昨日(2014年12月26日)は本当に久しぶりに年末のアメ横をぶらついた。平日の日中ではあるもの相変わらず相当な賑わいであった。正直、私も含めて地元の人間は、アメ横の海産物はそれほど鮮度も質も良くないことを知っているが、それでも本当に安いので庶民としてコストパフォーマンス的には十分許せるということであろう。かく言う私もその安さにつられ、鍋の具材となるエビ、カニ、サケ、カキなどの海産物を大量に買ってしまった。基本アメ横で売っているものは海産物に限らず、何でも安いのだが、何故安いのかは、それぞれの商品でそれなりに理由がある。チョコレートなどのお菓子で極端に値の安いものは、(商品表示をよく見ればわかるが)消費期限が真近に迫ったものが多かったりする。メーカーや小売店が廃棄するよりはマシと安値で叩き売ったものが流れてきているのだが、日を長く置かなければ食しても全く問題なく、市価の半値近くなら文句もあるまい。
実家が徒歩圏にある私にとっては子供の頃から慣れ親しんできたアメ横だが、最近は随分趣が変わってきたようだ。外国人、その中でも特に中国人が経営する店が増えている点は注目に値する。アメ横と言えば、かつては在日韓国人が経営する小売店や焼き肉店が多く、私の小学校時代の同級生や実家の近所にもアメ横で商売をする在日韓国人が数多くいた(というか今も数多くいる)。しかし、最近は在日韓国人に加えて中国人やトルコ人の存在が目立ってきているのである。
最近アメ横に行ったことのある方が印象に残る店としては、イスラム圏でおなじみの焼き肉ケバブを売るトルコ人経営の店と中国人の経営する小吃店(ちょっとした中華の軽食店)があるのではないだろうか。どちらも屋台店であり、複数の屋台店が隣接して並んでいる。昨日小吃店でしばらく立ち止まった後、隣にあるケバブ店の横を通ったところ、私を中国人と勘違いしたのか、トルコ人のおにいちゃんに「你好!ケバブ、好吃(ハオチー、おいしいの意味)」と中国語で呼び込みをされてしまった。アメ横でトルコ人に中国人と勘違いされるとは何事か?という感じがするが、まあ、無理もない。中国の小吃店で食事をしている人たちはその多くが中国人である。アメ横を見に来た観光客や、買い物にやってきた来た在日中国人もいるようだ。こうした屋台の中には今日(27日)からは屋台店をたたんで正月の食材売りに変身する店もあるようだが、気軽に屋台で本場の味を食べられる場所は、中国人にとって真に有難いことであろう。私もたまにアメ横を訪れるとつい立ち寄ってしまうことも多い。
日本にも中華料理店は多いが、実のところ本場中国の味を味わえる店は非常に少ない。その多くは、日本人の口に合うように味を調整してしまっている「なんちゃって中華」である。私も中国に長く駐在するまでは、それでも横浜の中華街の店ぐらいは、本場に近い味を提供していると信じていた。しかし、そんなことはない。かなりの店の料理は日本式の中華である。サラリーマン時代に中国のお客さんや中国人の知り合いを、中華街に連れて行ったことが数多くあるが、中国人から「これ中国の味とは違う」「おいしくない」とはっきり言われたことが何度もある。すでに中国本場の味を知ってしまった私自身も今はそう思う。まあ、それも仕方がないことだ。そもそもメインの顧客である日本人の味覚が本場中国とは違うことに加え、食材調達の難度や価格も違う中で、日本で商売が成り立つよう長い時間をかけて味やスタイルを調整してきた結果なのだから。そういえば、中国で食べた日本食のかなりも「なんちゃって日本食」であった(一部はとても日本人が食べれる代物ではなかった)が、多くの中国人はそんなことは全く知らないので、自分が口にしているものが日本食と信じ、それなりに楽しんでいるのである。所詮、世の多くの外国料理はそんなものだろう。
いずれにしても、アメ横の中国の小吃店は、中国人自らが料理し、顧客ターゲットのかなりが中国人のため、中国本場の味が結構楽しめる。アメ横という日本の大衆が多く集まる場所(日本では値切り交渉ができる場所は少ないが、アメ横では店と時間帯等により値切り交渉ができる点でも何となく中国の自由市場に似た雰囲気がある)で、これまた庶民的な屋台で食事を提供しているという点でも中国人の郷愁を誘うのかもしれない。
