亢進症な生活

甲状腺機能亢進症(バセドウ病あらため甲状腺ホルモン不応症)と膠原病(SLE&シェーグレン)を併発した働き者。のんびりと♪

夢の医療の実現?

2008-12-05 | 先生&病院譚
なんだか変な突風が吹いて嵐のような日でした。南風が吹いて、夏のおわりの嵐みたいだったけど、へんなの。

今日は、少し自分の病気から離れて、医療制度のことを。
近頃、日本で「医療崩壊」ということが取り上げられるようになって、北欧の高福祉国家はすばらしい!という報道も見かけるようになりました。たとえば、デンマークでは医療は無料なんです。手術をしても無料。
でも、ほんとうに日本が目指すべきものか、報道したり視察している人たちは知っているかなぁと思うことがいろいろ。

まず、よく言われることですが、税金が高い。付加価値税という消費税みたいな税金がデンマークは25%。1000円のものを買えば、1250円かかります。

それから、無料で診療してくれる一般の公立病院ではなかなか診療してもらえないです。手術のために1年も待つこともあるから、結局、全額自己負担で民間の病院を訪れる人もいるようです。
これは、ヨーロッパの他の国でもよくあること。風邪を引いたといっても、病院の予約がとれるのは1週間以上あとのこと。たいてい治ってしまうので、最初から近所の薬局で相談しながらお薬を買って、家で寝てます。
「手首があんまり痛いから、仕事の帰りに、夜、近所のクリニックに行って、レントゲンを撮ってもらって確認して、痛み止めを処方してもらってきた」なんて話をデンマーク人にしたら、「どんなVIPなんだ!!いくら払ったんだ!」と驚かれました。
逆に、日本で働いているヨーロッパ系の人が病院に行くのにつきあったとき、「今日、急に診てもらうから、お金をおろしてきた。10万円あるけど、足りるかな」と聞かれたこともありました。もちろん、どこの国にも救急外来(ER)はあるのですが、日本みたいに気軽にはいけないような。

そして、もっとも考えなければいけないポイントが「積極治療をしない」ということ。これって、知られているんでしょうか。わたしも、尊厳死のことを聞いているときに、デンマーク人から聞いて驚きました。
偉大な福祉国家に「寝たきり老人」がいないということ、それは、つまり「寝たきりになりそうになったら、積極治療はしないで、穏やかな死を選ぶ」ということなんだそうです。

ある在宅クリニックの医師がデンマークに視察に行ったときのことを書いているページもあります。たとえば、嚥下障害から、気管に雑菌がいっぱいの唾液がはいってしまうこともあるわけで、そういう患者さんが肺炎になったら、どうするか、というと、日本なら、当然、抗生剤を使い、解熱をし…となるのですが、デンマークでは、そういう積極治療は制限されていて、肺炎に緩和のためのモルヒネが投与されるんですね。

何人かの日本人のドクターと話していて、「寝たきりでも家族がそこで生きていてほしい」という日本の家族観は、自立できないで生きるのがつらい個人主義のデンマークと違うんじゃないかなぁとお話されていましたが、限りある財源で、限りある医療人口で、健康を支えるということを考えれば、ひとつの選択肢なのかもしれません。

ただ、まったく助からない延命治療はよくよく検討するのがいいと思うけれど、患者としては、やるだけはやったと納得したいんじゃないかと思うのはわたしだけ?
助かる命を助けられないお医者さんのモティベーションがどうなっているのかも、わたしは、とても気になります。穏やかな終末期を迎えることに全力をかけるのでしょうか。若年層の予防や治療にやりがいを感じるんでしょうか。どうなんだろう???

ともかく、今の医療制度に問題が多いのかもしれないけれど、「じゃあ、日本人は、どんな医療を望み、どんな制度にしたらいい?」っていう具体的なことを考えないと、進めない気もするんです…。
○○国では…という例を、単純に真似だけしても、日本人の死生観とか家族観とかと、うまく噛み合わないんだろうなぁ。

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亀田テオフィリン訴訟、病院敗訴確定

2008-11-26 | 先生&病院譚
昨日は、夜の7時半から記憶がなく…(笑)しかも、目も覚めずに朝を迎えました。
どれだけ寝たんだろ??? 健康優良児なみですね♪

さて、少し前のお話ですが、去年12月13日に東京高裁で出た、病院側の敗訴(7300万円の賠償命令)から上告されていたのですが、上告棄却だそうです。

処置ミス、7300万円支払い確定 千葉の亀田総合病院

 千葉県鴨川市の亀田総合病院でぜんそく治療を受けていた高校2年の男子生徒=当時(17)=が出血性ショックで死亡したのは処置のミスが原因として、両親が約8800万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は21日、病院側の上告を退ける決定をした。病院側に約7300万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決が確定した。
 2審判決などによると、男子生徒は平成13年1月1日未明、吐き気などを訴え受診。ぜんそく治療で病院から処方されていたテオフィリンの血中濃度が高いことが判明。処置の過程で医師が脚の付け根にカテーテルを挿入した際、血管を傷つけたため、大量に出血、同日夜、死亡した。
(2008.11.21 産経新聞)


