アルゼンチンから砂漠の国へ

2005年~2009年のオリジナル記事に、シンガポール時代の記事と、2009年以降のアメブロの旅行記を転記しました。

事務所閉鎖

2006年12月22日 | 雑感
12月22日(金)

引越し準備がすっかり整った事務所で、残務整理中。
今日、4月からお世話になったこの大塚事務所をたたんだ。
明日、明後日で今の7階から2階のH社の空きスペースに引越し、1月中旬の現地赴任まで間借りすることになった。

サウジアラビアのA社のメンバーは、後始末要員の事務屋がひとり残っているだけで、皆帰国した。イギリスのF社のメンバーは既に月の初めに現地赴任のVISA手続きのために帰国しており、赴任前の日本人メンバーと秘書達だけでバタバタと引越し準備をした。

4月に初めてこの事務所に来た時、A社の事務屋がアレンジして事務所ができていたが、机の間にある「ついたて」が、高さ1.5m以上あり、隣に人がいてもわからない、個室のようになっていた。
日本人のボスがやってきた時、一目見て、「なんだこのついたては。こんなんで仕事になるか。取っ払え!」と一喝。現在のような、隣の顔が見える低いついたてに変更した。

(引越し前の事務所)


A社の連中は、個室に入りたがる。
高いついたては、確かに、昼寝はできる、仕事をサボっても見つからない。彼らにとってはメリットだらけだ。

ブエノスアイレスの事務所では個室をもらっていたが、周りのメンバーと話す機会がつい少なくなり、仕事上は不便なことが多かった。そのため、東京では、個室が準備してあったが、あえて外の机を選んだ。日本人には大部屋の方が仕事がやり易い。

ところが、我がチームのPM(プロジェクトマネジャー)は、着任早々、自分用個室の調度品を全て交換させた。一説では、A社のPMは、そのステイタスを誇示するため、個室に200万円程度の事務机、会議机、椅子等を準備する決まりになっているとの事。H社が準備した、ごく一般的な機能だけの事務机がお気に召さなかったようだ。

(200万円?のPMの調度品)


しかし、これでも、ブエノスアイレスでの前PMのガラス製の机には負けている。
ブエノスアイレスでは、壁もガラス張りだった。ただ、いつもブラインドを下ろしていたので意味はなかったが・・・。

企業文化の差と言ってしまえばそれまでだが、A社のメンバーの社費を使った贅沢三昧は、わがS社と比べて少し度を越している。秘書から、「日本人の方々も、もっとお金を使ったらどうですか。」と言われても、われわれはケチケチのS社の基準で動かざるを得ないからしょうがない。

A社のメンバーは、成田空港と東京の往復はいつもタクシー。「電車の乗り方くらい覚えろよ!」と突っ込みを入れたくなる。メンバーによっては、飛行機は時々ファーストクラスを使っている。(もっともこれは、個人的なマイレージを利用したアップグレードらしいが。)一緒に食事に行って、たまにおごってくれると言うので、珍しいこともあるものだと思っていると、事務屋のマネージャーに指示して、社費で処理している。

同じフロアーの秘書を、個室から電話で呼びつけて、目の前の書類を「ホッチキスでとめてくれ。」と言うのはまだいいほうで、休日の観光案内まで秘書を使おうとする。アパートの契約関係は、言葉の問題もあるので、秘書を使うのはやむをえないが、出発の日に現金を持たずにタクシーに乗り、成田まで行って、「秘書に連絡して払ってもらってくれ。」と言うに至っては、非常識も度を越して、あきれるほかはない。


日本を発つ前に、一度アパートを引き払って荷物を発送し、ホテルに移り、アパートの清算等の残務処理をしたあと出発するのは、われわれもブエノスアイレスを出発する前に経験した一連のプロセスなので状況はわかる。

自分自身も、出発前に寮を出て、自宅で出発用の荷物を準備して、出発前の一週間はホテルから事務所に通うつもりだった。ただ、ホテルの出費を考慮して、少し安くつくウィークリーマンションを契約したら、会社から却下された。「寮を使ってください。」とのこと。荷物を全部送って、何もない部屋でどうやって生活しろと言うのか。とりあえず、寮は出発までの荷物置き場として利用させてもらい、キャンセル料がもったいないので、自費でウィークリーマンションを利用することにした。

本来、出発前の一週間程度は、赴任休暇が利用できるが、正月休みと重なり2週間あまりの休みとなってしまうので、権利は放棄した。第一、休んでいたら仕事に支障が出てしまう。

A社のPMは、早々に出国した。現地にいくのかと思いきや、家族のいるロンドンに帰り、1月中旬までバケーションだという。A社は、年間120日間は家族と過さなければならないという基準があるという。彼らは、自分たちの与えられた権利は最大限に利用する。権利があっても、「義務を果たさないで、権利を要求するとは何事だ!」と無言でプレッシャーをかけられる日本のサラリーマンとは大きな違いだ。

月曜日からは、年末年始の2週間、日本人だけの平和な事務所になる。
しかし、一度赴任したら、2年間の軟禁生活を余儀なくされる。工場も、コミュニティ(社宅地区)もフェンスで囲われており、24時間、同じメンバーと顔をあわせた生活になる。半年に一度の帰国の権利はあるが、権利が行使できるかどうかは保証の限りではない。気が重くなるばかりだ。







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