名松線に乗ってみた

　　　今朝は町内の公園の掃除。７時からボーボーに伸びた草を引くこと１時間。皆さんの力でスッキリきれいになりました。家に戻ると夫は庭にいて、からんだ朝顔のつるを誘引したり、ミントを切ったりしていました。職場の敷地に植えるべく、落ちた種から勝手に育ったムクゲの木を掘り起こしてかなりヘロヘロになった様子です。
　　　そんなことができるのも、風がさわやかに吹く秋らしい気候になったから。陰影をきわだたせるクリアな光も秋らしい。そうそう、今日は産直で栗も買ってきたのです。

　秋の味覚

　　　昨日は、山で、実をたわわにつけた栗の木をたくさん見ました。山の栗はまだ緑色のまあるいイガに包まれていて、収穫はまだみたいでしたが、なにかが木に生っている光景はすごくウキウキします。
　　　山というのは、名松線で訪ねた美杉村。車ではしょっちゅう行っていますが、電車に乗って行ったのは初めてです。夫の青春１８きっぷを使って、夫とトコトコと片道１時間半の旅をしてきました。

　空がもう秋だねぇ

　　　土曜日ということもあり、電車マニアの男性（中高年が多かった）がほとんどで、女性はわたしともう一人の方との二人だけでした。子どもみたいに、窓の外をポテチを食べながら嬉しそうに眺めるおじさんだとか、止まる駅を全部カメラにおさめる神奈川から来た男性とか、車窓の風景より、乗り鉄の皆さんの生態に興味がいってしまいました。ポロシャツ、リュック、野球帽系が多かった（あら、夫も同じ系統）。



　　　伊勢奥津駅に着いて、予定どおり、美杉と言えばいつも立ち寄るカフェ「はるのん」さんに行きました。いつもはケーキと珈琲ですが、昨日はお昼近かったのでサンドイッチを注文しました。パンはご主人がオールブランの粉で焼いていて、卵は美杉産。ハムは鎌倉ハムの無添加ハムと、こだわりの素材だけあって本当においしかったです。この日の珈琲はパプアニューギニアの豆で淹れてくださいました。パプアニューギニア！美杉村でパプアニューギニアの豆に出会うとは思わなかったよ。

　　サンドイッチはレギュラーとハーフを注文

　　　　下りの電車の時間に合わせてゆっくりくつろぎました。庭に面した南側の窓と道路に面した北側の窓を開けているので、心地よい風が通り抜けます。下の方の町よりかなり涼しくて、外ではトンボもたくさん飛び交っていました。そういえば「はるのん」さんにはクーラーがありません。クーラーなしでこの夏の暑さが大丈夫だったのか、奥さんに聞いてみると、扇風機とうちわでなんとかしのいだとのこと。たぶんこの建物だったらしのげます。風の通り道とか、大きな屋根とか、昔の知恵がそのまま残っているお屋敷だから。

　暗くてスミマセン　街道側の窓

　　　来た時電車で一緒だった若い男のコが入って来て、お客さんは二組になりました。一緒に電車でやってきた他の人たちはどこに行ったのかな。次の下りですぐに引き返したのかもしれません。乗り鉄って、終点に到着するだけで満足なのかな。「制覇」みたいな。

　　　「はるのん」さんの奥さんに近くに陶磁器の窯ができたと聞き、行ってみることにしました。「十瑠窯」さんです。お昼どきだったので迷惑かなと思いましたが、若いご夫婦が二人そろって出てきてくださいました。波佐見焼や有田焼の技法で作る染付陶磁器の工房とのこと。（波佐見焼って、息子が母の日に贈ってくれた猫ちゃんのお皿がそうでした。）


　　　江戸時代の蕎麦猪口が好きで、その時代の蛸唐草とか芙蓉での文様を描いているとのお話を聞きました。実際、描かれたものも見ましたが、すごくモダンで素敵でした。
　　　お二人は東京出身と聞いて、なぜ美杉村に工房を作ることにしたのかすごく気になりました。全国を探して歩いて、ここに決めたのだそうです。いきなり訪問したのに、いろいろお話してくださって、本当に楽しい時間を過ごすことができました。ちょっと（かなり？）さびれたように見える伊勢本街道の奥津宿ですが、「はるのん」さんや「十瑠窯」さんを目当てに訪れる人が増えて、活気が戻ってくるといいなと思います。少なくともわたしは何度でも伺いたい場所ができてすごく嬉しいのです。

　街道にはこんな建物もあるのです

　　　　下りの電車も１時間半。（山から下りるのだからスピードアップできそうだけれど、というのは素人考えなのね）旅はここで終わらず、乗り換えて、伊勢の外宮まで行くことになりました。三重県に住んでいますが、わたしは外宮さんにお参りするのは初めてです。
　　　　ちょっと緊張しつつ、厳かな気分でお参りをして、また電車に乗って帰ってきました。電車に乗っている時間はすごく長かったけれど、素敵な人との出会いがあったし、外宮さんをお参りすることもできたし、（サンドイッチもおいしかったし）良いお出かけとなりました。