島での住まいは、定住促進のためのトライアルハウスでした。
島の生活を体験しながら、空家などを探して定住してほしい、という事で全国でも色んなところでこのような取り組みがされています。
長期のホテル暮らしなんぞ、文豪でもない私には到底できませんので、このような施設のある場所を選んでいたら、たまたまこの島にあった、というのが事実で、最初からこの島を目指していたのではなかったのです。
つまり、ご縁があってこの島に来た、ということです。
実は、かなり前から私の中には「愛媛県の島に住みたい」という漠然とした想いがあったのです。
それで初めは愛媛県の島しょ部で色々さがしたのですが、応募に制限があったりして、ここに来ることになりました。
ここ大崎上島は広島県に属します。広島って言えばもともと私の本籍地。地元じゃけえ。それゆけカープ(謎)
30年前のアメリカのように言葉に不自由することもないじゃろうと(笑)
島に着いた日はピーカンでしたが、その後天気が悪い日が多かったお話はしましたね。
その天気がやっと春らしく落ち着いてきた頃、トライアルハウスのキッチンから見える夕陽に誘われて海岸に行ってみました。
島に来てから、この風景を見るたびに
瀬戸は 日暮れて ゆうな~み こ~な~みいい♪
と頭の中や声に出して歌を歌っていたものです。
東京に帰ってきてから、さっそくカラオケに行って、人生初めてこの歌を歌ってみました
(爆)
さて、この美しい夕暮れの日。
島に来て10日が過ぎ、ストレスフリーの生活で夜もぐっすり眠れるようになった頃でした。
すっかりはまったセルフタイマーでの自撮りで、たそがれる自分を撮影して、悦に入っておりました。
ふと、海岸の果てを見ると何やら黒い影が動いています。
?んん?
え?猿??
私は老眼と近眼の入り混じったまなこをこすって、薄暗くなってきた海岸の向こうを凝視しました。
げ!イノシシだ!!
そう思った瞬間、やつはこちらに向かって真っすぐ走りだしました。
やば~~い!
私はすぐさま防波堤の上に駆け上がり、しかし、このスクープは逃さないぞとカメラを構えて、やつを撮影しようと試みました。
デジ一(デジーではありませんよ、デジいちですよ)のピント機能が少し悪くなっていてなかなかピントが合いませんでしたが、何とか一枚。
まさに猪突猛進。
黒い影は脇目も振らずに一直線に目の前を通り過ぎて行きました。
悪意のある獰猛な生き物であれば、私は間違いなくターゲットにされて、命を落としていた事でしょう。
人生伊達に生きて来なかったつる姫は、それでビビって帰宅するでもなく、再びたそがれる。
あの人の残した足跡を見つめて。。
ワタクシめの座右の銘の一つは、百聞は一見にしかず(爆)
イノシシはほんまにまっすぐ走るんじゃ~と思った夕暮なのでありました。
以来私は夕暮れ時の海岸に行くときは、前後左右に気を配り、落ち着きのない様子で夕陽を見るお姉さんになってしまいました。
因みにこの島のイノシシ被害も深刻で、年間700頭が猟友会の人によって処分されるそうです。
それをどうするのか尋ねてみましたが、食べられるのはごくごく一部。
商品や商売にするにも、衛生面保健所の関係などで処理の施設に費用が掛かり、採算が合わないのだとか。
イノシシはああ見えてものすごく身体能力が高くて、1メートルはジャンプできるし、海だってバンバン泳いで渡って来るのだそう。
先日の「にゃだいし様」のお社を囲ってあったあの柵も実はイノシシ除けのためなのです。
ここ、イノシシ君がはいってこにゃくていいにゃあ。
イノシシは夜行性のように思われているけど、本当は人間と同じ時間帯に活動しているみたいです。
クマと同じように耳がいいので音を出しながら歩いていれば、向こうが逃げて行くらしいですが、鉢合わせした場合は大変。
これまたクマと同じく背中を向けないで後ずさりしてその場を離れるのがいいとか。
マイケル・ジャクソンは得意そうですね。ムーンウオークで、ね。
まさかの時のために今日から練習しますか、月歩き。
笑
っても、実際遭遇したらやっぱし夢中で逃げると思いますよね。
島暮らし10日目のこの体験が、この後のつる姫の行動を大きく左右することになったのは事実。
君子(くんし、ですよ、きみこじゃないですよ)危うきに近寄らず。
感謝をこめて
つる姫