5月に予約をしていたイワタニのカセットガス炊飯器HAN-go(型番CB-RC-1)が届きましたので、まずはキャンプでの実使用前のレビューになります。
尚、あらかじめ断っておきますと、これはいわゆるステマではありません。
個人的に感じた良いところ、改善して欲しいところを率直につらつらと書かせていただきました。
ちなみにイワタニは以前、プリムスブランドでODガス缶仕様の炊飯器を出していました。ただしこちらは同社の定番カセットガス缶が利用できない不便がありました。
また野外炊飯器という専用の固形燃料を用いたユニークな商品もありました。
そして今回、新型の登場。
商品説明によりますと「イワタニカセットフー」シリーズ初の炊飯器らしく、お手軽に本格的なガス炊飯ができるとのこと。
ガス缶を内蔵することができ、従来のセパレート型での取扱いの煩わしさから開放される画期的な製品として期待大です。
サイズ、重量について
開梱しての第一印象は、綺麗やなぁ、そして重っ!ってことでしょうか。
ガス缶抜きで約5kgあります。
だだ比較として、リンナイ製「こがまる」5合サイズも本体に加えてホースやガス缶接続ユニットを含めたら約5kgですから、さほど驚くほどでもなさそうです。
サイズについては高さ334mm、幅275mmと車載荷室の限られたスペースに放り込むには少し躊躇するほどの大きさ。これはガス缶を内蔵することができる構造から仕方ありません。
素材について
本体のほとんどの部分はカセットフーと同じく鉄スチール板が用いられていて、宣伝写真にあるようなアウトドアでの利用を想定しているにしてはさほど頑丈さが無い印象。
ちょっとぶつけたらぺコんと凹むような柔さ危うさがあります。
吹きこぼれなどによるサビの問題も出てくることでしょう。
何せ酷使されてるうちのカセットフーJr.はサビサビのベコベコです。
価格的にも本体ケース部分はてっきりステンレスだと思っていたので、カセットフーと同じ安価な鉄スチール板で作り上げてくるとは意外でした。せめてフーでもタフまる仕様の頑丈さにして欲しかった。
よって頑丈さの比較としては、ステンレスを胴体にまとうリンナイこがまるやパロマに分がありそうです。
こがまるは長らく使いましたが目立った凹みは皆無、ぶつかってくるあまたの荷物らの挑戦にもビクともしない保護剛性があります。
ですのでこのオレンジ色に化粧の施された薄い鉄スチール板をまとったHAN-goを保護なく素のまま車載なんかしたら移動中に荷物干渉ですぐに凹んでしまうでしょう。ダッヂなんかぶつかってきたら一巻の終わり。
できましたらオプションで専用のハードケースが欲しいところです。
残念のところ
ざっと外観を確認したところで、一つ残念に思ったのは工作精度の悪さ。
ガス缶を入れる扉の上側の部分がかなり浮いています。
本来ならばココは閉じた状態で本体とフラットであるべきところでしょうが、明らかに扉サイズが大きく収まりきれていない様子。
プロダクトデザイナーの方もこの雑な仕上げは意図されてないのでは?
これが元々のデザインなのか否か?
多くの先行レビュー記事でこの部分についてわかる写真を探しましたがどれも正面のものばかりで問題の裏側部分について全くといって見当たらない、、
と思いきや価格コムで1件、写真付きで報告がありました。
この方も同様の指摘をされていて、一度返品されたそうで、交換返送されてきたものに改善が見られないとして最終的には返金対象になった模様。
ということはメーカーは不具合と認めているのでしょうか?
