まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

岩手旅 花巻の建物めぐり

2021-04-27 23:40:43 | 建物・まちなみ
2020年3月の岩手旅の続き。

台温泉に泊まった翌日大沢温泉に行く前に花巻のまちをうろついた。

花巻ではこの建物を是非見たいと思っていた。「黒ぶだう ベチュラ公爵別荘」(旧菊池邸)。
まちの中心部から見ると端の方にあったが、車を停めるところがないのでビジターセンターのあたりで
車を停め、10分ほど歩いて見に来た。


おぉ~~素敵な洋館だなぁ!黒っぽい色に塗られた下見板張りの壁、半切妻屋根の建物の少し右寄りに
マンサード型の破風の玄関があり、その上に2階が載っている。その横には小さな三角のドーマーウィンドウ。




この建物、斜めから見るとまた見え方が面白い。側面にも入口があって、半切妻破風から緑色の鉄板葺きの
入口のひさしが突き出している。そして反対側も全く同じように入口がついている。正面側の玄関と大して
違わない大きさなので、3世帯住宅にでもなりそうだ(笑)


この建物は菊池捍という人の住まいだったが、宮沢賢治の童話「黒ぶだう」に出てくる「ベチュラ公爵の別荘」
のモデルとされている。赤狐と子牛が留守宅に忍び込んで皿の上の黒ぶどうを食べてしまうという話。
旧菊池邸は花巻生まれの宮沢賢治にゆかりの深い建物として、心ある人々により買い取られ、2013年に
改修工事が施された。訪れたときは門が閉まっていたし、公開されているような雰囲気もなかったが、
レストランやカフェなど誰でも入れるような施設として活用されればよいなぁ~~


花巻のまちをうろうろ歩くと他にも気になる建物がちらほら。
こちらの古い和風建築は園芸屋さんとして使われていたので、ちょっとおじゃまして建物を眺める。


1階も2階も庭側全面パテ止めのガラス窓が連続し、温室みたいだ!
タダモノではない感じで、建物の内部を見てみたいが、お店になっているのは庭だけのようだった。


こちらは住宅街の中にあった建物だが、敷地の角から見た左右対称の玄関が印象的。なんとなく医院っぽいな。


右側には和館が連続していて、こちらが住まいなのだろう。
外に出ておられた近所のおっちゃんにちょっと尋ねてみるとやはりここは医院だったようだ。
元は藤井医院、その後はたふく医院と変わり、空き家になっていたが戦争で焼けなかった、と。
なので戦前の築であることは確かなようだ。


この辺の建物なんかも実は古そうだ。


真ん中あたりにこんな古めかしい「今文第二大町荘」の看板が掲げられた入口があるのだ。
まぁでも右文字だから戦後の建物かな。


平入の町家の側面に見える妻壁はこんな梯子を重ねたような規則正しいタテヨコの材で装飾されている。


門の奥にチラッと見えたこんなドーム屋根のお寺を発見。気になって門をくぐってみた。


中央に塔がそびえるドーム型の屋根はインド風なのか!?どう見ても普通のお寺じゃない(笑)。
松庵寺というこのお寺、いわれも何もよくわからなかったのだが、浄土宗のお寺のサイトに少し書かれていた。
こちら
昔は真言宗の寺であったが、念仏庵になった、と。高村光太郎のゆかりのお寺でもあるらしい。


建物は戦後の築に見えるが、年代や設計者など全く不明。


花巻駅の方へちょっと歩いてこれを見に来た。「高源」という看板が掲げられた古い蔵のような建物は何と、
高源精麦株式会社の現役の事務所である。


モルタル塗りの蔵っぽい建物だけど、妻壁の三本ラインや軒下の平行四辺形の模様など・・・モダン。
のぼりが立っているということはここでは小売りもしているのかな!?


商店街のアーケードの後ろに石蔵が。


戻ってきて歩いていると、古い木造の建物が並んでいる一角が。何これ??


洋館付き(?)の大きなお屋敷もあるな!玄関の欄間の彫刻など、割と新しいけどかなり手が混んでいる。


なんだか不思議な雰囲気の通り。
道端に「岩手軽便鉄道鳥谷ヶ崎駅跡」という石標が立っていた。
岩手軽便鉄道は花巻電鉄とは逆方向、花巻駅の東側に伸びていた私設の鉄道で、1913(大正2)年に
最初の区間が開業。宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」のモデルになったと言われる。鳥谷ヶ崎停留所は
花巻駅を出てすぐのところで、開業2年後の1915(大正4)年に設置された。


岩手軽便鉄道は1936(昭和11)年に国有化され、国鉄釜石線(現JR釜石線)となった。
その後改軌とあわせてルートの変更工事が行われたため、現在の釜石線とはルートが違っている。
鳥谷ヶ崎駅はこのとき廃止された区間にあったので、1943(昭和18)年、切替と同時に役目を終えた。
これらの建物が戦前からのものかどうかは分からないが、ここに列車が走っていた情景を思い浮かべるのに
十分な雰囲気を残した一角だ。


続く

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