7月10日(金)広上淳一指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
第722 回東京定期演奏会
サントリーホール
【曲目】
1.バッハ/ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調BWV1048
2.ブラームス/交響曲第1番ハ短調Op.68
今夜は日フィル。これも4ヶ月以上の休止後の再開初公演。コンサート中止の嵐のなか、救いを求めて緊急事態宣言中に販売していたチケットを買ったが、このときは全席が販売対象だったため、一旦回収されて今の基準の座席数に合わせて再発行となったチケットを無事に手に入れた。
客席からの温かい拍手に迎えられて楽員が登場したあと、にこやかに登場した広上の指揮で始まったバッハは、気負うことなく楽しげな調べを伸びやかに奏でた。広上さんと楽員たちが舞台の袖で「楽しく行こうね」と申し合わせていたかのよう。ソロパートのプレイヤーたちが屈託ないおしゃべりを聴かせ、トゥッティの奏者たちが楽しげに相づちを打つ。この厳しい状況なんてどこ吹く風といった調子で、日フィルのメンバーが演奏旅行から「ただいま!」と元気に帰ってきたような楽しく打解けた雰囲気が心を和ませた。
そしてブラ1。10型の編成でステージいっぱいに広がった日フィルが聴かせたブラームスは熱気みなぎる渾身のパフォーマンスとなった。ギュッと締まった濃厚な響きが骨太な骨格でがっちりと支えられ、力強い足取りで一歩一歩着実に前進して行く。鋭いエッジで切り出された音たちがギラリと存在感のあるリアルな光を放つ。これこそライブならではの感触。広上は、ひとつひとつのフレーズに魂を入れ込み、じっくりと歌わせ、語らせ、それらを支えるリズム系にもしっかりと存在感を与え、ブレない方向性で全体を高みへと導いて行った。
第2楽章のような緩徐楽章でも、地下で熱いマグマが対流しているような静かなパワーを感じた。オーボエの弱音の歌の雄弁さにも聴きホレた。第3楽章ではそのマグマがふつふつと顔を覗かせ、心の高まりが増して来て第4楽章へ。山々にこだまするアルペンホルンの響きに続き綴られる弦の調べからは、懐の深い優しさが伝わってきた。百獣の王ライオンが君臨するようなスケールと包容力。最後の場面では、ライオンが岩の頂にすっくと立ち上がり、全地に轟く叫びを上げる迫力。それまで積み上げてきたものが一気にパッションをさく裂させ、グワッと襲いかかってきた。心臓がバクバクして涙が溢れてきた。
ただ前のめりに突き進むのではなく、最後までブレることなく進むべき道を力強く進み、包容力や頼もしさも感じた。広上さんと日フィルのメンバーが、不安な毎日を送る私達に「大丈夫!一緒に音楽を楽しもう!」と抱きしめてくれるよう。今は外国から演奏家を迎えることはできないが、日本にこんな素晴らしい指揮者とオーケストラがいてくれることが本当に有難く嬉しい。
鳴りやまぬ大喝采のなか、広上さんがマイクを持って「日本フィルがサントリーホールに帰ってきました!」と呼びかけると、また大きな拍手。「お客さんがいる前で演奏してこそ自分たちは本領を発揮できる。お客さんあっての私達です。」と聴衆を迎えてのライブ演奏の意義を訴えた。チケットは完売とのことだが、空席が目立つエリアもあったことが気になった。
この先の予定も含めて70公演がキャンセルになり、3億円を超える債務超過を覚悟することになった自主運営の日フィルは、すでに存続の危機に直面している。帰りに募金箱があれば協力しようと思ったが、なかったので家でHPから寄附をさせて頂いた。クレジットカード決済で簡単にできる。こんな素晴らしいオケを失ってはいけない!寄附のページはこちら。
読響 特別演奏会(鈴木優人指揮「ジュピター」ほか) 2020.7.5 東京芸術劇場
今こそ音楽を!弦楽六重奏の喜び 2020.6.23 ハクジュホール
超久々にコンサートを聴いて(江口 玲&川口成彦 ピアノリサイタル) 2020.6.19 紀尾井ホール
新型コロナウイルスによるコンサート中止に思う 2020.3.21
P.インキネン指揮 日フィル 2019.6.7 サントリーホール
広上淳一 指揮 N響:マーラー/交響曲第4番 2014.5.29 サントリーホール
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客席からの温かい拍手に迎えられて楽員が登場したあと、にこやかに登場した広上の指揮で始まったバッハは、気負うことなく楽しげな調べを伸びやかに奏でた。広上さんと楽員たちが舞台の袖で「楽しく行こうね」と申し合わせていたかのよう。ソロパートのプレイヤーたちが屈託ないおしゃべりを聴かせ、トゥッティの奏者たちが楽しげに相づちを打つ。この厳しい状況なんてどこ吹く風といった調子で、日フィルのメンバーが演奏旅行から「ただいま!」と元気に帰ってきたような楽しく打解けた雰囲気が心を和ませた。
そしてブラ1。10型の編成でステージいっぱいに広がった日フィルが聴かせたブラームスは熱気みなぎる渾身のパフォーマンスとなった。ギュッと締まった濃厚な響きが骨太な骨格でがっちりと支えられ、力強い足取りで一歩一歩着実に前進して行く。鋭いエッジで切り出された音たちがギラリと存在感のあるリアルな光を放つ。これこそライブならではの感触。広上は、ひとつひとつのフレーズに魂を入れ込み、じっくりと歌わせ、語らせ、それらを支えるリズム系にもしっかりと存在感を与え、ブレない方向性で全体を高みへと導いて行った。
第2楽章のような緩徐楽章でも、地下で熱いマグマが対流しているような静かなパワーを感じた。オーボエの弱音の歌の雄弁さにも聴きホレた。第3楽章ではそのマグマがふつふつと顔を覗かせ、心の高まりが増して来て第4楽章へ。山々にこだまするアルペンホルンの響きに続き綴られる弦の調べからは、懐の深い優しさが伝わってきた。百獣の王ライオンが君臨するようなスケールと包容力。最後の場面では、ライオンが岩の頂にすっくと立ち上がり、全地に轟く叫びを上げる迫力。それまで積み上げてきたものが一気にパッションをさく裂させ、グワッと襲いかかってきた。心臓がバクバクして涙が溢れてきた。
ただ前のめりに突き進むのではなく、最後までブレることなく進むべき道を力強く進み、包容力や頼もしさも感じた。広上さんと日フィルのメンバーが、不安な毎日を送る私達に「大丈夫!一緒に音楽を楽しもう!」と抱きしめてくれるよう。今は外国から演奏家を迎えることはできないが、日本にこんな素晴らしい指揮者とオーケストラがいてくれることが本当に有難く嬉しい。
鳴りやまぬ大喝采のなか、広上さんがマイクを持って「日本フィルがサントリーホールに帰ってきました!」と呼びかけると、また大きな拍手。「お客さんがいる前で演奏してこそ自分たちは本領を発揮できる。お客さんあっての私達です。」と聴衆を迎えてのライブ演奏の意義を訴えた。チケットは完売とのことだが、空席が目立つエリアもあったことが気になった。
この先の予定も含めて70公演がキャンセルになり、3億円を超える債務超過を覚悟することになった自主運営の日フィルは、すでに存続の危機に直面している。帰りに募金箱があれば協力しようと思ったが、なかったので家でHPから寄附をさせて頂いた。クレジットカード決済で簡単にできる。こんな素晴らしいオケを失ってはいけない!寄附のページはこちら。
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