10月14日(月・祝)櫻井元希/ヴォーカル・アンサンブル アラミレ
ミサ《めでたし 天の元后》
~デュファイ没後550年記念~
ルネサンス・ポリフォニーとグレゴリオ聖歌によるミサ形式の演奏会 大森福興教会
【曲目】
1. デュファイ/ミサ「めでたし 天の元后」
(曲中に挿入されたグレゴリオ聖歌)
♪入祭唱「天よ、上から露をしたたらせ」
♪昇階唱「娘よ聞け」
♪アレルヤ唱「あなたの姿によって」
♪奉納唱「恵みが溢れ」
♪拝領唱「恵みが溢れ」
2.デュファイ/モテット「めでたし 天の元后」
柔らかく優しく溶け合う響きの妙。ヴォーカル・アンサンブル アラミレは、今回も極上の響きを聴かせてくれた。どの声部も淡く温かな光に優しく包まれたようにデリケートに響き、気高く美しい調べを奏でる。アルトの声部は男女が同じパートを一緒に歌っていることで、独特の深みのある色合いが感じられた。
アラミレの演奏の美しさは表情からももたらされる。歌われている声部が、ふわりと空気が注ぎ込まれるように膨らみ、柔軟に、繊細に表情を変える。単旋律のグレゴリオ聖歌では、それが自然な息遣いと共にフレーズの端々まで穏やかに行き渡り、多声部の楽曲では、それぞれ異なるタイミングで膨らむ各声部がひとつに合わさることで、表現の綾に奥行きが生まれる。メンバー全員がひとつの大きな譜面を一緒に見ながら声を合わせるいつものスタイルが、皆が心をひとつにして同じ方向へ音楽を導いて行こうとする姿勢となり、美しく調和の取れた調べが堂内を満たした。
ギョーム・デュファイの音楽は多様な響きとテクスチャを持っている。没後550年と云えば、ジョスカン・デ・プレやラッススより遥かに前の年代で、しかも古めかしいイメージのあるオケゲムよりも前に生まれた作曲家だと知って驚いてしまった。古さを全く感じさせないひとつの美しく完成された世界を確立している。グローリアやクレドなどの最後に唱えられる「アーメン」が、お辞儀のカデンツと同じⅠ-Ⅴ-Ⅰの全終止形の和声進行なのも新鮮な驚き。この時代からこの形が存在していたとは!
言葉と音楽の密接なリンクが明らかに聞き取れるバロック以降の音楽のようなわけには行かないが、歌詞を追いながら聴いていると、声部の厚さや響きの違いから言葉への配慮を随所で感じることが出来、デリケートな深い感情移入が伝わって来た。
モテットでは自らの名前を歌詞に入れて「デュファイを憐れんでください。」と歌われる部分があった。ここに、とりわけ内的な祈りを感じたのだが、この曲が自分の葬儀用に作られたということをアラミレのメンバーにあとから教えてもらった。曲の終盤は精巧なポリフォニーが綾なす実に充実した音楽で、デュファイのことはほぼ知らないが、この作曲家の集大成と云える作品に思えた。昨年のオブレヒトもそうだが、このような演奏される機会が少ない作品の真の価値を伝える演奏団体は貴重だ。是非海外公演も視野に入れて活動を続けてもらいたい。
終演後に撮影
ヴォーカル・アンサンブル アラミレ 第14回演奏会 2023.10.7 番町教会
ヴォーカル・アンサンブル アラミレ 第11回演奏会 2018.9.15 大森福興教会
ヴォーカル・アンサンブル アラミレ 第7回演奏会 2014.9.15 淀橋教会エクレシアホール
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2.デュファイ/モテット「めでたし 天の元后」
柔らかく優しく溶け合う響きの妙。ヴォーカル・アンサンブル アラミレは、今回も極上の響きを聴かせてくれた。どの声部も淡く温かな光に優しく包まれたようにデリケートに響き、気高く美しい調べを奏でる。アルトの声部は男女が同じパートを一緒に歌っていることで、独特の深みのある色合いが感じられた。
アラミレの演奏の美しさは表情からももたらされる。歌われている声部が、ふわりと空気が注ぎ込まれるように膨らみ、柔軟に、繊細に表情を変える。単旋律のグレゴリオ聖歌では、それが自然な息遣いと共にフレーズの端々まで穏やかに行き渡り、多声部の楽曲では、それぞれ異なるタイミングで膨らむ各声部がひとつに合わさることで、表現の綾に奥行きが生まれる。メンバー全員がひとつの大きな譜面を一緒に見ながら声を合わせるいつものスタイルが、皆が心をひとつにして同じ方向へ音楽を導いて行こうとする姿勢となり、美しく調和の取れた調べが堂内を満たした。
ギョーム・デュファイの音楽は多様な響きとテクスチャを持っている。没後550年と云えば、ジョスカン・デ・プレやラッススより遥かに前の年代で、しかも古めかしいイメージのあるオケゲムよりも前に生まれた作曲家だと知って驚いてしまった。古さを全く感じさせないひとつの美しく完成された世界を確立している。グローリアやクレドなどの最後に唱えられる「アーメン」が、お辞儀のカデンツと同じⅠ-Ⅴ-Ⅰの全終止形の和声進行なのも新鮮な驚き。この時代からこの形が存在していたとは!
言葉と音楽の密接なリンクが明らかに聞き取れるバロック以降の音楽のようなわけには行かないが、歌詞を追いながら聴いていると、声部の厚さや響きの違いから言葉への配慮を随所で感じることが出来、デリケートな深い感情移入が伝わって来た。
モテットでは自らの名前を歌詞に入れて「デュファイを憐れんでください。」と歌われる部分があった。ここに、とりわけ内的な祈りを感じたのだが、この曲が自分の葬儀用に作られたということをアラミレのメンバーにあとから教えてもらった。曲の終盤は精巧なポリフォニーが綾なす実に充実した音楽で、デュファイのことはほぼ知らないが、この作曲家の集大成と云える作品に思えた。昨年のオブレヒトもそうだが、このような演奏される機会が少ない作品の真の価値を伝える演奏団体は貴重だ。是非海外公演も視野に入れて活動を続けてもらいたい。
終演後に撮影
ヴォーカル・アンサンブル アラミレ 第14回演奏会 2023.10.7 番町教会
ヴォーカル・アンサンブル アラミレ 第11回演奏会 2018.9.15 大森福興教会
ヴォーカル・アンサンブル アラミレ 第7回演奏会 2014.9.15 淀橋教会エクレシアホール
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