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昨日、船越桂「私の中のスフィンクス」展を観に行きました。
冷たい風が吹く中、駅から美術館までずっと続く上り坂をどんどん歩いて行きました。
駅のエスカレーターも使わず、階段も一気にあがるという体力以上のことをして、変なアドレナ
リンが出ている感じ。
会場は不思議な雰囲気。テーラーなどにあるボディのような上半身だけの彫刻が、ぽつんぽつん
と置かれていて、それがあちらを向いたりこちらを向いたり。
一個一個の作品でありながら群像のようで、しかし決して視線を合わせず、皆遠くのなにかを見て
いるようで見ていないよう。
変な例えですが、雨の奈良公園の鹿みたいな…。
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ひとつひとつを至近距離でぐるっと回って観ることができて、思わず触ってしまいそうな衝動に駆
られますが、それは我慢して(当たり前です)、美しい横顔や美しい耳もじっくり記憶に留めるこ
とができました。
最近の作品、女性像も素敵でしたが、わたしが一番好きなのは、割合初期の「冬の本」という作
品です。シンプルでしなやか。
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船越桂さんの作品の前に、わたしはお父様の船越保武さんの作品に出会っています。
高校生のとき、学校帰りに立ち寄った岩手の地元の本屋さんで、船越保武さんの作品の写真集を手
にとりました。 静かでやさしく、気品のある美しさに、強く心をとらえられました。
実際の作品には、大学生のときに、父の単身赴任先の二戸を訪ねた帰り、盛岡の岩手県立美術館
で出会うことができました。
それから社会人になって、長崎でも。
船越保武さんが岩手の出身で、息子さんの桂さんも盛岡生まれであるということも、興味をひかれ
る理由ですが、どちらも、静かであるけれども強さを内包しているところに魅かれます。
「冬の本」の絵葉書と、読んだことのない須賀敦子さんの本(桂さんの彫刻が表紙)をミュージ
アムショップで買って帰ってきました。
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五年前の今日、東北で震災がありました。
テレビから流れる東北の様子に驚いて、岩手の母に電話をし、一度だけつながって無事は確認でき
たけれど、それから十日間不通になり不安を抱えて過ごした日々を思い出します。
めったに聞く事のなかった懐かしい方言が、悲しい状況の報道でたくさん聞くことになって、余計
に悲しかったです。
わたしの故郷は、地震による直接的な被害はそれほどでもなかったのですが、それでも、帰る度に
町が寂れていくようで、土埃をあげて大型トラックが行き来するだけの町を、さびしく眺めています。
冷たい風が吹く中、駅から美術館までずっと続く上り坂をどんどん歩いて行きました。
駅のエスカレーターも使わず、階段も一気にあがるという体力以上のことをして、変なアドレナ
リンが出ている感じ。
会場は不思議な雰囲気。テーラーなどにあるボディのような上半身だけの彫刻が、ぽつんぽつん
と置かれていて、それがあちらを向いたりこちらを向いたり。
一個一個の作品でありながら群像のようで、しかし決して視線を合わせず、皆遠くのなにかを見て
いるようで見ていないよう。
変な例えですが、雨の奈良公園の鹿みたいな…。
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ひとつひとつを至近距離でぐるっと回って観ることができて、思わず触ってしまいそうな衝動に駆
られますが、それは我慢して(当たり前です)、美しい横顔や美しい耳もじっくり記憶に留めるこ
とができました。
最近の作品、女性像も素敵でしたが、わたしが一番好きなのは、割合初期の「冬の本」という作
品です。シンプルでしなやか。
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船越桂さんの作品の前に、わたしはお父様の船越保武さんの作品に出会っています。
高校生のとき、学校帰りに立ち寄った岩手の地元の本屋さんで、船越保武さんの作品の写真集を手
にとりました。 静かでやさしく、気品のある美しさに、強く心をとらえられました。
実際の作品には、大学生のときに、父の単身赴任先の二戸を訪ねた帰り、盛岡の岩手県立美術館
で出会うことができました。
それから社会人になって、長崎でも。
船越保武さんが岩手の出身で、息子さんの桂さんも盛岡生まれであるということも、興味をひかれ
る理由ですが、どちらも、静かであるけれども強さを内包しているところに魅かれます。
「冬の本」の絵葉書と、読んだことのない須賀敦子さんの本(桂さんの彫刻が表紙)をミュージ
アムショップで買って帰ってきました。
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五年前の今日、東北で震災がありました。
テレビから流れる東北の様子に驚いて、岩手の母に電話をし、一度だけつながって無事は確認でき
たけれど、それから十日間不通になり不安を抱えて過ごした日々を思い出します。
めったに聞く事のなかった懐かしい方言が、悲しい状況の報道でたくさん聞くことになって、余計
に悲しかったです。
わたしの故郷は、地震による直接的な被害はそれほどでもなかったのですが、それでも、帰る度に
町が寂れていくようで、土埃をあげて大型トラックが行き来するだけの町を、さびしく眺めています。