さて、今回久しぶりに足を踏み入れて驚いたのがアメ横センターの地下にある、食材スーパーだ。以前訪れた時も中国を含めたアジアの食材を売ってはいたが、今は完全に中国食材店に様変わりしている。もはや日本人の姿はほとんどなく、売っている人も買っている人もほぼ中国人である。そもそも商品表示のかなりが日本語でなく中国語になっている点がそのことを如実に表している。日本人があまり食べない帯魚(タチウオ)、黄魚(イシモチに似ている魚)などの魚、鳥の一羽丸ごと売り、スッポンや豚足など中国人が料理することを前提とした食材が所狭しと並んでいる、それぞれの食材の奥行は深くないかもしれないが、調味料やインスタント食品などもそれほど高くない値段で売られていて、一通りの中国食材はここで揃う感じである。
法務省の在留外国人統計によれば、日本で在留資格を有する中国人は2013年で約65万人、かつて国別で圧倒的にトップであった韓国人(2013年で約52万人)を押さえて現在は国別トップである。それ以外に今年は訪日中国人(主に旅行者)が昨年比で約80~90%増の240~250万人(昨年は135万人)に達する見込みで、いずれにしても日本にいる中国人の数は急速に増加していることになる。訪日観光客の増加は円安の影響が大きいとは思うが、あれだけ反日キャンペーンを張っている国からの観光客が急増しているということは、日本人が想像するほどすべての中国人が反日感情を持っているわけではないことを物語っているともいえるであろう。そして、これからもこれらの中国人観光客が増え続けることはほぼ間違いない。
日本での在日中国人や訪日中国人観光客の増加に関しては、いろいろな意見があることは承知しているが、私は大局的に見て良いことだと思う。もちろん、犯罪に手を染めるような輩に来られては困るが、中国人旅行者についてはその多くが、日本で多くのお金を落としていることに加えて、ネットの書き込みなどを見てもわかるように反日教育を受けた若者たちの多くさえも、実際の日本を見て大変好意的な印象を持って帰国している点は軽く見るべきではない。領土問題等もあり短期的には日中両国が政治的緊張関係から解放されることは難しい。そうした状況下にあって心からの日本シンパを中国に数多く作ることが、外交関係の改善以上に重要なのである。今、日中関係を改善させる最強の手段は、多くの中国人観光客に日本に来てもらい、実際の日本を見てもらうことだと思っている。
増え続ける在日中国人の後押しもあって、アメ横ではこれからもますます、中国商人がビジネスを拡大していくであろうが、日本人はその様子を指をくわえて見つめているだけでなく、商機ととらえて対応していくべきだ。例えば、すでに横浜、神戸、長崎等の中華街では一般的になっている春節(中国の旧正月)の催しも、これからはますます活発になっていくはずだ。今でこそ、日本人にとっても当たり前となったクリスマス商戦。戦前にも、一部百貨店やホテル等にクリスマスツリーが飾られたり、イベントが営まれたケースはあったが、キリスト教徒のさほど多くない日本にクリスマスが年中イベントとして本格的に定着したのは、第二次大戦後のことであるという。日本の百貨店をはじめとする小売店等が欧米のイベント、商戦を真似することで、新たなビジネス機会を生み出し、様々な消費に火を点ける努力を重ねたことで、徐々に年中行事としてのクリスマスが日本人の意識の中に定着していった。
私は早晩、日本にも「春節商戦」なるものが、中華街のみならず日本のあちらこちらの繁華街に出現していくものと確信している。春節は中国大陸のみならず、香港、台湾、シンガポールなどの華人圏に加え、韓国でも同様に本当の意味での正月である。中国の経済力が増し、訪日中国人観光客が増えていく中で、かつて、欧米のクリスマスを模して商戦を拡大してきた小売店、ホテル、外食産業、それにマスコミ等もそれに便乗する形で、大々的なキャンペーンを張る日もそう遠くないのではないかと思う。その時アメ横はどうなっているのであろうか?
