植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

またしてもナスに傷がついている!

2024年08月29日 | 家庭菜園

農薬のモベントフロアブルを使用して、ようやくチャノホコリダニの被害は落ち着きました。ところが今度は下の写真のような傷のあるナスができてしまいました。が〜ん。

何かと擦れてできた物理的なキズか?? 縦方向のかすり状のキズ、といえばアザミウマ被害でしょうか。浸透移行性と残効性に優れるモベントフロアブルはアザミウマにも効果があったはずなんですが。農薬散布後にどうして被害が出たのかはよくわかりません。アザミウマは土中で蛹化するので、農薬散布時に回避したものが加害したとかが考えられるでしょうか。農薬が効きにくくなる厄介な昆虫でもあるんですよね。

果皮の被害部分を輪切り方向に薄くスライスして顕微鏡で観察してみました。すると・・

上側が外果皮で下の白いのが中果皮部分。表皮の左側は、紫色をしており正常。右側の黄色くなっている部分が被害箇所です。

これをみると、被害箇所では外果皮の正常細胞が失われて荒れているのがわかります。それを補うためにその下にある組織が増殖したようで、やや深いところまで正常箇所にはない細胞の集まりが見られました。

被害箇所が盛大にコルク化しないので、食味には大きな影響は無さそうにも思えます。なので 家庭菜園レベルなら気にしなければいいだけかも。ただ、ダニ同様にエネルギー工場である葉にも被害を与えるしウイルス病も運ぶことが知られているので軽く見てはいけない。ただ今後の予定ですが、既に8月末ですし様子を見ておいて被害拡大なければ農薬は使用しないつもり。できればアザミウマの種類の特定はしておこうかと考えています。

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ミョウガを収穫

2024年08月23日 | 家庭菜園

ミョウガは日陰でも育つので柿の木の下で育てています。8月に入って花が咲き始め収穫の時期を迎えました。

これはミョウガの花。薄黄色で繊細です。見切れている左側の「棒」は、偽茎です。この上に30cmほどの葉をたくさんつけています。食べる部分は花序で、つぼみと苞からできています。その半分以上が地面に埋まっていることも多く、開花していない時はその存在に気づきにくいです。

今回は、花つきのミョウガを収穫しました。

ミョウガは花が一つも咲かないうちに収穫するのが良しとされています。ですが、上記の理由でそのタイミングを逃しやすいのは確か。開花すれば明るい黄色のため薄暗い中でもよく目立ちます。家庭菜園の場合は、最初の開花を目印にするのが良いでしょう。開花の時期は毎年ほぼ同じなので、それを見計らって遠目から見ておけばOK。このミョウガはいくつかの花が咲き終わっていますね。完全に私の怠慢、採り遅れです。

  • まずは、花の観察から。

A:花被 B:唇弁(雄しべが変形したもの) C:花被 D:柱頭 E:付属体(葯隔が伸びたもの) F :葯 G:花冠筒

花柱はEの付属体に包まれているのですが、黒矢印の先では花柱の一部が飛び出て湾曲しています。何か意味がありそうです。私が推理すると・・・蜜を求めて頭を突っ込んできた虫がこの湾曲を上に押すと柱頭先端が付属体から飛び出してきて虫のお尻に触れるというもの。でも虫のお尻に予め花粉が付いていないと受粉は成立しないなぁ。この件について今後よく観察したいと思います。いずれにしても5倍体で実ができにくいそうです。

それからBの唇弁と雄しべ・葯との関係を十分に観察しませんでしたので、この件も注意してみたいと思います。

  • 次に苞を1枚剥くと・・・

苞の内側に茶色く とろけたような線状の部分が出てきました。悲しい・・これは花が咲き終わって溶けてしまった花冠筒部です。それを包んでいるのが「がく」に当たります(茶色矢印)。苞の接続部分には泥が挟まっている(灰色矢印)ことが多く、食べる前にはよく洗わなくちゃ、ですね。地面スレスレにできるので仕方がありません。A~Eは前の写真の解説を参照。

  • そして花序を縦半分に切ってみると・・・

花は外側から内側へと咲き進みます。内部にはこれから咲こうとするつぼみがぎっしり詰まっていました。

  • どのくらい詰まっているか調べるために全部バラバラに分解してみると・・・

咲き終わった花が4つ、萎んだ花が1つ、開花中が1つ、つぼみが約10本(中心部分は小さく、また縦に切断後のものだったので不確実)でした。花序一つあたり16個も咲くのかもしれません。全部咲き切るまでを観察したことないので正確なところはわかりませんが、思ったよりもたくさん咲きそうですね。


