Life in Japan blog (旧 サッカー評 by ぷりりん)

日本に暮らす昭和生まれの猫ぷりりんの、そこはかとない時事放談と日記です。政治経済から科学、サッカー、手芸まで

東海地震が本当に来る確率と浜岡原発停止問題と

2011年05月12日 00時09分09秒 | 科学

浜岡原発の停止を首相主導で決定し、話題になっている。

法的手続きには問題が多々あるらしいが、大規模地震災害法や原子力基本法等見たこともないのでわからない。

ただ、科学的には一応の根拠がある。平時、一般に知られているより日本全体の地震リスクは同じくらい高いが、経験則として巨大地震の後に震源周辺で大きな誘発地震が発生することが知られていて、南関東の海側にストレスがかかってきているとする地質学者もいるため通常より確率が高まっている。

誘発地震について、地球物理学者のロバート・ゲラー東京大学大学院教授は準レギュラー番組の「たかじんのそこまで言って委員会」2011年03月19日増刊!で下記のように述べている。

「ナレーション:地震学者の多くが今回の東日本大地震の後に頻発する地震を誘発地震だと指摘しているが果たしてそうなのか。
ゲラー氏:あのね、それはある意味では正しい話です。その誘発の話。
つまりね、いろんな国に大きい地震が起きた後のまわりの地域の地震活動を見ると、経験的な話ではありますが、間違いなく通常より頻発に地震が起きるというのは確実に言えます。
ただしね、要は、A地震が起きて・・なんていう・・その後確実にB地震確実にC地震がそのなんていう因果関係があるような連鎖になったとは言えない。あくまで確率的な話です。

ロバート・ゲラー博士は、地震予知の不可能性をNatureに寄稿しているが、 日本の地震学、改革の時 それは「いつ」「どこで」を短期的地震予知できるかのような印象を国民に与える事の警告でもある。

ナレーション:ここで新ためてゲラー先生にうかがいますが、本当に地震の予知はできないんですよね?
ゲラー氏:できるはずがないです
ナレーション:では、できるはずがない理由をわかりやすく教えてください
ゲラー氏:たかじんの番組になじみの無い方に学問的用語でもうしわけないんだけれども、非線形物理という分野がある。非線形というのは、例えば(両手で鉛筆の両端を持ってへし折る動作をしながら)鉛筆がちょっと曲がって何も起きないが、もうちょい曲がって、もうちょい曲がって突然バーンとなっちゃうね。でもいつなっちゃうというのは予測できない。そういうのが、要するに歪みに影響・・崩壊する、崩壊しないは比例しない。
ナレーション:つまり鉛筆が(いつ)折れるのも予測できないのに地球のプレートがいつずれるかなんて予測できるわけがない、という解釈でよろしいんでしょうか
ゲラー氏:そのとおりですよ
2011年03月19日増刊!たかじんのそこまで言って委員会

同時に、稀ではあるが発生したことを発生などしないかのように振る舞うことへの警告もしている。短期予測の不可能性を地震の発生の確率が無視できるほど小さいと解釈しようといる人もいるけれど、日本全国常に高い。

ナレーション:略)今回の東日本大地震をどう見ているのか。
ゲラー氏:僕は必ずしも想定外と言うべきでないと思います。えーと、この地図をちょっとご覧ください。
これはさあ、えーと、1952年(カムチャッカ地震・Mw9.0)、60年(チリ地震Mw9.5)、64年(アラスカ地震Mw9.2)、2004年(スマトラ島沖地震・Mw9.1 - 9.3)、であの先週の日本のやつ(東北地方太平洋沖地震・Mw9.0)、これまでの60年間くらいでえっと全世界にあの5回マグニチュード9の地震がありました。
ですから、全世界にあの60年間のあいまに6回・・まあ、5回起きるやつは想定内と私は思います。 もちろん、えーと、どこに起きるかというのは想定できないが、プレート沈み込み型のあのプレート境界面で私に言わせてもらうとまあ想定内です。
(略)
ゲラー氏: 特定のエキスパートに配信すると神戸は7.3青森は8.0八戸は8.3とか、 そういうようなことができるという前提で想定値を決める。
でも、この地図に戻りますと、別に日本の地震と海外の地震は異なっているものではなくて、どこでも物理の法則は同じなんです。どこでも地質科学の法則は同じです。だから環太平洋に沈み込み型のプレート境界だったら、私に言わせてもらうと、どこでも(マグニチュード)9.5あってもおかしくありません。
ゲラー氏: あの今、いろいろあの昔の日本の歴史を調べて貞観地震のときに同じくらいの津波があった。
じゃあ貞観地震の時にあったものがなぜ想定外とまあ一部の研究者(略)言われないといけないのか、わかってないのは僕だけでしょうか。
もちろん、頻度から言うと、1000年に一回かもしれないんですけど、特定の地域で、まあ、稀なものとありえないものは違いますよ。あったんです。
2011年03月19日増刊!たかじんのそこまで言って委員会

