小布施町には約900mに渡って道路沿いにガウラが植えられていてる所があって、花が風でゆらゆらしてとってもいい感じなのです。「矢島沖」信号あたりから北東方向の谷街道沿いです。写真で紹介できればよかったのですが・・・あいにく撮ってませんです。小布施町には ここ以外にも沿道花壇があちこちにあってどこも手入れが行き届いていて感動ものです。先日訪問した時も「小布施橋東」信号の近くにある山王島委託花壇は相変わらずお花が溢れてきれいでした。実はこの花壇の前を通勤していたことがあって、毎日それを見るのが楽しみでした。小布施町はオープンガーデンを実施している家も多くて その案内で一冊の本になっているくらいです。花好きな人が多い町なんですね。
そんなこんなで自分でもガウラを育ててみたくなって鉢植えにしたんですよ。でも・・・とにかく茎がびよ〜〜んと伸びて傾いちゃうんです。だから全然見栄えがしない、というかなんというか。小さな株ではダメなのかなぁ。沿道花壇みたく群生させてお互いが支え合うようにした方がいいんでしょうね、きっと。あるいは寄せ植えにして他の植物に支えてもらうとか?とにかく丈夫な植物なので持ち主からの愛を失ってもけなげに咲いてはいますけれど。。
これがガウラの花。花の後ろに突き出た「距」があったんだ。今日初めて知りました。雌しべの先端もなんかかわいい。これまで見向きもせずにゴメン。じっくり観察して「愛」も復活、ちょっとだけ大切にしたいと思います。
・・・と日を改めて距だと思っていたものをよく見てみたらそうではなかったぁ。つぼみの時に花を包んでいたものでした。いわゆる萼が花弁のように分かれて広がらずに筒状のまま花の後方に反っているもののようです。口先だけで愛を語ってはダメですね。相手のことをよく見てあげなくちゃ・・です。
非常に前置きが長くなりました。今日のテーマは茎の断面の形です。
ガウラの茎の断面を見てみると・・
右がガウラで左がニシキギです。ガウラでは、茎の断面はやや歪みはあるものの丸い形です。一方、ニシキギは丸の茎に褐色板状の「翼」が4枚ついています。ガウラの茎は曲がりやすくできているため、どの方向からの力でもしなやかに受け流せます。ニシキギは翼があるのでそれを破損せず曲げることができません。
ニシキギの「翼」はこんな感じ。他の植物では見られない特徴です。ただしこんなに大きな翼を持つのは園芸用に選抜されたものであって、山に自生しているニシキギはそうではないらしいです。いずれにしても翼の役割は茎を曲げる力から守っていると見てよさそうです。
次に庭にある植物をいくつか取ってきて断面を調べてみました。
オヒシバとナシの断面は「丸」でツユクサは平らな面がある丸、カヤツリグサは三角、シソとバジルは共にシソ科で四角でした。バジルの試料は、斜めに伸びた茎が起きあがろうとしていた部分を使用したので少し歪みが見られます。樹木で言うところのアテ材。
カヤツリグサとシソとツユクサにはどのような事情があって丸ではないのでしょうか。カヤツリグサは、根元にある葉と上部にある苞葉の間には節がなく茎の途中から葉を出すことがありません。すなわちその間、茎を丈夫にする役割もある節が一つもないのです。そのため曲がったり潰れたりしにくい三角形が採用されたのではないかと考えました。
三角形には構造的に強くても葉を出す方向に制限がかかるというデメリットがあります。そこで、茎の途中に多数の節をもち、葉っぱをたくさん出して光合成効率を上げたいシソ科の植物は茎を丈夫にしつつも葉を出す方向に困らない四角を採用したのだと思います。
ツユクサの丸い断面に含まれる平らな部分は、構造力学的な理由ではなくて成長過程にあるように思われます。ツユクサは節の部分で二股、あるいは三股に分かれて成長します。その分かれた後の茎で向かい合う面が平になっていました。
以上まとめると茎が丸い理由は、どの方向からの力もしなやかに受け流しやすい形であること、そして葉を出す方向に制限を受けないので植物種ごとの事情に応じて自由に葉序を決められるということです。丸以外の形を採用している植物にはそれぞれ異なる事情があるらしく、以下は私の想像・・カヤツリグサでは茎の途中に節がなくても茎を丈夫にするために三角の断面が採用され、シソ科の植物では茎を丈夫にしつつ対生にすれば葉を出す角度に困らない四角が採用されたと推測。ツユクサの断面は丸と考えて良いが成長の過程で図らずも平らな面ができてしまったと。いずれにしても風などの力に対する戦略の違いによって茎の断面の形が違ってきたのだと思います。
「シソと、ツユクサ、カヤツリグサ、みんなちがって、みんないい」
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