ここからは、ミョウガにまつわるエピソードを。

  1. 私の実家は兼業農家で、幼い頃には一緒に市場に連れて行ってもらったことがありました。何十年も前の話です。そこで、「バカ」と書かれた品が並んでいたのですよ。それがミョウガでした。なぜ「バカ」なのかと親に聞くと、これを食べると忘れっぽくなるからと言っていました。その時はそんな食べ物を売ってもいいのかなと心配になったものです。実際のミョウガにはそんな作用はなく、全くの濡れ衣なので心配はいりません。そのいわれを簡単に言うと、元々はショウガがそう言われていたのをショウガとミョウガを取り違えたからとか、お釈迦さまの弟子で物覚えの悪い弟子・周利槃特の墓地からこれが生えてきたからとか、諸説あるようです。落語の茗荷宿で一般にもその話が広がったとのこと・・・。現在の市場ではどうなんでしょうか。昔は色々隠語を使って楽しんでいたのかもしれません。ちなみにお釈迦さまと周利槃特さんのエピソード、私は好きなのですがここでは省略。
  2. 学生時代、一人暮らしを始めた1年目、ミョウガを買って調理しようと切ってみたら中から あの溶けて変色した花冠が出てきたのですよ。ミミズか何かが入り込んで死んでいるのかと思ってびっくりして全部捨てました。花序の構造と変色が何なのかを知っていれば全く捨てることはなかったのですが、一般常識なかったので気持ち悪くて完全廃棄しましたとさ・・・。
  3. 現在でも咲き終わった花が閉じ込められたミョウガが流通しているかもしれませんので、経験者からアドバイスを。まず、そのブツが出てきても驚くことはありません。「花冠筒」の部分は非常に傷みやすいのですぐ溶けてしまうのですが、含有成分の影響か がくと苞は非常に傷みにくくなっています。花が終わっても苞とがくは枯れないので宿存性があるともいいます。なので、傷んだ部分だけを外してそれ以外をよく洗って使えばいいのですよ。
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ポーチュラカとスベリヒユとマツバボタンを食べてみた話

2024年08月20日 | 家庭菜園

スベリヒユが食べられる、美味しいとまで言っていた人も・・・これは私も試してみなければ、と思った次第。まずはスベリヒユとその近縁園芸種を一つずつ紹介。

  • まずはスベリヒユ。晴れた日の朝に咲くものの、昼を待たずに閉じてしまいます。花色は黄色で悪くはないのですが、花の小ささがネックとなって園芸品種には適しません。

雑草として家庭菜園ですくすくと成長中。この夏の暑さで一層元気に伸びてくるので、これが野菜と位置付けられればいいんじゃないの〜??

  • 次にマツバボタン。道路沿いの花壇では毎年マツバボタンがこぼれタネで生えてきます。群生して咲くのできれいです。

前にこの土地を利用していた方が育てていたのでしょう、全く植えた記憶がないのに黄色と赤の2色が毎年咲いてきます。最近、黄色の勢力が強くなってきた感じです。

  • 最後にポーチュラカ、別名ハナスベリヒユ。今年買ったのはカラーミックスのポット苗を一つ。

 

ポーチュラカには、黄色〜赤の他に紫色や絞り咲きなどもあってバリエーション豊か。買ったのは一重咲きですが、八重咲品種もあります。ポーチュラカは容易に挿し芽で増やせて成長も早いのでその年の花壇を彩るのにも役立ちます。なのでかなりの面積を埋めたい時でも少数買って挿し芽をすればOK。ポーチュラカの雌しべは他の二種に比べて大きく目立っています。

  • この三種を比較したのが次の写真です。

左がマツバボタン、中がポーチュラカ、右がスベリヒユです。花はマツバボタンとポーチュラカが似ていて、葉はポーチュラカとスベリヒユが似ている関係。スベリヒユは小型の株のものを載せましたが、三種の中で最も大きく育ちます。大きく育ったものはそれなりに葉や茎も大型になります。


肝心の食レポですが、映像情報なしの文章だけ。ごめんなさい。

三種を別々に2分間茹でてその後数回水を換えて十分にさらしました。野草にはシュウ酸を含んでいることもあるので水にさらしてアク抜きするのがポイント。茹でている時に気になったのが、マツバボタンだけアクが異常に多かったこと。他の2種類は茹で汁がほとんど濁りませんでした。