産婦人科の死亡例について裁判された大野事件と比べると、報道が少ない亀田テオフィリン訴訟。上告棄却についても、あんまり報道をみかけません。

ロハスメディカルで2月に専門家がした分析が報道されてますが、素人が簡単に書いてしまうと…

小さい頃から喘息のあった高校生が、1日6錠で処方されていたテオロング(製品名はディオフィリン。テオドールなんかも同類ですね)を貯めて、少なくとも45錠まとめて飲んだ。
その後、吐き気を訴えて、年末12月31日夕方に救急外来へ本人が歩いていく。
偶然、入院中を知っていた当直医が、テオフィリン濃度を測定し、中毒に気づいた。そこから胃洗浄をはじめ、解毒の処理のための処置をつづけたが、1月2日早朝に、患者さんは亡くなる。
家族が、解毒処置のカテーテルの失敗等が死因であり、テオフィリン中毒を死因と考えられないと、病院を訴えた。

裁判では、CTでカテーテルが血管の外にあるように見えるという鑑定書を根拠に、カテーテルが血管を傷つけて大量出血で死亡したんじゃないかという推論から、高裁では病院側の敗訴。
技術的には、そのCTは、位置関係を見るのには向かないから、根拠にするのがおかしいとか、注射で採血しただけで血が固まるなんて滅多にない状況だとか、そもそも初期の胃洗浄の段階で胃から出血したりショック症状が起きていたとか、専門家が指摘していて、救急の場面でよりよい対応が可能だったとは思えないなぁと思いながら、最高裁での判断がどうなるかと思っていたら、え?棄却? 驚きです。
救急の処置で、何をどこまで求めていいのか…、高校生の子どもが急に亡くなる悲しみは大きいけれど、お正月もなく徹夜で治療に当たってくれた当直医もまた人間であることを忘れちゃいけないと思います。

個人的には、薬をたくさん飲んだ、この高校生が、どんな気持ちで大晦日の夜、病院にやってきたんだろう、どんな会話をしたのだろうと思うと心が痛みます。ご冥福をお祈りします。

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お気に入りの研修医♪

2008-11-16 | 先生&病院譚
今日も、ずいぶんゲンキ復活中です~。

会うときには会うんですね、前回の外来のときにもばったり会った、入院中の担当医にこの間、急に行った外来でもばったり会いました♪ 病棟じゃなくて外来に出てるからかな。

お話すると元気になれる、お気に入りの先生なので、ちょっとうれしかったんですけど、「今日はどうしたの?」って聞かれて、「ゲンキなんですけど、ちょっとこのところ、口が利きたくない!ってくらい、しんどくなって、来ちゃったんですよね。」と言ったら、「えっ、じゃあ、あとで先生から話を聞いておくねー。」と行ってしまいました。

???

いつも、いろんな話をする先生なのに、へんなの?と、よーく考えてみて、あ!
いや…先生と口も利きたくないっていう意味じゃなかったんだけどなぁ~。

そんな話を、新人の先生が診察室で検査結果を探している間にこぼしてたら、「じゃあ、気にしてましたよーって、M先生に言っておきますね。」とニッコリされてしまいました。
それはそれで、かなりお恥ずかしい~!!(笑)

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オバマ氏のアメリカ医療改革と日本のお話

2008-11-07 | 先生&病院譚
救急に駆け込むような急性症状はないものの、寝ても、ダルい~!というのが抜けないのが相変わらずつづいています…。

深刻化する病院での救急受け入れ体制、「ベッドがいっぱいです」というのは業界の表現で、「対応体制がありません」という意味です。京都で訪ねた先で「お茶漬けでもどうですか?」と聞かれたら、どんなに笑顔で聞かれても、おいとましないといけない、というのと同じです。

というわけで、「受け入れ拒否」とか「たらい回し」と報道されるのですが、実態は「受け入れたくても、受け入れられない!」という状況です。日本のお医者さんの人口比というのは、他の先進国と比べるとすごーく少なくて、すでに日本のお医者さんは14万人足りない、という報告もあるのだとか。

医療介護CBニュースの特集で第4回「脅かされる患者の安全」(連載企画「KAROSHI-問われる医療労働」)という記事がありますので、詳しくはそちらへ。
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/19057.html

そんななかで、アメリカで次期大統領に決まったオバマ氏が、医療体制について語った話が日経メディカルオンラインに載っていたので、読んでみました。

おもしろいポイントがありますが、日本でも考えるべきポイントだなぁと思うところがいろいろ。
たとえば…

・お薬や検査治療の機械・方法について評価やその情報の発信をする
・良質な医療を維持するために医療関係者に重労働を課さない
・医療過誤に対しては、現場の責任追及でなく、医療ミスの予防を最大の目標とする
・予防医療の充実(禁煙、運動、正しい食生活などのために地域密着型プログラムの実現)

医療改革はヒラリー・クリントン氏がずっと長い間、主張してきたことで、ニューヨークでも医療に関する意見交換会のような企画がいろいろされてきました。
そんな同じ民主党のクリントン氏がブレーンを紹介するのかしないのかはわかりませんが、オバマ氏が就任したあと、具体的にどんな医療制度改革をするのか、興味しんしんです。

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妊婦さんの検診14回無料になるらしい!

