「はい、じゃあ来週の月曜日に持って来てね」と、リストにある私の名前をチェックしてキットを渡してくれた好青年。。。 え?手縫いマスク50枚を1週間後は私にはちょっとキツイかも… とたじろぎながらも、「あは、出来るだけやってみますね」と笑顔でお茶を濁して帰宅。 もしや自分のキャパでは無理なことを引き受けてしまったのでは?と、恐る恐るキットの中を除くと、中にはマスク50枚分の正方形に切られた2種類の白い布の束と耳掛けゴムの束、そしてミシン糸のボビンが。 同封の作り方も当然ミシン仕様。 ミシンありますか?なんて聞かれなかったけど、そりゃあそうよね、マスク縫いのボランティアはミシン持ってるが前提よね!と、自分の間抜けさに一瞬呆然。 困ったなあ…、手縫いでもよければやってみますが、お急ぎだったらキットをお返しします、と担当者にメッセージを残したのですが、今のところお返事は頂けず。。。
毎日ぽちぽちとマスクの手縫いを楽しんでいます。 でもあまりにも不器用で一日に1〜2つしか作れません!(笑)
皆さま、どうぞご自愛下さい。