結論を先に言えば、マツバボタンは口にしてはいけないと思います。すぐ吐き出して全部捨てました。苦味がひどくて どうにも食べてはいけない感じです。センブリの例があるように苦いからと言って健康被害が出るかはわからないんですがね。今年長野県では、道に生えていたきのこを食べて命を落とした若者がいたのですよ。その件でもわかるように可食植物と似ているからと言って安易に口にしてはいけないですよね。苦味なくても何か毒素含んでいるかもしれないし。

教訓:野草が食べられるかは岡本信人さんに聞こう!・・きのこも野草も知っている人に教えてもらいましょうということ。

一方、スベリヒユとポーチュラカについては食べても良さそうですよ。ポーチュラカは花の色が茎葉にも発現しているみたいで赤い汁が染み出してきました。それでも両者は少しのぬめりとわずかな野草の香りくらいで刺激味は全くなし。食べやすかったです。二種に味の区別はつきませんでしたので、それらと めかぶ を混ぜて鰹節と醤油で味付けしていただきました。完食です。

それから注意点をもう一つ。購入した園芸植物は農薬が使用されているかもしれません。苗を購入後すぐに食べるのは避けましょう。自分で挿し芽したものであれば大丈夫です。


スベリヒユ食べられるのなら野菜に昇格してあげたらいいのではと思う。でも長い間 雑草としての認識だから野菜としてのありがたみが全く無いのよ。雑草っぽく生えているのがいけないんだよね、早速エンサイの畝の横にスベリヒユ用の栽培スペース作ってまとめて移植しました。するとなんとなく野菜を育てているって感じになりました。今後気が向いたら収穫したいと思います。


最後に採り上げた三種の比較表を示してまとめたいと思います。(全て一重咲きの品種として観察した範囲内の情報)

 

マツバボタン

ポーチュラカ

スベリヒユ

科・属

 スベリヒユ科スベリヒユ属

スベリヒユ科スベリヒユ属

スベリヒユ科スベリヒユ属

花の直径

3cm前後 *

3cm前後 *

6mm~8mm

花弁の数

5枚

5枚

5枚

花の色

白、黄色〜赤、絞り咲

白、黄色〜赤、紫、絞り咲

黄色

がくの数

2枚

2枚

2枚

雄しべ

多数

多数

10本前後

雌しべ

柱頭が5~9裂

柱頭が4〜6裂、主に5裂

柱頭が3〜6裂

果実

蓋果(がいか)

種子はできにくい(蓋果)

蓋果

葉の形

線形

ヘラ状で基部がくさび形

ヘラ状で基部がくさび形

可食性

不可(苦い)

可(色素を含む)

 

*大輪の品種もある

 

 

 

 

 

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ミニトマトに被害!トマトサビダニとハダニ

2024年08月17日 | 家庭菜園

今年はミニトマトを2品種作りました。ぷるるんミニとシュガープラムです。それぞれ、脇芽挿しで増やしてプランターにも植えつけたのですが・・・

親かぶは元気なのですが、挿し芽から育てた方は上の写真のように茎が茶褐色に変色し下の方から枯れ上がってきてしまいました。さらに肝心の実はというと・・

が〜〜ん。果実表面は鮫肌状で亀裂もあったりで全く食べられそうにありません。上の写真はぷるるんミニ。一方、シュガープラムの方は、茎葉の症状は同程度で実つきは悪かったもののトマトの収穫はできました。

茎を拡大するとこんな感じで異常が一目瞭然。

株の上の方では、茶褐色の部分が正常な緑をどんどん浸食して上に広がっていて成長点に迫ってきていました。これは大変!!

早速、顕微鏡で観察してみると・・・

うげっ。気持ち悪い・・ブログ開設初期から立て続けにこんな投稿ばっかでごめんなさい。農産物の病害虫を扱うとねぇ・・・そのうち綺麗なお花の写真も載せていきたいので待っていてください。

この症状の主犯はトマトサビダニ。体長は0.18mmくらいのくさび形で黄褐色しています。前方に2対4本の足があります。一般的にダニは8本足ですが、この種は4本なんですね。白〜薄黄の丸いものはダニの卵。トマトの茎が緑から茶褐色に変わる境界付近に莫大な数のダニが生息していました。相応に卵もたくさんです。一方、完全に褐色に変わってしまった下方の茎では、ここに比べてダニは少数でした。もう一枚写真を・・・