2008-10-31 | 先生&病院譚
あいかわらずダルダルなんですが、それでも、お仕事をしないで、家から出ずにおとなしく寝ていると、ちょっとエネルギーが充電してきました。これじゃ、1年前の療養生活状態と同じ!?と思うけど、長期化しないように、おとなしくしてます♪

さて、昨日、景気対策が打ち出されて、年内におこづかいがもらえる!とか、3年後には消費税が上がるとか、いろんなことが言われていますが、「妊婦さんの検診14回無料」っていうのが、そっと打ち出されたようですね♪

先日の東京で亡くなった妊婦さんは、ちゃんと検診も受けてらっしゃった方ですが、検診をきちんと受けずに、複雑な状態になって救急搬送される妊婦さんもたくさんいらっしゃるようです。細かいリスクを検査する体制が整わない状態で、「飛び込み出産」の妊婦さんを受け入れるわけにもいかず、マスコミがいう「たらい回し」状態が発生することも多いのだとか。

これまでも市町村によって、妊婦健診1~14回の公費助成があった都市もありますが、全国で一律に実現できることになりそうです。

日本では、1965年の母子保健法の制定以降、妊婦健診が行われるようになり、周産期(妊娠22週から生後7日未満)の子どもの死亡率、妊産婦の死亡率は、ともに大幅に低下していて、世界的にもずばぬけて高い救命率をほこっているそうです。
そういう意味では、経済的な負担を感じずに、妊婦さんが安心して、きちんと定期検診を受けられるのは、ほんとにいいことじゃないかなぁと思います♪

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東京でも妊婦死亡…どこへ向かおうとしているんだろう?

2008-10-25 | 先生&病院譚
地方都市での産科がつぎつぎに閉鎖していて、きちんと通院していても異常分娩の場合には受け入れてもらえる病院がなくなっている…ということが指摘されていますが、先日、東京でも妊婦が亡くなったことが報道されています。

ある週末の夜、妊娠35週の妊婦さんが、ひどい頭痛を訴えて、かかりつけの産科にかけこみました。主治医は、脳内出血!?ということで、急いで近くの救急病院に連絡を取りましたが、今、その病院はお医者さんが欠員していて、受け入れがむずかしいということになり、そこから紹介された病院につぎつぎに連絡します。しかし、受け入れ困難と回答されます。
最終的に、最初に連絡を取った病院が受け入れ、脳外科の当直医が対応することになります。赤ちゃんは帝王切開で生まれ、つづけて妊婦さんの脳の出血部分に対する手術が行われますが、3日後、この妊婦さんは、残念ながら亡くなります。

一般の報道は、ほとんど「妊婦死亡 7医療機関が拒否」というトーンです。この最後に受け入れた病院は、救急センターの看板を掲げていることもあり、都からも調査が入っています。

うーん。脳内出血なんていう重篤な状況で、お医者さんが他の治療でいっぱいいっぱいの病院で受け入れだけされても、適正な治療がされなかったら困るし、ほっておけないし、自分が患者や患者の家族の立場だったらどうしてもらったかと思うと、むずかしいなぁと思います。
「今の状況はマズイ!」という話はわかりますが、だからといって、医者や病院を責めたところで、何かが変わるわけではないと思うのです。治療をしても死亡する事故があったら、メディアが攻撃し、家族が訴え…、ということを繰り返して、患者に何かプラスになるとも思えないのです。
石原都知事が、産科も小児かも、絶対的に医師が少ない、国に何とか方策をたててほしいというコメントを出していますが、おっしゃるとおりかもしれません。同時に、日本は、お産での死亡率が世界でも低い国。妊婦死亡が報道されるくらい、お産での死亡が少ないこと自体、驚異的なことだと思いますけど。

折しも、「ロハスメディカル」というフリーペーパーの編集長がブログでこんな記事を書いていました。
看板を出しているのに、その商品がないと言ったら、客は怒る。
でも、その看板は役所から頼まれた経営者が出したもので
店員が「品切れだから補充して」と伝えたのに
経営者は「そのうちにね」と言ったまま2年。

経営者の言い分は
「補充しなかったんじゃなくて、できなかった。だって世の中に足りないんだもの」

なんで足りないのか、よくよく調べたら
役所が「余るから作るな」と言っていた。

ある日、看板に偽りありということで客とトラブルになり
店員は、なんと野次馬たちからもさんざん罵られた。
翌日、突然役所の長がやってきて
「看板を出しておきながら」と経営者を叱り飛ばした。

どう考えても、店員は被害者だよね。
なのに、なんで今回の受け入れた病院の医師たちは、叩かれてるんだろう。
これってヒドくない?

ふと、携帯小説の『2018年 菊花病院』と『2018年 地中海病院』を思い出しました。
2014年に国民皆保険制度が破綻し、高い自由診療を受けるか、保険適用の診療を選ぶかという選択医療が始まった10年後の日本を舞台に、2つの物語が書かれています。(暗くなること保証付なので、心身が元気なときに読まれることをお勧めします!!)

