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まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

岩手旅 大慈寺界隈

2021-04-10 22:25:53 | 建物・まちなみ
2020年3月の岩手旅の続き。

鉈屋町界隈を歩く。


一本裏手の寺町を歩いていくと、旧料亭川鉄の建物が見えてきた。


その手前に、さっきの大慈清水とそっくりの「青龍水」があった。ともに平成の名水百選に選ばれている。


4つに区切られたマスは上流から、飲み水、米磨ぎ水、洗い物、、と用途が決まっている。
伝統的なルールが守られ長年にわたり維持されているこういう共同井戸がまちなかにあるのは、景観としても
美しいし、地域のコミュニティが生きていて健全なまちだということが一見して分かる。


さて川鉄だが、塀越しにお庭の木や二階家が見えるもののやはり今は使われていないようで、閉まっている。


玄関はどこだ?ぐるっと回ってみると、「時環」という看板が出ていた。建物の一部でカフェをやっているのか。


店名の読みは「ときたま」、その名の通り時たま店を開けているらしい。残念ながらこの日は営業して
いなかったが、料亭の浴室をリノベーションして作られお庭を眺められるとか。また旧料亭本体の方も
時々公開日があって、座敷でうなぎなどを食べられるらしい。しかし、ネット検索では2019年までは
出てくるが、やはりコロナ以降はストップしているのだろうな・・・


川鉄から少し進んでいくと少し高みになったところに特徴的な楼門が見えてくる。
大慈寺は宇治の万福寺を本山とする黄檗宗のお寺で、原敬の菩提寺としても知られている。
1884(明治17)年の大火で消失後1905(明治38)年に再建されたこの山門は、竜宮門と呼ばれる
形式で、盛岡市の景観重要建造物に指定されている。ちょっと見て行こう。


おや、これは・・・山門の床は石畳でなく敷瓦が敷かれている!
測っていないが18cm角ぐらいだろうか、対角線上に溝が彫られている。黒っぽいものから赤っぽいものまで。


しかしこれ、つい最近見たことあるぞ。紺屋町近くのなまこ壁に使われていたのと同じじゃないの!?
中央に釘穴はないが、質感も同じ感じだな。




よく見ると溝の中に赤っぽい釉薬が溜まっている。これがオリジナルの色だろうか。


硬そうに見えてもろい感じ。明治38年の建造時のものだが製造地は不明という。

天井に龍が二匹描かれているというが、下ばかり見ていて天井を見なかったな(汗)

山門と本堂は正対しておらず斜めに通路が伸びている。
本堂も大火後の再建で、丸窓付き、裳階など、黄檗宗特有の形態を踏襲している。


反り返った入母屋屋根。こちらにもてっぺんにしゃちが載っている。


開いていた入口から中を覗くと、ここにも敷瓦が。万福寺と同じく真っ黒な大判の敷瓦が四半貼りされている。
きめ細かそうで、山門の床にあったものとは明らかに違うな。
中国風の建築様式を取り入れている禅宗寺院では敷瓦が使われているところが多い。


チューリップのようなかわいい雨水受け。「大正八年七月」の文字が見える。


境内の片隅に古いしゃちほこが置かれていた。本堂の上に載っていたものだろうか。それとも山門の?
しかし、さわったらケガしそうなイガイガ!!龍のような顔、パイナップルの葉のような体に大きなヒレ。
しゃちってこんなんだったか。


そして目を引いた、六角形の建物。日本離れしたデザイン、中国風なのか、洋風が入っているのか??
このサイズの建物というと、宝物殿とか、経蔵か何かだろうか。


ネット検索してみると、盛岡市先人記念館で2013年に開催された企画展「葛西萬司」の図録、「建築で
近代都市を描く 葛西萬司と盛岡の建築」という本の中に、葛西萬司が設計した大慈寺宝物庫が大慈寺境内に
現存する、という内容の記述があるのを見つけたのだが、それがこれなのだろうか。→こちら
もしそうだとすると、大正14年設計、昭和2年3月竣工、鉄筋コンクリート造。
葛西萬司は盛岡出身で辰野金吾に師事し、盛岡銀行や盛岡貯蓄銀行など盛岡の名だたる近代建築を設計している。


しかしこの建物の周りにはロープが張られており、危ないので近寄らないでください、と。
確かに、軒先のコンクリートが崩れ落ちていた。縁に巻かれていた薄い銅板も一緒に落ちており、細かく
切り込みを入れて曲げられているのが分かる。丁寧な細工、職人の技を予期せず目にすることができた。



「寺ノ下寺院群」には他にも立派なお寺があるが、このくらいにしておこう。

右文字のたばこタイル発見。横一列でなく少しずつずらして並べてあるのがイカスねぇ~~
白タイルをわざわざ細く切り欠いてはめ込んである。


「叶」の文字のレリーフ。


ぐるっと回って消防新番屋に戻ってきた。町家物語館でお土産を物色してから、ちょっと移動しよう。


続く

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