「暴れん坊将軍」吉宗が弱いモノ・・美女と子供だ。けさの主役は子供だった。植木職人、髪結いの子供である留吉(坂根慶佑)は、なんと、江戸城のお堀の鯉を取ろうとしていた。城外からだったが、偶然それを見つけた徳田新之助(吉宗)は留吉に近づき、「何をしているのか」と聞くと「江戸城の鯉の生き血をおとうに飲ませて、病を治したい」と屈託なく答える。

かつて、江戸城の鯉を獲った者が死罪になったこともあることを大岡忠助(横内正)に聞かされると、吉宗は首をかしげる。留吉は懲りずに堀端に現れるが、そこに寄って行った吉宗は、「ここじゃ釣れないぞ。城内で釣ってみないか?」と持ち掛け、吉宗が城を抜け出す時に使っている抜け道を使って城内に招き入れる。

吉宗と一緒に大きな鯉を捕まえた留吉はとても喜ぶ。母親・おとき(東千晃)もビックリ。

しかし、悪者はどこにでもいる。吉宗に解雇された元作事奉行は悪徳口入屋(今でいえば人材派遣業)と組んで、吉宗に一泡吹かせようと江戸城の御金蔵にある300万両の強奪を狙っていた。城内への秘密の抜け道を知った留吉に目を付け、妹ともに誘拐する。新之助との約束で秘密にすることにしていた留吉は口をつぐむが、妹を痛めつけられるのを見て、言ってしまう。
高笑いをする元作事奉行らの前に、現れたのは新之助。幼い子は御庭番(密偵、忍者)により保護される。吉宗は何の苦もなく成敗した。
後日、留吉は将軍から、鯉を捕まえる新しい器具を作った(吉宗が半分以上手伝ったのだが)ことを理由に褒美を受けるが、それを祝いに来た「め組」に混ざっていた新之助を見つけると、
「ちょっとこっち来て」と外に誘う。そして、「おいら知ってたんだけどさ、徳田さんって将軍様なんでしょ?」と、なんともストレートに問う。吉宗は、うなづきながら「そうだよ」と答え、「これも約束だぞ」と秘密にすることを笑顔で指切りをする。

オレが観ている限り、新之助の正体を見破ったのは、美女一人と子供二人だと思う。指摘されてそれを認めるあたりも、吉宗の人間性を表しているように思った。