お医者さんがたくさんいて、いつでも笑顔で受け入れてくれて、安価で治療してくれて、死にそうになっても病院に駆け込めば助けてくれる、というのが、患者としては、夢。
でも、現実にそんなわけはなくて、お医者さんになり手はないし、どこの病院もお医者さん不足と経営難に困っているし、そして、何より、病院に行っても、どんなに最善のすばらしい治療をしたとしても、人は亡くなることがあるのです。わたしも、たくさん見送りました。

わたしの場合だって、近頃すぐ「ハイリスク」のラベルが貼られます。空港で「われもの/FRAGILE」というシールを荷物に貼るみたいに(笑) 妊婦の脳内出血も、同じように「コワレモノ」ですが、妊娠による高血圧で脳内出血する例は、実はそんなに少ないものではありません。

たとえば、医療メディエーターのような仕事がもっと広く展開されていくのがいいのかなとも思います。
医療メディエーターというのは、医療対話促進者と訳すのでしょうか、最近、医療裁判の仲介者としてよく出てきます。でも、もともとは、医療関係者と患者さんの橋渡しをするお仕事です。ここでしつこく話している「患者カフェ」の発想ですね。

・選択しなければいけない治療法があれば、患者さんの社会的状況も考慮して、メリット、リスクを客観的に説明し、判断しやすい環境を提供すること
・治療を進めるにあたって抱えている、治療上、生活上の不安を聞いて、サポートを提供したり、ヒントを与えてくれる機関を紹介すること
・治療をしても「人は死ぬんだ」ということが、きちんと受け止められるような場や会話を用意すること

ある小児科のケアをしている先生が、幼く亡くなる子どもたちの兄弟が状況をしっかり受け止められるようにお話しているお話なんかを読みながら、大人にも必要だなと思いました。
病院の経営とは切り離した形で、こういうコンサルティング機構ができていくと、いいのになぁ。そんな簡単な問題ではないと思うし、救急のときにそんな窓口が機能するかどうかは難しいものですけれど、あきらめている場合でもないような気がします。

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なつかしい研修医と再会♪

2008-10-19 | 先生&病院譚
この間の、外来の帰りがけに、去年末に入院したとき、病棟の研修医だった先生とばったり会いました!

階段の前を通り過ぎようとしたら、知った顔が昇ってきたので、「あ、こんにちは!」って戻ってご挨拶♪
「覚えてないですよね。1年位前に膠原病科で入院していて、血管炎と言われながら、ピンピンしてた患者ですよ。」って言ったら、「あー、働き者の!」って返されました。なんですか、その覚え方は!(笑)

この先生、ほとんどいつも病院にいて、朝はよく寝癖をつけて歩いていたんですが(笑)、ある日、隣のハイケアのおじいさんの意識が回復したときに、飛んできて、「わー、ほんとによかったー。よく頑張りましたね。あと一息です。僕たちも全力をつくしますからね、頑張りましょうねー。いやー、うれしいですよー。よかったー。」と、全身で喜びながら、一生懸命、声をかけていたのが印象的でした。
そうそう、この患者さんが何日も不安定で、この研修医は連日の徹夜になって、寝癖が取れなかったのでした。意識回復したあと、ようやく髪を切りに病院を出ていたくらい、つきっきり&調べものしっぱなしだった気がする。
かっこいいかはわかりませんが、キャラも安心してお話できる人で、一番お話した研修医です♪

その後、どうですか?って聞かれて、甲状腺は甲状腺ホルモン不応症(RTH)だってことになったことや、Ancaのリスクを承知でプロパジールをメルカゾールにしてみたこと、膠原病は安定してきていることなんかを話をしながら、なんだか、なつかしくって、しばらく立ち話をしちゃいました。

入院したときの主治医は、前の膠原病の先生。
わたしにとっては、お父さんみたいな先生ですが、その先生が、カンファレンスのたびに「治療もいいけど、いい旦那さん、いないかなぁ」と言いつづけていたよねって、思い出して、大笑いしてました。(わたしはカンファにはいなかったけど、先生たちがみんな「こっそり」教えてくれましたから~!)

そういえば、入院の数年前にも、わたしの周りでいろんなことがたいへんで、体調がよくないのに徹夜をしたり、甲状腺の薬をたくさん飲み忘れてしまった時期があります。
内分泌の若い先生に「ダメだよ」って叱られたけど、この膠原病の先生がたいへんな状況を理解してくれて、「それどころじゃなかったんだよね。」って、受け止めてくれたのがほんとにうれしかったのを覚えています。
その膠原病の先生の話でも、ひとしきり盛り上がり。

昔の先生って、病気の治療のことだけじゃなくて、それを取り巻く生活のことも心配してくれる先生が多かったですね。今は、プライバシーの問題なんかも大きくて、むずかしいんだと思うけど。

お話した研修医は、今は、こざっぱりとして(笑)、心療内科にいるそうです。あの科に行って、これもできるようになったよ!なんて手技の話なんかを、楽しそうに話してくれました。ローテートもずいぶん進んでいるんですね。次は、いよいよ一般内科!
…わたしから見て、専門家もすごいけど、勉強すればするほど、細かい情報から膨大な病気の可能性を引き出す一般内科や救急の先生を尊敬します。というわけで、一般内科の勉強に入る研修医も心から応援してます。

がんばれ、先生~!

