私は、仕事上、多くの内覧会に立ち会って来ました。内覧会を始める際に、売主から進め方の説明があります。売主は買主に、「皆様にお願い頂いているのですが、時間は30~40分ぐらいを目処にお部屋をご覧になってきて下さい」と言います。八百屋で果物を買うのとは異なって、内覧会は、たくさんのお金を工面して、夢と希望を持って、これから長くお住まいになる家をチェックするわけです。でも、買主の方のほとんどは、「はい、分かりました」と言っているように思います。内覧会のチェックに制限時間はありません。高価なものですから、時間など気にせず、お住まいになった気持ちになって、ゆっくりと部屋を見て回る、これが大事だと思います。でも、私達は「皆様にお願い頂いてます・・・」この言葉に弱いように感じます。こういう話を聞いたことがあります。豪華客船が航海しています。世界中からのお金持ちが船旅を楽しんでいます。ところが、ある日、この船は凄まじい嵐に巡り合ってしまいます。大波に船は揺れ、今にも沈没しそうになっていきます。ここで船長は決断をします。決断とは、お客の何人かに海中に身を投げてもらい、船の重量を軽くすることでした。そんなバカな、と思わず、続きを読んで下さい。
まず、裕福で責任感の強そうなアメリカ人を船長室に呼び、こう言います。「この船は危機的な状況にあります。何人かが海中に飛び込まないと船が耐えられません。あなたに最初に飛び込んでもらい皆さんの“ヒーロー”になって頂きたい」。この話を聞いて、このアメリカ人は口をムンズと閉じ、目を光らせ、“アイ アム ヒーロー”と言いながら、海中に消えました。
次に船長は、物静かなイギリス人を呼びました。そして、同じように船が危険な状態であることを説明し、「ジェントルマンである貴方に海に飛び込んでください」とお願いしました。このイギリス人も、“アイ アム ジェントルマン” と叫びながら海に飛び込みました。
三人目は堅気なドイツ人です。船長はこう話しました。「何人かの人にこの船を助けるために海に飛び込んで頂きました。あなたが次です。これはルールです」。このドイツ人も “ルールなら仕方がないな” と呟き、海に飛び込んでいきました。三人が海に飛び込み、船も大分軽くなりました。
船長は最後の一人を選ぶことになります。船長は60歳位の日本人を呼び、こう言いました。「この船を助けるために、お客の皆様に海に飛び込んでもらうことをお願いしています。今までお願いした人々は皆さん協力して頂きました。あなたも他の人々と同じように海に飛び込んで頂きたいと思います」 この日本人は “そうか 皆さんそうしているならしょうがない” と言い残して海にジャンプしていきました。
以上の話は勿論ジョークです。この話を中国人に言ってみました。そしたら、この中国人、開口一番、「俺なら船長に向かって、“あなたが一番先に飛び込んでお手本見せてよ”と言うよ」と返答してきました。