なにせ6万円ほどもするプロダクトですからもう少し細かなところにこだわっていただきたいですね。
質の良い釜
釜はフッ素加工のなされたアルミ製で、当然バリなんかなくスムースな手触り、これだけで767グラムあり加温性能はいい感じ。
五合サイズなのでファミリーキャンプやグループキャンプに重宝しそうですね。
本体は上下分離できる構造で、上は釜部、下はガスバーナーユニットとガス缶セット部になります。
なお、バーナーユニットのカバーはステンレス製。吹きこぼれなど水分を伴いますからさすがに鉄というわけにはいかないのでしょう。
便利なロック機構
接続時は上下が簡単に外れないように左右両端にあるつまみを回してロックできるのは移動時に嬉しい機構ですね。
同様に分離するパロマのやつにはロックが付いていなくて持ち運びには不向きでした。
おひつとしての使い勝手
こちら炊きあがったら上部を分離して、おひつとして利用も可能なようです。
ですが上部ユニットの底に脚や緩衝材が付いていないので直接にフレームを直置きすることになり、、
炊き上がった五合のご飯が入った重い釜をこの頼りない鉄スチールフレームで支えるには座りが悪いところでは歪んでしまう可能性も否めません。一度歪み癖の付いたら修正は困難でしょう。安価なカセットフーなら諦めもつきますが、こいつはそうはいきません。
そもそもこうした使い方は想定されてないかとは思いますが、せっかく分離してコンパクトになるわけですからオプションとして専用のおひつ台なんかあればいいのになぁ。
カセットフーなりの剛性
ちなみに下部はカセットガス缶をセットする大空間があり、これがかさばる要因にもなっていますが、この構造のおかげで他社のガス缶むき出し型よりスマートに使うことができるわけで、この製品のアドバンテージといえるでしょう。
ただ、アウトドアでのハードな利用状況ではこの強度的に頼りない扉部が真っ先に歪んで閉まりが悪くなりそうな気がします。実際すでに未使用の状態で扉にズレの歪みが確認されます。
何せここより上に重いバーナーユニット、そして更にその上に5合の入った大釜が鎮座することになる。。要は本体重量の8割に炊き上がったご飯で約5kgが上に載っかっているわけでバランス的には全くよろしくない。これは例えればスチール製カセットフーにダッヂを載せて調理するようなもの。そういうコンロはことごとく歪んでしまっている。
余計な懸念かもしれませんがこのスカスカ空間のボトム部はこれまたスチール薄板の構造柱が入っているとはいえ更に強度対策というか歪み対策が必要ではないでしょうか。
曲げ加工が容易なスチール薄板の多用ではどうやりくりしても限界があると思います。そもそも曲がりやすい素材なのですから。
なのでここは強度の高く腐食にも強いステンレス一択ではないかと。
価格的に思うこと
てゆうか、ここまで書いてあらためて定価59800円というのは高いと感じるようになってきました。こがまる5合サイズが3セット購入できるお値段です。
カセットフーシリーズ初の炊飯器、というのは同社のコンセプト通りでしょうが、いかんせんスチール素材もそのまますぎて、見た目は塗装が施されて綺麗だけど、手にし触れた際のチープ感が否めません。
まさしく化粧されたカセットフーです。
ならば価格もカセットフーシリーズなりの設定にすべきではなかったか。
初代モデルゆえの課題
ガス缶の内蔵化に取り組まれたのは素晴らしい! これは長い間、多くのキャンパーがセパレート型に対して感じていた不便でした。
ただアウトドア使用での耐久性という点では課題があるように感じます。
今後、ユーザーらからのフィードバックを得て改良がはかられることでしょう。これは初代たる宿命ですね。
それとも不発に終わりモーニングクッカーのようにレアものとしてプレミア化する?
廃番となって久しい“キャンプでごはん”はヤフオクなどで今も定価超えで取引きされている。
このHAN-goもそのユニークさ故にもしワンオフで終わるようなことがあればプレミア化は必須でしょう。
いろいろとありますが、あらためて内蔵型の難しさを感じる結果となったファーストインプレッションでした。
いずれにしても涼しくなりアフターコロナになりましたらキャンプ🏕で利用させていただきたいと思います。
それまでにハードケースを自作しよっかな。イワタニさん、ぜひ専用ハードケースを!
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面白くて一気に読んでしまいました。
アウトドアで、美味しいご飯を炊きたいと思ったら6万円!ハァー、ひとつのこだわりの到達点を見た気がします!そして商品名が飯ごうとは…ベンツKクラスみたいな話ですね。いろんな世界があるもんだなぁ…。
この炊飯器はガスなので自宅でも利用してみようと思います。