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言ってくれる人は、いい患者さん♪

2008-10-18 | 先生&病院譚
昨日の夕方、急に5回つづけてクシャミしたと思ったら、そのまま水洟が止まらなくなってしまいました。風邪ですね(涙)主治医のキライなPLを飲んでみたのですが、止まりません~!熱が上がってこないから、いいことにします♪

さて、一昨日の膠原病の先生の外来で、胃カメラの概要を説明しました。ポリープの生検をしたので、次の外来で、膠原病の先生から聞くことになってます。
先生がさっそく、電子カルテに「次回、生検の結果を説明」とメモしてました。

この先生のカルテには、SOAPという欄があります。経過観察を書くための、一般的なカルテの書き方らしいです。
Sは、患者さんの主観的所見(subjective symptoms)、つまり自覚症状。
Oは、客観的所見(objective signs)、診察のメモや血液検査の特記的な情報など。
Aは、考察、判断(assessment)、~を疑う、とか~について説明した、とか。
Pは、計画、方針(plan)、検査や治療の予定など

ちなみに、内分泌の先生の電子カルテは、さらに細分化されて、SやOの中に細かい項目の欄があって、データを入れておくと、グラフ化されます。皮膚科の先生のカルテは、大きな白い枠の中に、S)O)A)P)と書き加える形になっています。その代わり、体の部位の絵が入っていて、クリックすると疾患がある場所が赤く塗られて、カルテに挿入されます。ちょっと太っちょのヌードです(笑)

余談ながら、論文をたくさん書いている先生は、カルテをこまめに書いている気がします(笑)いつから、どこが痛かったなんて、時間が経ったら、誰も憶えてないですもんね!

閑話休題。
膠原病の先生の場合は、SOAPのPの計画のところに、次の診察で話し合う予定なんかも書いておくわけで、「次回、生検の結果を説明」というのもここに書きました。

「生検の結果なんて、確かに膠原病で気にしている話ではないから、書かないと忘れそうですねぇ。」と言ったら、「結果説明を一年も放置してました…なんてことも聞くからね」って、先生としみじみ。
いいことではないけど、結果説明を忘れてしまうなんてことは、人間がやっている限り、起きてしまうので、みんなで防ぐのが大事です。みんなっていうのは、患者さんも含めて。

「先生、あの検査はどうなりました?」って聞いてくれるのがいい患者さんだよーと先生がつぶやいてました。わたしもそう思います。

…そして、今回、生検のメモを書くのに消した前回のメモ、「手のレントゲンの結果、説明」を二人ともすっかり忘れてました(笑)前回の外来の帰りに手首のレントゲンを撮ったのはすっかり記憶になかったです。

手首のレントゲンも生検の結果も、次の外来では「先生、あの検査はどうなりました?」って、まとめて聞かなくちゃ!(笑)

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緩和ケアとお医者さんのコミュニケーションに対する評価

2008-10-11 | 先生&病院譚
今日は、乾燥していたところに一雨。ちょっとしっとりと落ち着いた空気になりました。

久しぶりの友だちからメールが届いて、がんが見つかったというお話でした。しばらく治療をがんばるそうです。

がんも、部位や進行度によって、ずいぶん治る病気になっていますが、日本での死因の1位は、がんなんだそうです。
そのせいか、去年には、「がん対策基本法」なるものが施行されました。国や都道府県で、予防や早期発見を推進し、医療体制を充実させようというもの。これに基いて、都道府県でも、対策推進計画が出されています。まだ終わっていないのは、滋賀、奈良、岡山の3県だけだそうです。
いろんなところの計画を覗いていると、「自宅緩和ケアの充実」なんて項目もあって、実にオモシロイです。(ほんとに実現されるかどうかは別として。)

ちなみに、医師会が行った「がん医療における緩和ケアに関する医師の意識調査」について、9月に報告されています。
医療介護CBニュースによると、結果は、「疼痛の緩和の知識や技術が十分だと考えているのは約30%で、精神状態への対応に関する知識や技術が十分だとしたのは約20%に過ぎなかった。」ということだったようです。「治す」治療がまだまだ前面にあるからでしょうか。

そのなかで、「緩和ケアの普及に有効だと考えられていること」という興味深い質問がありました。それに対して、「緩和ケアを行うにあたって労力が非常にかかるコミュニケーション(患者・家族、医療者間)に対する評価が得られること」「緩和ケアに関する患者・家族向けの相談窓口があること」などが挙げらています。

確かに、人気のある先生というのは、患者・家族とのコミュニケーションをしっかりしてくれる先生なのですが、だからといって、そういう先生が病院で評価されているとは限らないのですね。
おつかれモードの外科医に聞くと、「ほんとに、そういうコミュニケーションをじっくり取る時間がある先生は、うらやましいよ……。そういえば、緩和ケアのドクターがお地蔵様のような顔に見えちゃったことがあったなぁ。」と遠いまなざしになっていました。

がんの緩和ケアに限らず、病院でそういう先生が評価されていくと、病院の評価もあがるんだと思うのですけれど、なかなか目の前の忙しさにがんばって向かい合うだけで、せいいっぱいですよね、きっと。何とかいい方法がないかなぁ。

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民間療法をススメナイ

2008-10-09 | 先生&病院譚
風邪の「予感」みたいな状態がつづいてます。
一度、水銀の体温計が振り切れるくらいの熱を出せば、すっきりとカラダも衣替えするかな♪なんて勝手なことを思うのですが、「予感」のまま、すごしてます~。

