1月29日(日)Vn:小川響子/Vc:上村文乃/Pf:秋元孝介
第51回 コンセール・ラポールin東京(音楽ネットワーク「えん」通算616回)
尾上邸音楽室
【曲目】
1.ブラームス/F.A.E.ソナタ~第3楽章「スケルツォ」
2.ルトスワフスキ/ザッヒャー変奏曲
3.ドヴォルザーク/ピアノ三重奏曲 第4番ホ短調 Op.90「ドゥムキー」
4・チャイコフスキー/ドゥムカ ハ短調 Op.59「ロシアの農村風景」
5.ブラームス/ピアノ三重奏曲 第1番ロ長調 Op.8
【アンコール】
ドヴォルザーク/ピアノ三重奏曲「ドゥムキー」~第5楽章
【演奏】Vn:小川響子/Vc:上村文乃/Pf:秋元孝介
2011年7月に初めて訪れた音楽ネットワーク「えん」主催のコンサートで聴いたことがきっかけで注目するようになったチェリストの上村文乃さんが出演する「えん」の室内楽コンサートを聴いた。ドヴォルザークとブラームスのピアノトリオの名曲に、出演者のソロを楽しめる曲目が加わった魅力的なプログラム。
最初はヴァイオリンの小川さんが主役で、F.A.E.ソナタから「スケルツォ」。小川さんのヴァイオリンは冒頭から激しいパッションを炸裂させ、太く熱いタッチで切り込み、ダイナミックな演奏を繰り広げた。秋元さんの重量感のあるエネルギッシュなピアノと共に、フレーズを大きく捉えた大きなスケールの演奏で迫ってきた。
続いて上村さんが無伴奏でルトスワフスキの短い曲を披露。パウル・ザッハーが誕生日のお祝いに贈られたという曲で、聴き手を熱く揺さぶるアグレッシブな部分と、自由に羽ばたく解放的な部分を鮮やかに行き来しつつ、集中力を途切れさせないドラマチックな演奏に最後まで魅せられた。
そして「ドゥムキー」では3人の若々しい息吹が弾けた。エネルギーに溢れ、嬉々とした躍動感がみなぎり、聴き手をグイグイと引っ張って行くこの演奏を聴いていたら、ピカソが描いた「海辺を駆ける二人の女」の絵が浮かんだ。明るい開放感と力強さ、弾ける生命力とみなぎるムーヴマン。充実したボリューム感がありながら、重力から解き放たれた軽やかさがある見事な演奏に、我を忘れて聴き入った。
プログラム後半、秋元さんのソロによるスケール感溢れる「ドゥムカ」のあと、ブラームスのトリオで、更なるスゴイ演奏が待っていた。3人のプレイヤーは、この曲に投影されたブラームスの若い気概が乗り移ったかのように濃い血を駆け巡らせ、憧れと焦燥の交錯を情熱的に聴かせた。
3人は膝を突き合わせたような近さでバトルを繰り広げ、火花を散らしながら大きく羽ばたき、或いは深く掘り下げて行く。アンサンブルの要は上村さんのチェロ。深く力強く朗々と鳴らし、自らの熱い歌を聴かせ、かつブラームスに欠かせない低音の存在感を見せつける。ずっと鳴らし続けるたった1音のロングトーンが、豊かな表情を湛えているのを何度聴いたことか。
3人による演奏は、フル編成のオケにも負けない迫力で聴き手の心を熱く燃え上がらせた。若いブラームスの音楽の魅力を余すところなく発揮した名演と言える。こんなスゴイ演奏を、演奏者の息が直接かかるような50人程度しか入らない小さな空間で聴ける贅沢!
それにしてもこの3人の自信に満ちた堂々たる振る舞いはどうだろうか!同じメンバーでブラームスの他のトリオやベートーヴェンのトリオなどをシリーズで聴きたい。
CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~
拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け
第51回 コンセール・ラポールin東京(音楽ネットワーク「えん」通算616回)
尾上邸音楽室
【曲目】
1.ブラームス/F.A.E.ソナタ~第3楽章「スケルツォ」
2.ルトスワフスキ/ザッヒャー変奏曲
3.ドヴォルザーク/ピアノ三重奏曲 第4番ホ短調 Op.90「ドゥムキー」
4・チャイコフスキー/ドゥムカ ハ短調 Op.59「ロシアの農村風景」
5.ブラームス/ピアノ三重奏曲 第1番ロ長調 Op.8
【アンコール】
ドヴォルザーク/ピアノ三重奏曲「ドゥムキー」~第5楽章
【演奏】Vn:小川響子/Vc:上村文乃/Pf:秋元孝介
2011年7月に初めて訪れた音楽ネットワーク「えん」主催のコンサートで聴いたことがきっかけで注目するようになったチェリストの上村文乃さんが出演する「えん」の室内楽コンサートを聴いた。ドヴォルザークとブラームスのピアノトリオの名曲に、出演者のソロを楽しめる曲目が加わった魅力的なプログラム。
最初はヴァイオリンの小川さんが主役で、F.A.E.ソナタから「スケルツォ」。小川さんのヴァイオリンは冒頭から激しいパッションを炸裂させ、太く熱いタッチで切り込み、ダイナミックな演奏を繰り広げた。秋元さんの重量感のあるエネルギッシュなピアノと共に、フレーズを大きく捉えた大きなスケールの演奏で迫ってきた。
続いて上村さんが無伴奏でルトスワフスキの短い曲を披露。パウル・ザッハーが誕生日のお祝いに贈られたという曲で、聴き手を熱く揺さぶるアグレッシブな部分と、自由に羽ばたく解放的な部分を鮮やかに行き来しつつ、集中力を途切れさせないドラマチックな演奏に最後まで魅せられた。
そして「ドゥムキー」では3人の若々しい息吹が弾けた。エネルギーに溢れ、嬉々とした躍動感がみなぎり、聴き手をグイグイと引っ張って行くこの演奏を聴いていたら、ピカソが描いた「海辺を駆ける二人の女」の絵が浮かんだ。明るい開放感と力強さ、弾ける生命力とみなぎるムーヴマン。充実したボリューム感がありながら、重力から解き放たれた軽やかさがある見事な演奏に、我を忘れて聴き入った。
プログラム後半、秋元さんのソロによるスケール感溢れる「ドゥムカ」のあと、ブラームスのトリオで、更なるスゴイ演奏が待っていた。3人のプレイヤーは、この曲に投影されたブラームスの若い気概が乗り移ったかのように濃い血を駆け巡らせ、憧れと焦燥の交錯を情熱的に聴かせた。
3人は膝を突き合わせたような近さでバトルを繰り広げ、火花を散らしながら大きく羽ばたき、或いは深く掘り下げて行く。アンサンブルの要は上村さんのチェロ。深く力強く朗々と鳴らし、自らの熱い歌を聴かせ、かつブラームスに欠かせない低音の存在感を見せつける。ずっと鳴らし続けるたった1音のロングトーンが、豊かな表情を湛えているのを何度聴いたことか。
3人による演奏は、フル編成のオケにも負けない迫力で聴き手の心を熱く燃え上がらせた。若いブラームスの音楽の魅力を余すところなく発揮した名演と言える。こんなスゴイ演奏を、演奏者の息が直接かかるような50人程度しか入らない小さな空間で聴ける贅沢!
それにしてもこの3人の自信に満ちた堂々たる振る舞いはどうだろうか!同じメンバーでブラームスの他のトリオやベートーヴェンのトリオなどをシリーズで聴きたい。
CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~
拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け