複数の科学者が誘発地震、余震に対して警告をしている。

東大地震研の平田直教授は
「首都直下型が誘発されるかは分からないが、大きな地震は東日本全体で起きる可能性があり、首都圏も含まれる。
首都直下型の発生確率は30年以内に70%とすでに十分高く、耐震補強や家具固定などの対策が重要だ」と話している。

余震頻発、スマトラ沖地震と構造類似 広域で数年は警戒必要産経新聞2011年4月15日

「島崎邦彦東京大名誉教授(地震学)は
「本震以降、東西方向に引っ張られる正断層型の余震が起きている。今回は規模も大きく、従来は起きないと考えられていた」
東京大地震研究所の古村孝志教授は
「震源域の南端周辺は、地下の力のかかり方が大きく変わり、多数の余震が起こっている」とのべている。

余震、M8級にも警戒必要 地下の力のかかり方に変化”  朝日新聞2011年4月12日

しかも事故の際に影響する人口がずば抜けて多いことから停止を求める声は以前より多かった。

「原発震災を起こす現実性がいちばん高いのは、M8 級東海地震の広大な想定震源域のど真ん中で運転中の中部電力浜岡原発だが、もしそれが東海地震で大事故を起こせば、首都圏の膨大な住民も、南西の風でやってくる死の灰から避難しなければならず、東京には人が住めなくなる。」

" 原発に頼れない地震列島" 石橋克彦神戸大学名誉教授
■都市問題/第99 巻・第8 号 2008 年8 月号

ちなみに、統計物理学によると、地震の確率はベキ分布だそうだ。
ここに主体が認識するべきリスクの大きさに対する正常性バイアスを大きく超えた自然災害の真の潜在リスクの存在の問題が浮かびあがる。

サンプルに依存せずに平均値が一定値に漸近する正規分布のような普通の分布では、理論的な研究が非常に整備され、保険によってリスクを管理する技術も発達している。
一方、ベキ分布に従う災害では、過去のデータから平均的にリスクを推定するという常識的な科学の方法自体に本質的な限界がある。残念ながら、この問題の深刻さはまだあまり広く認識されていない。
"「統計の常識」超す大災害、平均の概念意味なさず "
日本経済新聞2011年4月7日24面 経済教室 高安秀樹明治大学客員教授

地震には、「グーテンベルク・リヒター則」(Gutenberg-Richter Law)という法則がみられるらしい。
地震はどのようにおきているのだろうか」(東京大学)「地震危険度評価方法 」(琉球大学)

(経済学者さんは確率について非常におちゃめなツイートをしていた。)

ただ、本当に夏場の電力が足りるかどうかが心配だ。
しかし、以前浜岡原発は夏の2009年8月11日から9月14日に運転停止した経験があるというので大丈夫かもしれない。
そもそも 中部電力のホームページにある資料
中部電力の原子力発電所のシェア

によると、(図はSTOP!浜岡原発様より引用)浜岡原発の中部電力管轄内でのシェアは14%だそうだ。

東京電力へ供給できる電力も周波数の問題などがあり、もともと100万キロワット程度でそれ以上には融通できない。
私にはどうこう言える権利はないけれど、地元企業の方々が安心を述べておられるのを見るとなんの計算も無しに無計画だとばかりも言えない。
しかし、本当に計算ずくで実施しているのかとても不安を感じる。 一応自分でも試算はしてみたものの、
https://spreadsheets.google.com/
最高8割原子力発電所が停止するとなるといきなり苦しい展開になってしまいそうだ。
今回の震災で東日本の原子力発電所以外の発電所も被災していて、この計算はそのまま応用できない。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 原子力発電所の震災事故につ... | トップ | ポエジー:夢と自我と無意識... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

科学」カテゴリの最新記事