今日、覗いた某所で、がんの民間療法の勧めという話があって、もっともらしく書かれていたので、ちょっとうんざりしてしまいました。

ある、がんの専門医と話していたときに、不思議な治癒のお話をしてくれながら、それでも化学療法を進めていく葛藤の話をしてくれたことがありました。
「なんにもしていないのに、なぜか治るってことも、どういうわけか、本当にあるんだよ。だからといって、"この場合も何もしないでいい"ってことにはならなくって、つらくてもガンバロウねって治療を勧めるのがつらいね。」

確かに、副作用の強い治療を勧めるのは、お医者さんとしてもつらいこと。それでも、その治療を勧めるには、根拠があります。その根拠を信じるか信じないかは、患者次第だけれど、お医者さんだっていいかげんに言っているわけではないのです。
治ることがあるということと、治る!ということは、ぜんぜん違います。

わたし自身、見えるところに湿布を貼っていたり、欠勤をしたり、足をひきずっていたりすると、「どうしたの?」というところから、針や整体、健康食品などなど、いろんなものを勧められます。

わたしも、漢方や整体のような東洋医学のお勉強もかじったし、しょうが湯や温かいおいしいお茶で、元気になったりもします。
それで、心やカラダが落ち着くなら、試してみるのもいいかもしれません。人間の体は不思議で、「よくわからないけど、治っちゃった」ということも、ときどき起きます。
でも、こういう民間療法を介して人間関係が複雑になったり、お金がかかったり、かえってストレスになったら、マイナスです。

先週も勧められたけど、効果がなかったからといって責めたくないから、わたしはいつもきっぱりとお断りしました。
主治医の、精一杯の診察・治療を信頼しないで、最後に、「やっぱり助けて!」と駆け込むこともしたくないから、イソジンでうがいをしたくなったり、商店街のクジで変わったサプリが当たったりしたときは、主治医に「これ、ダメ?」と確認しています。
たぶん、正直な関係が長つづきするような気がするんです。

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メディカル・カフェ 患者さんと医療関係者(のタマゴ)がコミュニケーションする場所♪

2008-09-29 | 先生&病院譚
先生と患者さんがかみ合わないことって、けっこう多いんですね。いろんな方から聞きます。
わたし自身は、治療法に行きづまったときに、眉をハの字にして、すごく時間をかけて、リスクを1つ1つ説明してくれた先生や、「大丈夫だよ~!」と軽く言いながら「何かあったらいつでも電話しておいでね。」と言葉を足してくれる先生に救われてきているのですが。

でも、こんにちは!と言っても返事をしないお医者さんや、患者さんが落ち込むのを心配して、大事な説明を避けちゃう先生、専門用語で一生懸命、話し続ける先生…。
逆に、患者さんの方も、わからないことを「わからない」と言いそこなったり、つらいことを「つらい」と主張しそこなう…なんて話、よく聞きます。

そういうわけで、お医者さんと患者さんのコミュニケーションの橋渡しを考えられたらいいのに、と、患者カフェということを繰り返し書いてきました。

さてさて、今日は、こんなものを発見!
札幌医科大学のメディカル・カフェです!!!

このメディカルカフェのすごいところは、将来、お医者さんになる医大の学生さんが実際に、地域の方に病気について説明をしたり質問を聞いたりするということ。これを通して、学生さんは、双方向型・対話型コミュニケーションを学ぶことができるし、地域の人たちは、正しい医療情報を知ることができるというお話です。
学生さんがどれほど具体的な臨床の情報に応えられるかは微妙ですが、これはおもしろそうです!

医療コミュニケーション教育というのは、いろんな教育ツールが開発されていたり、本が出版されていたりするようですが、やっぱり、ナマにぶつかって学ぶのがいいなぁと思ったのでした。

地域医療の改善プロジェクトで有名な 千葉県立東金病院でも、地域住民への病気の勉強会を研修医が毎月、開いているようですが、こういうプロジェクトがどんどん展開されるといいなぁと思います。

看護の「看」という字は「手」と「目」でできているですよね♪

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患者様から患者さんへ ― 医療を消費したくない

2008-09-15 | 先生&病院譚
近所を歩いていたら、虫が鳴いているお庭とセミが鳴いているお庭が。ちょうど夏と秋の境目なんですね!

さて、今日はちょっと長文です。

ちょっと古い話ですが、去年の5月、「患者様」を「患者さん」に戻す病院が出てきた、という報道がありました。先日も、富士吉田市立病院で、患者の呼称「さま」から「さん」に変更したというニュースが。
昔は、そんな呼ばれ方しなかったなぁと思って調べたら、始まりは、厚生労働省の「医療サービス向上委員会」が2001年に「国立病院等における医療サービスの質の向上に関する指針」を打ち出し当時の国立病院に患者の呼称の際、原則として姓(名)に『さま』を付する」としたあたりのようです。そして、国立病院の動きに、他の病院がつづいた、ということみたい。

元はといえば、今の聖路加看護大学学長の井部俊子先生が外来婦長をされていたころ、患者さんを○○様と呼んだことだという説もあるそうで。でも、患者様ではないようですね。

もともと、漢字の「患」も、英語の「Patient」も、我慢するという意味があって、そういう「耐え忍ぶ」感じはなんとかならないかなぁと思うのですが、かといって、「患者様」は、「お客様」のように見えて、「お客様は神様です」というイメージが。

