なんだか変な突風が吹いて嵐のような日でした。南風が吹いて、夏のおわりの嵐みたいだったけど、へんなの。
今日は、少し自分の病気から離れて、医療制度のことを。
近頃、日本で「医療崩壊」ということが取り上げられるようになって、北欧の高福祉国家はすばらしい!という報道も見かけるようになりました。たとえば、デンマークでは医療は無料なんです。手術をしても無料。
でも、ほんとうに日本が目指すべきものか、報道したり視察している人たちは知っているかなぁと思うことがいろいろ。
まず、よく言われることですが、税金が高い。付加価値税という消費税みたいな税金がデンマークは25%。1000円のものを買えば、1250円かかります。
それから、無料で診療してくれる一般の公立病院ではなかなか診療してもらえないです。手術のために1年も待つこともあるから、結局、全額自己負担で民間の病院を訪れる人もいるようです。
これは、ヨーロッパの他の国でもよくあること。風邪を引いたといっても、病院の予約がとれるのは1週間以上あとのこと。たいてい治ってしまうので、最初から近所の薬局で相談しながらお薬を買って、家で寝てます。
「手首があんまり痛いから、仕事の帰りに、夜、近所のクリニックに行って、レントゲンを撮ってもらって確認して、痛み止めを処方してもらってきた」なんて話をデンマーク人にしたら、「どんなVIPなんだ!!いくら払ったんだ!」と驚かれました。
逆に、日本で働いているヨーロッパ系の人が病院に行くのにつきあったとき、「今日、急に診てもらうから、お金をおろしてきた。10万円あるけど、足りるかな」と聞かれたこともありました。もちろん、どこの国にも救急外来(ER)はあるのですが、日本みたいに気軽にはいけないような。
そして、もっとも考えなければいけないポイントが「積極治療をしない」ということ。これって、知られているんでしょうか。わたしも、尊厳死のことを聞いているときに、デンマーク人から聞いて驚きました。
偉大な福祉国家に「寝たきり老人」がいないということ、それは、つまり「寝たきりになりそうになったら、積極治療はしないで、穏やかな死を選ぶ」ということなんだそうです。
ある在宅クリニックの医師がデンマークに視察に行ったときのことを書いているページもあります。たとえば、嚥下障害から、気管に雑菌がいっぱいの唾液がはいってしまうこともあるわけで、そういう患者さんが肺炎になったら、どうするか、というと、日本なら、当然、抗生剤を使い、解熱をし…となるのですが、デンマークでは、そういう積極治療は制限されていて、肺炎に緩和のためのモルヒネが投与されるんですね。
何人かの日本人のドクターと話していて、「寝たきりでも家族がそこで生きていてほしい」という日本の家族観は、自立できないで生きるのがつらい個人主義のデンマークと違うんじゃないかなぁとお話されていましたが、限りある財源で、限りある医療人口で、健康を支えるということを考えれば、ひとつの選択肢なのかもしれません。
ただ、まったく助からない延命治療はよくよく検討するのがいいと思うけれど、患者としては、やるだけはやったと納得したいんじゃないかと思うのはわたしだけ?
助かる命を助けられないお医者さんのモティベーションがどうなっているのかも、わたしは、とても気になります。穏やかな終末期を迎えることに全力をかけるのでしょうか。若年層の予防や治療にやりがいを感じるんでしょうか。どうなんだろう???
ともかく、今の医療制度に問題が多いのかもしれないけれど、「じゃあ、日本人は、どんな医療を望み、どんな制度にしたらいい?」っていう具体的なことを考えないと、進めない気もするんです…。
○○国では…という例を、単純に真似だけしても、日本人の死生観とか家族観とかと、うまく噛み合わないんだろうなぁ。
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今日は、少し自分の病気から離れて、医療制度のことを。
近頃、日本で「医療崩壊」ということが取り上げられるようになって、北欧の高福祉国家はすばらしい!という報道も見かけるようになりました。たとえば、デンマークでは医療は無料なんです。手術をしても無料。
でも、ほんとうに日本が目指すべきものか、報道したり視察している人たちは知っているかなぁと思うことがいろいろ。
まず、よく言われることですが、税金が高い。付加価値税という消費税みたいな税金がデンマークは25%。1000円のものを買えば、1250円かかります。
それから、無料で診療してくれる一般の公立病院ではなかなか診療してもらえないです。手術のために1年も待つこともあるから、結局、全額自己負担で民間の病院を訪れる人もいるようです。
これは、ヨーロッパの他の国でもよくあること。風邪を引いたといっても、病院の予約がとれるのは1週間以上あとのこと。たいてい治ってしまうので、最初から近所の薬局で相談しながらお薬を買って、家で寝てます。
「手首があんまり痛いから、仕事の帰りに、夜、近所のクリニックに行って、レントゲンを撮ってもらって確認して、痛み止めを処方してもらってきた」なんて話をデンマーク人にしたら、「どんなVIPなんだ!!いくら払ったんだ!」と驚かれました。
逆に、日本で働いているヨーロッパ系の人が病院に行くのにつきあったとき、「今日、急に診てもらうから、お金をおろしてきた。10万円あるけど、足りるかな」と聞かれたこともありました。もちろん、どこの国にも救急外来(ER)はあるのですが、日本みたいに気軽にはいけないような。
そして、もっとも考えなければいけないポイントが「積極治療をしない」ということ。これって、知られているんでしょうか。わたしも、尊厳死のことを聞いているときに、デンマーク人から聞いて驚きました。
偉大な福祉国家に「寝たきり老人」がいないということ、それは、つまり「寝たきりになりそうになったら、積極治療はしないで、穏やかな死を選ぶ」ということなんだそうです。
ある在宅クリニックの医師がデンマークに視察に行ったときのことを書いているページもあります。たとえば、嚥下障害から、気管に雑菌がいっぱいの唾液がはいってしまうこともあるわけで、そういう患者さんが肺炎になったら、どうするか、というと、日本なら、当然、抗生剤を使い、解熱をし…となるのですが、デンマークでは、そういう積極治療は制限されていて、肺炎に緩和のためのモルヒネが投与されるんですね。
何人かの日本人のドクターと話していて、「寝たきりでも家族がそこで生きていてほしい」という日本の家族観は、自立できないで生きるのがつらい個人主義のデンマークと違うんじゃないかなぁとお話されていましたが、限りある財源で、限りある医療人口で、健康を支えるということを考えれば、ひとつの選択肢なのかもしれません。
ただ、まったく助からない延命治療はよくよく検討するのがいいと思うけれど、患者としては、やるだけはやったと納得したいんじゃないかと思うのはわたしだけ?
助かる命を助けられないお医者さんのモティベーションがどうなっているのかも、わたしは、とても気になります。穏やかな終末期を迎えることに全力をかけるのでしょうか。若年層の予防や治療にやりがいを感じるんでしょうか。どうなんだろう???
ともかく、今の医療制度に問題が多いのかもしれないけれど、「じゃあ、日本人は、どんな医療を望み、どんな制度にしたらいい?」っていう具体的なことを考えないと、進めない気もするんです…。
○○国では…という例を、単純に真似だけしても、日本人の死生観とか家族観とかと、うまく噛み合わないんだろうなぁ。
