☆つる姫の星の燈火☆

#120 夢からつながる青春の思い出

悪夢にうなされることが多かった私。

昨夜は久しぶりにいい夢みた。

目覚めた時に、その夢とは全く関係ないことを思い出しました。

 

もうかれこれ50年も前の事です。

親友と北海道を旅しました。

上野発の夜行列車で青森に、そして青函連絡船で函館、その頃大活躍だった周遊券で、北海道を汽車で回りました。

泊るのはユースホステル。往復はがきで予約してから行くのです。

ネットで、ポチではできませんでした。

スケジュール管理は私が担当。

時刻表とにらめっこしながら、すべての行程をきちんと決めてから出かけました。

この時間からが、私の旅の始まりでした。

 

旅の中盤でしたか、フェリーで礼文島に渡りました。

とまったユースホステルは、「カレーハウス」とも呼ばれ、カレーが名物だったようですが、期待して食したカレーは、玉ねぎも固くていまいちどころかいまさんくらいでした。

煮込みが足りんかったんですなあ。

夜にはみんなが集まって、ハウスの方のギターでみんなで歌を歌ったりして、青春ならではの楽しい時間でした。

その時に、確かギターを弾いていた人が作ったというオリジナルの歌があったのですが、二回ばかり聞いたはずなのに、今でもメロディと歌詞を覚えているのです。

「夢のような旅だった遠い北の国の国の

ぼくは旅の喜びと旅の辛さを知った

こんなつらい旅なんてもう嫌だ、旅に出よう汽車に乗ろう・・・」みたいな。

 

明けた早朝から、島一周ハイキングに出かけました。

と言っても、実質島を半分歩く感じで、途中まで車で行きました。

何十人かいた泊り客は、いくつかのグループに分かれ、行程における注意などを聞いてから、私たちは数人の男子学生含むグループで歩きました。

途中で別グループの女の子がリタイアして、車で迎えに来てもらって帰っていきました。

そんなにきつい山道でもなかった気がしますが、礼文うすゆき草をみたような記憶もあります。

私の大好きな映画のサウンドオブミュージックのエーデルワイスの歌を、頭の中で思い出しつつ。

エーデルワイス エーデルワイス エーブリモーニン ユー グリートゥ ミー

スモール アン ホワイト~~~ ふんふんふふふ~~ん

 

7月の爽やかな山を下って海岸線を歩くころには、北国の陽は傾きかけていました。

海岸線までくると、波が押し寄せていて、波の来ないゴロゴロした石や岩の上を選んで歩かなければならず、男子の手を借りて岩に上ることもしばしば。

俺は男だ、任せとけ!と、俄然張り切って手を伸ばしてくれる男子。

おらがおらが、と手を出してくる男子の、いずれかを選ぶ権利はメスにあり。

とはいえ、うら若き乙女、手を引いてもらうには、相手がイケメンじゃなくてもドキドキしたものです。

その時、女子の手を引くのを最初から拒んでいた、首からカメラをぶら下げていた男子が、岩場で滑って水の中にしりもち。

彼は、自分が転んで濡れるよりも、大事なカメラを必死で頭上に持ち上げていた。

セーフ!女子よりカメラ。

チームの中でもちょっとさえない感じの男の子でしたが、みんなに笑われて、照れていました。

そんな危ない岩場を抜けてから、みんなで形の良い岩を選んで座り、水平線を眺めました。

まさに陽が沈むころでした。

その水平線が、きらきらと輝き始めました。

私は思わず「光ってる・・・・」とつぶやきました。

誰かが、「うん、光ってる」といいました。

私たちはそれぞれの想いを胸に、水平線を縁取る、揺れる光の煌めきを見ていました。

 

歩く旅は、早朝から日没まで半日かかりました。

ユースの方が迎えに来て、夜はみんなでプシュっと、ではありません。

私はまだ19歳でしたし、酒を飲むという考えなど全くありませんでした。

いつからこんな風になったのか。

水かファンタかなんか飲んでカレーを食べて、歌を歌って安らかに寝たのでしょう。

 

翌朝、ユースの人が渡してくれた赤い紙テープを持って、フェリーに乗りました。

舟が離れていくと、島に残る誰かが防波堤の端っこまで走って、そして、海に飛び込むのが見えました。

あ、あのお調子者の彼だよ。

ドラマの中じゃなくて、リアルさよなら飛び込み、みた~~。

涙を流す人もいたみんなの表情が、一気に緩みました。

別れのテープはいつしか切れ、二日限りの仲間たちは、フェリーを降りて、それぞれの旅に戻りました。

 

礼文島は、車で北海道を旅した父のお勧めの島でした。

旅好きな父も、二度と戻らない旅に出てしまいました。

大好きなカメラ、ニコニコしながらシャッターを切っている顔を思い出します。

もう、縛られる肉体はないもの。どこにでも出没してくださいね。

 

礼文島もずいぶん変わったようですが、死ぬまでにもう一度行きたい場所のひとつです。

でも、あのような旅はもうできないでしょうね。

旅は人生そのもの。

あの水平線のきらめきは、青春の輝き。

 

何故かあの旅を思い出させてくれた昨夜の夢。

脳みそというのは、本当にふしぎなものですねえ。

記憶があるうちに書けてよかった、めでたし。

 

長くなりました。

年を重ねた旅とは違う、若い日の旅。

おばちゃんの青春の思い出にお付き合いいただきありがとうございます。

あの時の男子たちは、きっといいおじいちゃんになっているでしょう。

一期一会、どんな人生へと旅を進めていったのかしら。

一番さえない感じだった、カメラ男子の、あの必死の様子を思い出して、ふっと笑顔がこぼれた朝でした。

 

今日の言葉

「旅行」ではなく「旅」をする。未知との出会いが世界を広げる

旅にはそのうち出るとして、散歩道も爽やかどすえ~~♪

 

ご訪問いただきありがとうございます。

感謝をこめて

つる姫


私の好きなものは笑顔。笑顔は世界を救うと信じるつる姫のブログです。

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