そんなことを思いながら、ネットでいろいろ見ていたら、三省堂「デイリー 新語辞典」に「患者満足」という項目があることを発見!知らなかったです!ひっくり返りました。
患者満足〔patient satisfaction〕
医療における顧客満足(CS)のこと。患者のことを,一般的なサービスにおける顧客と同様に捉(とら)え,患者本位のサービスを拡充するもの。PS。

…サービス業の「顧客満足」そのままですね。
でも、これって、よりよいサービスは高い、という話です。豪華な病院で出産!というようなことが、一般の治療でも起きるってことです。価格差があるアメリカの医療ならともかく、保険診療=どこでも同じ医療費が前提の日本の医療で、医療サービス業という考えは成り立たないように思うんですけど。
「患者満足度」のために、差額ベッド代みたいな価格差を請求でないなら、誰が何のためにがんばるんでしょう???心意気のため?

ショックを受けていたら、「医療消費者」という項目までありました。
医療消費者:患者を医療サービスを受ける消費者としてとらえた語。医療に関する患者の権利を,消費者の権利として確立させようとする考え方から生まれた。

えっと…、医療はお買い物じゃない…ですよね!?
医療:医術で病気を治すこと。
医術:病気や傷を治療する技術。

患者は、医療やお医者さんを消費しに病院に行くわけではありません。お医者さんの医療の技に助けてもらって、自分の病気を治していくんだと思いますけど。
武道の師匠みたいとまでは言わないけれど、ホテルで快適さを提供してもらったり、弁護士さんに弁護してもらったり、というサービス業とは、ちょっと違う気がするんです。

「患者」「患者の皆様」「患者としてご来院の方」「患者さん」「○○さん」…いろんな表現はできると思うのですが、患者に消費者みたいな誤解をさせる表現は、もうそろそろやめた方がいいような気がしてなりません…。

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※追記: 冒頭に書いた報道を、最後に引用しておきます♪

「患者様」ちょっと違和感 「患者さん」に戻す病院も
朝日新聞 2007年5月2日)

 「患者様」という呼び方が病院ですっかり定着した。しかし、好きで病気になったわけでもないのに、違和感を感じる人もいる。もともと患者の立場を尊重した医療の実現などを意識して使われ始めた言葉だが、「日本語としておかしい」という指摘もあり、「患者さん」に戻す病院が出てきた。

 京都大学病院(京都市)では、昨年末から掲示物やホームページなどの「患者様」という表現を「患者さん」や「患者の皆さま」に改める作業を進めている。院内放送を録音し直し、看板はすべて取り換えた。

 呼称の変更は病院の幹部会議で決め、2000人余りの職員に文書やメールで周知した。「様」をつけていいのは「田中様」といった姓の後だけ。一山(いちやま)智・副院長は「院内で違和感があるという声は以前からあったが、患者自身からも『馬鹿にされている感じがする』という意見があった」と言う。

 さらに変更の理由の一つに、院内で医療スタッフへの暴力や暴言が多発していることを挙げる。「『患者様』と呼ぶことが直接の原因ではないが、一部の人に誤った意識を助長しているような気がする」と一山副院長は話す。

 「患者様」という言葉は、患者本位の医療やサービス向上を意識して一部の病院で使われ始めた。01年に厚生労働省が出した国立病院のサービスに関する指針に、「患者の呼称の際、原則として姓(名)に『さま』を付する」という内容があり、広まったらしい。

 00年に「様」を導入した長野県東御(とうみ)市の東御市民病院では03年、「サンさま再検討委員会」が作られた。アンケートの結果、職員、患者とも「『さん』の方が身近で親しみを感じる」という意見が多かったことから、「さん」に戻している。委員長を務めた薬剤師の中山孝子さんは「患者と対等な立場になることが重視される中で、医療はサービスと称してへりくだった態度をよしとする思い違いをしてきたような気がする」と振り返る。ただ、公的性格の強い文書や掲示物では「様」という表現を残しているという。

 一方、近畿地方のある大学病院の教授は「教授会で議論して『さん』が良いという結論にはなったが院内で徹底するのは難しい。医師と窓口の職員とでは考え方が違うようだ」と話した。
     ◇
 「患者様という言葉はおかしい」との指摘は、国語学者の故金田一春彦さんも自著でしている。「日本語を反省してみませんか」(角川書店)で、「『患者』という言葉自体がすでに悪い印象を与えるため、いくら『さま』をつけてもらってもうれしくない。(中略)いくら頑張っても敬うことにはならないのである」と書いており、医療関係者が見直しをするきっかけにもなった。
     ◇
 〈95年に全国に先駆けて「患者様」という言葉を取り入れた亀田総合病院(千葉県鴨川市)の亀田信介院長の話〉 言葉の使い方は本質的なことでない。病院ごとに決めれば良いと思う。うちはホスピタリティー(もてなしの心)の一環で「患者様」という言葉を使っているが、これは公的な場のことで、患者が知り合いの漁師なら、「どう、元気?」と切り出すこともある。状況に応じたパートナーシップを築けるのがプロの仕事だと思う。

ごあいさつは基本♪

2008-09-14 | 先生&病院譚
昨日の話と同じになるかもしれませんが、いろんなシンポジウムや医師会の案内で、「こんにちは」「ありがとう」を言おうという話がことさらに書かれていることが多くて、よく考えると、ヘンなの~と思います。