赤矢印がトマトサビダニ。この写真の三匹はいずれも右方向を向いています。黄色矢印はトマトの腺毛で先端に粘液がついています。腺毛はダニの増殖に抵抗するそうです。でもダニは腺毛を駆逐しながら増殖していくそうで、トマトが栄養不足などで元気ないとこの害虫に負けてしまうようですね。この鉢の1.5mほど離れたところに親株を地植えしてますが、そちらには今のところサビダニの症状は出ていません。

トマトサビダニに比べると数は少ないですがハダニも住んでおり、白矢印はその脱皮がらです。ハダニの写真も撮ったよ・・

こちらはサビダニに比べるとちょっとかわいい・・かな?サビダニに比べ体は大きい。両肩に赤い点があるのがチャームポイント。足が6本しかなかったのでハダニの幼虫でしょうか。細い糸状のものは、ダニが出した糸です。こいつらも栽培後期に大発生で葉っぱが糸だらけになることもあります。


そして・・またしても動画作ってしまいました。サビダニの足がゴニョゴニョ動くのが気持ち悪すぎて悪夢を見そう・・ダニが出した糸をまるでギターを弾くみたいにしていたのでBGMはそれらしい明るいのにしておきました。それでも、どうにも気持ち悪さは緩和できない・・・

トマトサビダニとハダニ


ハダニやチャノホコリダニに比べて動きはゆっくりめ。とは言っても動画を見てもわかるように4本足を駆使して着実に移動しています。世代繰り返しながら領地拡大!何もしなかったらこの鉢植えのミニトマトは確実に枯れてしまいますね。

・・ということで農薬のモベントフロアブルを散布。この農薬は100ml 2200円くらい。ちょっと特殊なので家庭菜園で使っている人は少ないかも。脂質の生合成を阻害するという作用機序のため虫の成長段階に有効であり成虫には効果が出にくく即効性は期待できないという。でも、浸透移行性と長い残効があるし、ダニだけでなくアブラムシやアザミウマもやっつけてくれます。それなのに天敵のヒメハナカメムシには影響が少ないという優れた特徴が。なので、ミニトマトのほか、ヒメハナカメムシが住んでいたナスやきゅうりにもまとめて散布してやりました。これでダニ被害はおさまるといいんですけれど。

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梨の木に発生!ナシグンバイ

2024年08月14日 | 家庭菜園

庭に勝手に生えてくる木はすぐ抜くのが吉とのこと。でも、植物好きの私は、鉢に移してしばらく育ててみることにしているのですよ。そのうちの一つに梨の木・・・種が鳥に運ばれて来たのか、はたまた、自宅で食べた梨の種が巡り巡って庭の片隅で芽生えたのか定かではありません。

その木の葉が白くかすれているのに8月に入ってから気づきまして・・・早速調査開始!

葉裏を見ると・・

何やら飛行機みたいなうごめく虫がたくさんいた! 拡大して撮ってみると・・・

ナシグンバイでした。写真の黒いつぶつぶは、こいつらのフンです。タール状で きちゃな~い(>_<)

でも虫本体をよく見てみると、小さな帽子(前突起)をかぶっていたり羽のような肩飾り(翼突起)をつけていたり、ファッションがオシャレというか奇妙というか。なのでもう少し観察続行!横のアングルから見ると・・・

小さな帽子の後ろに立派な垂直尾翼のようなもの(中央隆起)が観察できました。ファッションはやはり動画のほうが分かりやすいのでグンバイムシをモデルにファッションショー開催!!葉の上のランウェイを歩いてもらいましょう。短い動画なのでぜひご覧ください。

ナシグンバイ


それ以外の住人

モモスズメの幼虫

ナシグンバイ被害で真っ白な葉っぱもバリバリ喰ってました。栄養なさそうな葉っぱだけどね。

イラガ

こいつに手の甲を刺されてしまいました。気づかずに触っちまったい。痛いよ〜(T . T)。すぐに流水で洗い流すといいらしいです。そうすればすぐに痛みは引きます。でも数日間腫れは続きました。

このようにこの梨の木、様々な虫にやられて満身創痍。かわいそう。


この梨の木は、これまで一度も花を咲かせたことないのですよ。大きくしないように強目に選定しているのも悪いのでしょうけれど。去年まで毎年赤星病に罹っていたのが、今年はなぜか発生なし。その代わりにナシグンバイにやられました。梨は実をつけるのに複数の品種が必要というし、また、出自不明で実が採れたとしても不味いんでしょっ?。せっかくなので赤星病の取材終わったらサヨナラしたいと思います。

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