亢進症な生活

甲状腺機能亢進症(バセドウ病あらため甲状腺ホルモン不応症)と膠原病(SLE&シェーグレン)を併発した働き者。のんびりと♪

『余命1ヶ月の花嫁』からはじまった20-30代の乳がん検診に「待った!」

2010-06-13 | よくわからない・・・
『余命1ヶ月の花嫁』をきっかけにした、20-30代の乳がん検診に、プロが「待った!」の声をあげました。
"乳がんのため24歳で亡くなった女性を取材した番組「余命1カ月の花嫁」をきっかけに、TBSが展開している20~30代女性を対象にした乳がん検診を中止するよう求める要望書を、医師や患者ら38人が9日、同社に提出した。20~30代への乳がん検診の有効性に科学的根拠はなく、不必要な検査につながるなど不利益が大きいと指摘している。 "(朝日新聞 2010年6月10日)


TBS「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」の内容見直しを求める要望書提出について”のページもできたようです。これは、検診のあり方への疑問を投げかけたもので、TBSの活動全体を否定しているものではないようですね。

この活動を通して、ガンなんて関係ないと思っていた若い女性に、自分もがんになるかもしれないと意識させたことの意義は大きいと思います。
それから、収益をがん研究機関に寄付していることもすごい。医療が進むには研究が必要で、研究にはお金が必要ですから。
キャラバンをとおして、医療関係者による乳がん講習が開かれていて、きっと情報が必要な人に届いたものもあるんじゃないかと思います。

…ただ、たくさんの人に受け入れられたからこそ、医療的な観点での誤解も、大きく広がってしまって問題なのでしょうね。

乳がん健診キャラバンは、故人の遺志で、20-30代の女性のマンモグラフィから始まりました。
でも、以前にも、書いたことがありますが、この世代は、乳腺が発達していて、マンモでは乳腺もしこりも真っ白に写り、正確な検査がむずかしいそうです。エコーでも触診でさえ、健診では生存率を上げるほどの効果はデータ上みられないとされているそうです。ここに大きな誤解があるようです。

若い人の場合は…
●異常をみつけたら、医療機関へGo、できたら乳腺外科がお勧め
●近親者に乳がんの患者さんが何人かいらっしゃって、「家族性乳がん」が疑われる場合だけ、定期検査を検討
と、専門家はいいます。
異常というのは、胸のしこり、ひきつれ、えくぼ、湿疹、乳首から分泌液、腋のリンパの腫れ…なんかがあって、「あれ?」と思ったら、ということですね。

検査にも治療にもかならずリスクを伴います。今、ただでさえ足りない医療者の人員も使います。たとえば、実際に乳がんかもしれない人が待合室に待っている状況で、お医者さんが健康な人に「マンモのリスク」を時間をかけて説明しなければならないようなことも起きています。だから無駄な検査はしちゃいけない、と。

何といっても、マンモグラフィーの被曝量は、1-3ミリシーベルト。けっこう大きいんですね。
日本原燃(pdf)によると、胸のレントゲンが0.05ミリシーベルト、お腹のバリウムを飲んで検査するX線検査で0.6ミリシーベルト。マンモ1回で、胸のレントゲンを20-60枚撮ったのと同じ被曝量をあびます。何年も検査のくりかえししたら、それが原因でガンになりそうな気分さえ…。
それから、乳腺が発達していて確認しにくいということは、誤診のリスクが増えます。切除の手術…なんてところまでいかなくても、「がんかもしれません」と宣告されて、つらい検査を重ねるストレスを考えると、健康的とはいえません。
エコーなら、被曝のリスクがないよ、とも考えられるかもしれませんが、やっぱり誤診のリスクやさまざまなストレスを引き起こす点は避けられない感じ…。

そんなわけで医療的に見ると、気になる症状があるとか、家族性乳がんのリスクがある人でなければ、いざというときに、すぐ正しく医療機関にいける知識を持つことが、何より大事な「早期発見」のポイントなんだということでした。ちょっとくらい何かあっても大丈夫だ、と見過ごさないこと。症状があって検査する場合は、保険適用されますからね♪


