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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

東京二期会スペシャル・オペラ・ガラ・コンサート

2020年07月13日 | pocknのコンサート感想録2020
7月12日(土)東京二期会スペシャル・オペラ・ガラ・コンサート
東京文化会館


希望よ、来たれ! KOMM, HOFFNUNG!


<第1部>
1.ベートーヴェン/歌劇「フィデリオ」 序曲
2.ベートーヴェン/歌劇「フィデリオ」~「悪者よ、どこに急ぐのだ~希望よ、来たれ!」
S:木下美穂子
3.プッチーニ/歌劇「トスカ」~「星は光りぬ」
T:城 宏憲
4.ロッシーニ/歌劇「セビリャの理髪師」~「今の歌声は」
MS:中島郁子
5.ロッシーニ/歌劇「セビリャの理髪師」~「わたしは町のなんでも屋」
Bar:黒田 博

<第2部>
6.モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
7.モーツァルト/「魔笛」~「イシスとオシリスの神に感謝を」
B:妻屋秀和
8.ベルク/歌劇「ルル」~「ルルの歌」
S:森谷真理/ダンス:中村 蓉
9.プッチーニ/歌劇「トゥーランドット」~「誰も寝てはならぬ」
T:福井 敬

【管弦楽】沖澤のどか指揮 東京交響楽団

今回も活動再開の初コンサートに立ち会うこととなったのは、東京二期会のスペシャル・ガラ。この日ここで上演される予定で僕もチケットを買っていた「ルル」が翌年へ延期となり、急きょこのコンサートが開催された。演奏会が手探り状態で再開されるなか、「歌」が主役の大規模なイベントであるオペラは稽古から上演までの感染リスクに特に慎重にならざるを得ない。そんな中で歌の魅力を伝え、オペラの本格上演再開を応援しようという思いが、「希望よ、来たれ!」というタイトルにはこめられているのだろう。出演した歌手陣はタイトルロールの経験も豊富な実力派揃い。個々の歌唱で役どころを的確に捉えた白熱した名唱を聴かせ、東京二期会の層の厚さと充実ぶりをあらためて感じさせた。


一つおきにカバーが被せられた座席

客席はキャパの半分という制約のなかまずまずの入りで、オペラのアリアでこそ欲しい「ブラボー」が聴けないのは寂しいが、オケの余韻を待たずに盛大な喝采が起こることもあり、会場は大いに盛り上がった。飛沫問題で演奏家のなかでも活動条件がとりわけ厳しい歌手たちだが、そんな苦境を感じさせない歌とステージでの振る舞いには「華」があった。素晴らしい歌を聴かせてくれた歌手たちの感想を簡単に記しておきたい。

(木下美穂子)
しっとりしたなかに芯のある声と深い表現力に加え、立ち居振舞いの美しさも絶品で、レオノーレの愛と自信に溢れた、強く気高く真っ直ぐな思いが伝わってきた。木下がレオノーレ役の9月の「フィデリオ」のチラシが入っていた。観に行きたい。

(城 宏憲)
滑らかで表情豊かに始まった冒頭から耳を奪われ、次第に熱を帯び、情熱的な美声で心の底から歌い上げる愛と嘆きの訴えに心を奪われた。照明の演出はなかったが、一身にスポットライトを浴びているような孤高の存在感を放っていた。

(中島郁子)
持ち前の太くて濃い声を見事にコントロールして細やかさと大胆さを表現。弾ける歌と演技でナルシスト、ロジーナの溢れる自信と熱いハートを、生き生きとダイナミックに、かつチャーミングに描き、聴き手を魅了した。

(黒田 博)
冒頭から張りのある輝かしい声で聴衆を引きつけた。機転の利いた巧妙で自由自在の歌いまわしや、テノール張りの抜けるような鮮やかな高音がストレートに聴き手に響いた。我が物顔のフィガロの得意満面のご満悦ぶりがワクワク感を高めた。

(妻屋秀和)
ちょっとあぶない修験者の風貌を見たときは「えっ!?」と思ったが、いつもの太い声で深く大きく貫禄のザラストロの歌が朗々と包み込むように響くと、最初の「えっ!?」は安心感に変わった。

(森谷真理/ダンス:中村蓉)
妖しく魅力的な声で、狂気や色香を研ぎ澄まされた感覚で巧みに表現する歌が、聴き手を恍惚へと引き込んで行った。なまめかしく激しいダンスと歌が一体となり、中村が服を脱ぎ捨てる場面で視覚的にも気分を一気に高め、最後に森谷が銃を構えるシーンへ混然一体と繋がった。リアルなオケも見事だった。

(福井 敬)
ベテランの貫禄ここにありという存在感が光った。艶やかで輝かしい声の魅力で聴衆を惹きつけ、迫真のエモーションを露わにした表現力で聴き手を興奮の渦中へ引きずり込んだ。演奏会の「取り」に相応しい歌唱。

福井さんが、”vinceò“と感動的に歌い上げて終演となったとき、またもや胸がジーンと熱くなった。どの歌手も例外なく、世界に誇れるレベルの名唱を聴かせてくれた感動に加え、苦境にあえぐなかで歌に希望を託した歌い手たちの思いがひしひしと伝わってきたためだと思う。

コンサートの成功には沖澤/東響の名サポートがあったことも忘れてはならない。2つの序曲も含め、要所を引き締め、音楽の急展開を鮮やかに捉えた颯爽とした演奏が強いインパクトを与えた。自然な呼吸を生み出した柔らかな歌の表現も捨てがたい。指揮棒の動きにオケがピタリとリンクしているのが気持ちよく、オペラのワクワク感を高めてくれた。

大規模なオペラ上演を大きな柱としている東京二期会がコロナの影響で被った損失も深刻で、寄附を募っている。来年の「ルル」に期待をかけ、また二期会には個人的にお世話になっている方々も多いこともあり、チケット購入時に寄附をさせて頂いた。

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超久々にコンサートを聴いて(江口 玲&川口成彦 ピアノリサイタル) 2020.6.19 紀尾井ホール
新型コロナウイルスによるコンサート中止に思う 2020.3.21
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