挨拶って、ほんとにコミュニケーションの基本です♪
『崖の上のポニョ』でも、ソウスケという男の子が、「先生、さようなら」とかお年寄りに「ときさん、さようなら」とか、深々と頭をさげているのが、気持ちいいと思うのですが、そういえば、こういう少年を見る機会が少ないような。わたしの場合、反抗期のお年頃になっても、「あなたは大きいから、普通に頭を下げるんじゃなくて、相手の胸より下まで頭をさげなさい!」なんて、よく怒られてましたけど(笑)

でも、ふと自分の診察を思い出すと…

わたし「(コンコン)」
先生 「あ、どうぞー、またお待たせしましたー!」
わたし「いえいえ、先生こそ、今日もお昼を5分で食べて戻って来られてましたね!」
先生 「今日は、初診の患者さんがつづいて、なんかねー。」

と言うわけで、「こんにちは」を忘れたときもありそう。
じゃあ、「ありがとう」って言っているかというと、処方箋を渡されたりするときは…

先生 「はい、どうぞ」
わたし「ありがとうございますー!」

と言っているけど、帰るときは…

先生 「じゃあね、お大事にー!」
わたし「はーい、先生も来月までお元気で。」
先生 「ほんと、勉強会がつづくからなぁ。ガンバルよ!」
わたし「ムリしないでくださいね。失礼します。」

って、「ありがとう」って意外と言い損なっていたかも(汗)

ありがとうの気持ちは伝わっていると思うんですけれど。
ただ、医療事故なんかで、「お医者さんの説明が足りなかった」という主張の多くが、「説明したけど伝わっていなかった」「伝えたときに、その場に来ていなかった」ということから、「言ったけど伝わらなかった」起きていることからすると、逆に、患者から先生へ、感謝の気持ちを意識して伝えるのも大事だなぁと改めて思いました。

なんて思っていたら、いつもお邪魔するブログで、そんなお話が! ほんとに、大事なことだと思います。

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お医者さんを元気にするのは、患者の「ありがとう」

2008-09-13 | 先生&病院譚
先日、医療事故調査機関に関するシンポジウムが開かれました。
通常の捜査では、医療の専門知識という壁など難しさが出てくる分野について、お医者さんのコミュニティから切り離したところで、調査ができる機関をつくろうという動き。これ自体には、賛否両論あって、いろんな議論や検討が必要なんだろうと思うのですが、シンポジウムのなかで、心に残るコメントがありました。

ひとつは、福島県立大野病院事件の、亡くなられた妊婦さんのお父さんのコメント。
医療者が患者にしっかり説明するコミュニケーションに関連して、「自分は娘が大変(な病状)だということもそんなに聞いていなかった。」と言いながらも、「家内とも話していたが、自分らは医療に手を差し伸べてもらわなければならない。医療者側と患者側ということで考えながら、真実を知りたいと、いろいろ進めてきたつもりだ。」と言ってらっしゃいました。
このご遺族については、ネットでは「医療崩壊を推し進めた側の人」というような書き方をされる方もいらっしゃるし、捜査の段階で結果的に警察側に有利なお話をされたところはあると思いますが、思いがけず大きな事件の当事者となることになって、今も、ご自分のお立場について模索つづけてらっしゃるのかも…と思ったのでした。
(もちろん、直接インタビューしたわけではないので、報道の印象でしかないのですけれど…)

もうひとつは、ご自身も医療事故による障害を抱えた弁護士さんのコメント。
「とんでもない医者は確かにいるが、一生懸命にやった医師がきちんと評価されていない。」「ここ数年、医療従事者の方々が刑事責任に対して、恐怖心に近い状態でおびえている。」という指摘をされたうえで、こんな風に語られています。

…寝る暇もなく働くお医者さんが、事故を起こした途端に「警察」の2文字が頭をよぎるような状態。彼らを助けなければ本当の意味で医療事故を防げない。医療事故を防いで、良い医療をつくっていくためには、お医者さんが自信を回復するしかない。お医者さんが元気になるには、患者さんからの「ありがとう」の一言だ。今は、「ばかやろう」の言葉がしょっちゅう返ってくる。患者さんからの医療者に対する気持ちをもう一度取り戻したい。

お医者さん任せじゃない患者力、その一歩は「ありがとう」なんだな、と。当たり前だけど、改めてしみじみと。
次の外来で、ドアから出るときは「ありがとうございます♪」かな。

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福島県立大野病院事件のK先生に復職辞令

2008-09-07 | 先生&病院譚
福島県立大野病院事件の一審の判決がでて、2週間が経ちました。3日に控訴期限を迎え、4日午前零時で、業務上過失致死罪に問われたK先生の無罪が確定です!!!

休職中だった加藤医師に対して、4日づけで復職の辞令が届いたそうです。「ミスによって女性を死亡させて県立病院の信頼を損ねた」という県の調査委員会からの「処分」も、虚偽の申請に基づくということで変更される方向で検討されているとか。
働き盛りの臨床医とはいえ、2006年から現場を離れてらっしゃったわけで、これからが大変でしょうが、ほんとよかった。

良識が通じないという医療を取り巻く環境に対する大きな失望のなかに、小さな希望の可能性をみつけられた、一歩かもしれません。

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