このTBSのキャンペーンを支えたNPOには乳腺専門医もいらっしゃるようですし、そのNPOの賛同医の先生には今回、「待った!」をかけた先生も含まれています。助成金を間接的に受けた病院の方もいらっしゃいます。
TBSの担当者に、そういう人のつながりから、最新の情報や理解が届かなかったのが残念ともいえます。医療に関わるキャンペーンだからこそ、こういう情報を取り入れたり発信する意味が大きいんだなぁと今回のことを見ながら、感じました。

「若い人のガンを減らしたい」と始まったものだし、「医学的に有効だから、40代以上の乳がん検診を進める」というのは、報道機関でなくて、行政がやることなのんかもしれませんね。実際、市町村で40歳以上の方の乳がん検診は2年に1回、助成されるところも多いようです。

でも、報道機関だからこそ、若い人がマンモグラフィーを受けるべきという誤解はしっかり訂正して、子宮頸ガンの検診は受けた方がいいとか、どんどん更新されている正しい総合的な(集学的な?)情報を報道していかれるといいなぁと期待しています。
適切なアドバイザーたちが参画して、いい方向になるといいなぁ。
正しい情報が必要な人に届くといいと思います。

そして、何より若い人の乳がんが早期発見できるつらくない検査法が確率されていくことを心から願っています。。。

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4 Comments

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分かりやすい! (ケロ)
2010-06-13 19:44:06
新聞を読んでいるより、ぷろぱさんのこのブログの内容の方が、とても分かりやすいです。
これをそのまま、どこかの新聞か雑誌に載せていただけると、なぜ20代30代の方の乳がん検診に「待った」が、かかったのか、よく分かります。
検査も体に負担がかかりますものね。
ぷろぱさんのブログでは、いつも勉強させて頂いています。
ありがとうございます!
返信する
ありがと! (ふろぱ)
2010-06-18 13:40:58
ケロさん、こんにちはぁ。
わかりやすかったですか? よかった♪
って、わたしも専門家に「どういうこと?結局、何がいけなかったのか、よくわからなくて…」っていろいろ教えてもらいました。

ガンは、何となく「まさか自分がかかるとは…」ということから、早期発見を奨めるムーブメントがいろいろあるのですが、健康な人に生検をすることになったり、リスクについて、きちんと説明されないことも多い気がします。
具体的にガンかも、と言われたら、細かい検査をしないではおれないし。

医療者だけではこれだけの波及力を作れなかったんじゃないかと思うけど、広がったからこそ、訂正も大きな声でぜひ、と思います。

ところで、ケロさん具合はどうですか?
返信する
まさにおっしゃるとおり (ケロ)
2010-06-19 21:45:00
検査によっては、本人に大変負担がかかることも、もう少しメディアを通して伝えてもらってもいい気がします。

さて、
私は気持ちが追いつきませんね。体調が落ち着くまで、ゆっくりしていた方が良いと分かっていても、焦ります。
ぷろぱさんは体調いかがですか。
ぷろぱさんのブログが長く更新されていないと、ちょっと心配になります。
だからと言って、無理に更新して頂きたいとはもちろん思っていません。
ご無理されませんように。
返信する
そうですね (ぷろぱ)
2010-06-22 00:11:29
ケロさん、こんばんは。

気持ち…そうですね。
焦らずって思っててもなかなかね。

「外出が怖い」っていうのも、わかります。体が痛いときは、コンってぶつかられるだけで、息が止まるくらいつらかったりするけど、相手にしたら気にならないくらいだったり、「軽くぶつかっただけじゃん!」という程度だったりするのかなぁって思うと怖くなったり。

元気の余力が少し貯まると違ってくるのかな。
ちょっとずつ遊んだり寝込んだり、無理しすぎない程度にね、お互い。

わたしも一昨年より去年、去年より今年の方が元気になってきた気がします。
去年もけっこう元気なつもりだったけど、ちょっとずつ具合が悪くなっても、早めに回復できるようになったり。

更新は、ヨーロッパのリウマチ学会のことやら、稀少病の映画のことやら、書きたいことがいろいろあるんですが、気がついたら寝ちゃってて(^^;
気が付いたら、間がけっこう開いていましたね。ゴメンナサイ~。
ぼちぼちと書き続けていきます♪
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