プッチンプリン。
1972年の発売だそうで、去年発売50周年を迎えたようです。
頻繁に食べていたかどうかは、記憶の果てですが、わざわざ裏側をプッチンしてお皿に出して食べるより、蓋を開けてスプーンを突っ込んでたべる事が多かったような気もします。
カラメルソースは底になりますが、そんなの関係ない。
やわらかい食感と甘さのハーモニ・・カ 笑
お菓子やデザートの種類も今のように多くはなかった時代の、画期的おやつだったようにも思います。
プッチンの話に入ります。
私が初めて就職したのは、新宿にある大きな書店でした。
出納課に配属され、売り場でレジを打って、計算してまとめて経理課に持って行くまでの仕事をしておりました。
書店でレジ。
希望は、児童書とか自然科学などの棚の担当をしたかったので、大変不本意ではありましたが、当時はそろばんで売り上げを計算していた時代(昭和でござる)。
たまたまそろばんの級を持っていたので、出納課に配属になったのだと思います。
日によって、色んな売り場のレジを担当をしました。
なので、それはかえって、色んな本に触れる事の出来るチャンスでもありました。
そんな中、美術書とか映像関係の本の売り場だったかな。
そこの担当は、今でも名前を憶えているのですが、Hさんというとても面白い男性社員でした。
お客様がいない時に、Hさんは、カウンターの中のレジの脇で、本にかける紙のカバーを折ったりしながら、色んな話をしてくれるのです。
ある日、友達のアパートで、仲間とお酒を飲む話になりました。
男友達の家にはまともな食器などはなく、瓶のビールは、プッチンプリンの空き容器で飲まされるのだそうです。
友達はずぼらなくせに、プッチンプリンは、わざわざプッチンして食べていたそうで、すべてのカップの底には穴が開いていて、
ビールを注いだら急いで飲まないと漏れてしまうので、ピッチが速くなって、いつもベロベロに悪酔いするのだ、と大きな目を半月型にして、面白おかしく話をしてくれました。
私は、穴を指で塞げばいいんじゃないですか、と言ったような言わなかったような。
プッチンの穴が開いててもあいてなくても、若いHさんたちは同じようなペースで飲んだんじゃないでしょうか。
今でもプッチンプリンを見ると、Hさんの大きな目とその話を思い出します。
確か私より幾つか年上だったHさん、いつもはひょうきんでいい加減な人に見えても、困った時にはさりげなく助けてくれるいい人でした。
どんな高齢者になっておられるか。元気でおられるのかなあ。
因みに、恋愛感情は一切なく、よい先輩として慕っていた人です。
出来る事なら再会して、プッチンプリンのカップでビールを飲んだ話を覚えているか、聞いてみたい。
余談ですが、その昭和50年代、まだまだ紙の本が主流だったこともあり、書店はいつも賑わっていて、混んでいる時のレジ打ちは戦争のようでした。
順番ではなく、カウンターに並んだ店員数名が、時間差こそ少しはありましたが、預かったお金を差し出し、本の金額を告げるのです。
聖徳太子のごとく、一瞬にして何種類かの預かり金と本の代金を頭に入れ、レジに本の代金の金額を打ち込んで、自分の頭で釣りの計算をしてお皿に置く。
なので、混みあった日には、計算間違い、つり銭間違いで誤差が出ることもありました。
そんな時は、レジに戻って机やカウンターの下を探すのです。
すると、硬貨やお札が落ちている事もありました。
計算ミスだけではなく、お金が落ても気づかないほど混みあっていた日もあったということです。
10円20円の差額は、とりあえずは許されるものの、1000円以上の誤差は、顛末書です。
始末書じゃなくて、顛末書、といっていました。
通路には人があふれ、土日など駅のホームみたいになることもありました。
今はそんなことはないでしょうね。
当時は、新宿の待ち合わせ場所としても有名な書店でした。
さらに余談ですが、出納課には、私の他に地方出身の社員はいませんでした。
お金を扱う部署なので、一人暮らしの社員を担当させるのを控えていたからではないか、と聞いた事もありました。
つまり、不正を案じて、だということでしょう。
出納課は女子ばかりの課で、課長は社長の弟さんでしたが、課長も先輩も私をかわいがってくださいました。
花の出納課は、美人ぞろいで(笑)他の課の男子社員から、飲み会のお誘いを受ける事も多かったような。
こんな私でも、当時は課や男女問わず、目上の人からかわいがってもらいました。
ほっぺの赤い田舎者が珍しかったのかなあ?
ほっぺのたるんだ今は、誰もかわいがってくれません。
しょぼん。
しょぼんだまとんだ~~♪
過去の栄光と、プッチンプリンの思い出の巻でした。
先日も少しお話しましたが、今はプリンは苦手というか、わざわざ買って食べるような事はありません。
でも、これを書いていたら、なんとなくもう一度、あの優しい食感と甘さに触れてみたくなりました。
プッチンプリンというネーミングを考えた人、素晴らしいなあって、いまさら思いました。
老若男女問わず、これを読んだ皆さんの中にも、プッチン食べたくなった人がいるかもしれないですね。
サイズの大きいものとか、種類も増えたようですよ。
先週土曜日の写真ですが、お散歩路の河津桜が満開でした。
こたろうくんは、花なんかみちゃあいませんが。
ご訪問いただきありがとうございます。
感謝をこめて
つる姫