まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

伊東の旅館建築 東海館

2019-07-20 22:06:13 | 建物・まちなみ
伊東の続き。

ケイズハウスのお隣は、伊東でいちばんのお目当ての東海館。こちらも木造三階建てで、玄関にはケイズハウスと
そっくりな唐破風がついている。窓の手すりが連続しているファサードもよく似ていて、一見一体のようにも見える。


東海館は1928(昭和3)年に、伊東で材木商を営んでいた稲葉安太郎により創業。
稲葉・・・えっ、お隣の旧旅館いな葉とやっぱり関係があるんじゃないの!?


東海館は1997(平成9)年に70年の歴史に幕を下ろしたあと、建物が伊東市に寄贈された。改修を経て今は
文化施設としてオープン、立ち寄り湯が可能で喫茶室もある。そして200円で館内見学だけでもできるのだ。
帰りに喫茶室でお茶しようと思っていたのだが、せっかく来たので先に見学することに。

鶴と旭をモチーフにした懸魚。

入口に近寄ってみると、「今日は無料です」との張り紙が。おぉラッキー!


1階には事務所や展示室、喫茶室と浴室があり、小さな中庭を囲むようにして廊下が回っている。
川と道の間に挟まれ間口が広く薄い建物だと思っていたが、意外と奥行もあるのだな。


いちばん奥、川に面した棟が客室だ。ここは1938(昭和13)年に増築された「新館」だとか。
各客室の入口が戸建てのように独立し、廊下に対して雁行しているのが面白い!


桔梗の間、菖蒲の間、蘭の間、葵の間・・・各部屋、広さも違い、それぞれに違った意匠が見られる。
さすが元材木商だけあって、銘木、変木、珍木、ふんだんに使い、職人に腕を振るわせたのだろう。






廊下に面した窓や、床の間、書院などのデザインが各部屋それぞれ違い、それぞれ素敵だが、やはり大きめの
部屋が見ごたえがある。こちらは蘭の間。


書院の格子は、奥に冨士山、海には帆掛け舟が浮かび、手前には松の木を配した、のどかな風景。
伊東から望んだ冨士山だろうか。シンプルながら情緒豊かなデザインだなぁ。


こちらはいちばん奥、葵の間の書院の欄間。鳳凰の透かし彫り。


窓の外には河津桜が満開!!


2階へ。


こちらは2階のいちばん奥、葵の間の上にあたる、牡丹の間。


床脇の地袋の上の扉は仏壇だろうか?


書院の格子は投網と杭が描かれている。欄間は仏壇(?)の扉とシンクロする斜め格子に麻の葉のデザイン。


縁側に置かれた籐椅子に座って川べりの桜を眺めるなんて、なんて素敵なの!




3階へ。


続く

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