こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
一人暮らしの方から、自身が認知症になったときのことを心配しているという相談を受けましたので、その対策について取り上げたいと思います。
その相談者の方は新築の自宅を所有していますが、自身が認知症になって施設に入所することになった場合は、自宅を売却して施設入所費用に充てたいとのことでした。
仮に事前に何の対策もしなければ、認知症が発症して本人の判断能力がなくなった場合、家庭裁判所によって【成年後見人(法定後見人)】が選任されることになります。
成年後見人には本人の身内が選任されるとは限らず、弁護士や司法書士などのまったくの第三者が選任されるケースも多く見られます。
そして、弁護士や司法書士などの専門職が選任された場合、もちろん報酬が発生します。
本人の財産額によって報酬は異なりますが、最低でも月2万円の報酬が発生することになります。
認知症の事前対策をしていなければ、専門職後見人が選任される可能性も高く、その場合、専門職後見人が家庭裁判所の許可を得た上で自宅を売却して、施設入所費用に充てることになります。
ただ、現状では、成年後見制度を利用すると、本人が死亡するまで成年後見を止めることができない制度設計になっています。
本人としては、自宅を売却して施設入所費用に充当してもらい、施設との入所契約を締結してもらった段階で成年後見の利用を終わらせたいと思っても、それができない制度設計になっているということです。
さらには、専門職が成年後見人に選任されている場合、本人が亡くなるまで継続的に報酬を支払わねばならないことになります。
しかも、真摯に仕事をしない専門職後見人も散見されるところです。
この点、現に成年後見制度を利用している本人の身内の方々が、非常に大きな不満を抱いているケースが多々見受けられます。
現状、成年後見制度には以上のような問題点があり、法改正が検討されているところです。
成年後見制度の利用を回避する方法の一つが任意後見制度ですが、任意後見制度については次回のブログで取り上げたいと思います。