実家が徒歩圏にある私にとっては子供の頃から慣れ親しんできたアメ横だが、最近は随分趣が変わってきたようだ。外国人、その中でも特に中国人が経営する店が増えている点は注目に値する。アメ横と言えば、かつては在日韓国人が経営する小売店や焼き肉店が多く、私の小学校時代の同級生や実家の近所にもアメ横で商売をする在日韓国人が数多くいた(というか今も数多くいる)。しかし、最近は在日韓国人に加えて中国人やトルコ人の存在が目立ってきているのである。
最近アメ横に行ったことのある方が印象に残る店としては、イスラム圏でおなじみの焼き肉ケバブを売るトルコ人経営の店と中国人の経営する小吃店(ちょっとした中華の軽食店)があるのではないだろうか。どちらも屋台店であり、複数の屋台店が隣接して並んでいる。昨日小吃店でしばらく立ち止まった後、隣にあるケバブ店の横を通ったところ、私を中国人と勘違いしたのか、トルコ人のおにいちゃんに「你好!ケバブ、好吃(ハオチー、おいしいの意味)」と中国語で呼び込みをされてしまった。アメ横でトルコ人に中国人と勘違いされるとは何事か?という感じがするが、まあ、無理もない。中国の小吃店で食事をしている人たちはその多くが中国人である。アメ横を見に来た観光客や、買い物にやってきた来た在日中国人もいるようだ。こうした屋台の中には今日(27日)からは屋台店をたたんで正月の食材売りに変身する店もあるようだが、気軽に屋台で本場の味を食べられる場所は、中国人にとって真に有難いことであろう。私もたまにアメ横を訪れるとつい立ち寄ってしまうことも多い。
日本にも中華料理店は多いが、実のところ本場中国の味を味わえる店は非常に少ない。その多くは、日本人の口に合うように味を調整してしまっている「なんちゃって中華」である。私も中国に長く駐在するまでは、それでも横浜の中華街の店ぐらいは、本場に近い味を提供していると信じていた。しかし、そんなことはない。かなりの店の料理は日本式の中華である。サラリーマン時代に中国のお客さんや中国人の知り合いを、中華街に連れて行ったことが数多くあるが、中国人から「これ中国の味とは違う」「おいしくない」とはっきり言われたことが何度もある。すでに中国本場の味を知ってしまった私自身も今はそう思う。まあ、それも仕方がないことだ。そもそもメインの顧客である日本人の味覚が本場中国とは違うことに加え、食材調達の難度や価格も違う中で、日本で商売が成り立つよう長い時間をかけて味やスタイルを調整してきた結果なのだから。そういえば、中国で食べた日本食のかなりも「なんちゃって日本食」であった(一部はとても日本人が食べれる代物ではなかった)が、多くの中国人はそんなことは全く知らないので、自分が口にしているものが日本食と信じ、それなりに楽しんでいるのである。所詮、世の多くの外国料理はそんなものだろう。
いずれにしても、アメ横の中国の小吃店は、中国人自らが料理し、顧客ターゲットのかなりが中国人のため、中国本場の味が結構楽しめる。アメ横という日本の大衆が多く集まる場所(日本では値切り交渉ができる場所は少ないが、アメ横では店と時間帯等により値切り交渉ができる点でも何となく中国の自由市場に似た雰囲気がある)で、これまた庶民的な屋台で食事を提供しているという点でも中国人の郷愁を誘うのかもしれない。
さて、今回久しぶりに足を踏み入れて驚いたのがアメ横センターの地下にある、食材スーパーだ。以前訪れた時も中国を含めたアジアの食材を売ってはいたが、今は完全に中国食材店に様変わりしている。もはや日本人の姿はほとんどなく、売っている人も買っている人もほぼ中国人である。そもそも商品表示のかなりが日本語でなく中国語になっている点がそのことを如実に表している。日本人があまり食べない帯魚(タチウオ)、黄魚(イシモチに似ている魚)などの魚、鳥の一羽丸ごと売り、スッポンや豚足など中国人が料理することを前提とした食材が所狭しと並んでいる、それぞれの食材の奥行は深くないかもしれないが、調味料やインスタント食品などもそれほど高くない値段で売られていて、一通りの中国食材はここで揃う感じである。
法務省の在留外国人統計によれば、日本で在留資格を有する中国人は2013年で約65万人、かつて国別で圧倒的にトップであった韓国人(2013年で約52万人)を押さえて現在は国別トップである。それ以外に今年は訪日中国人(主に旅行者)が昨年比で約80~90%増の240~250万人(昨年は135万人)に達する見込みで、いずれにしても日本にいる中国人の数は急速に増加していることになる。訪日観光客の増加は円安の影響が大きいとは思うが、あれだけ反日キャンペーンを張っている国からの観光客が急増しているということは、日本人が想像するほどすべての中国人が反日感情を持っているわけではないことを物語っているともいえるであろう。そして、これからもこれらの中国人観光客が増え続けることはほぼ間違いない。
日本での在日中国人や訪日中国人観光客の増加に関しては、いろいろな意見があることは承知しているが、私は大局的に見て良いことだと思う。もちろん、犯罪に手を染めるような輩に来られては困るが、中国人旅行者についてはその多くが、日本で多くのお金を落としていることに加えて、ネットの書き込みなどを見てもわかるように反日教育を受けた若者たちの多くさえも、実際の日本を見て大変好意的な印象を持って帰国している点は軽く見るべきではない。領土問題等もあり短期的には日中両国が政治的緊張関係から解放されることは難しい。そうした状況下にあって心からの日本シンパを中国に数多く作ることが、外交関係の改善以上に重要なのである。今、日中関係を改善させる最強の手段は、多くの中国人観光客に日本に来てもらい、実際の日本を見てもらうことだと思っている。
増え続ける在日中国人の後押しもあって、アメ横ではこれからもますます、中国商人がビジネスを拡大していくであろうが、日本人はその様子を指をくわえて見つめているだけでなく、商機ととらえて対応していくべきだ。例えば、すでに横浜、神戸、長崎等の中華街では一般的になっている春節(中国の旧正月)の催しも、これからはますます活発になっていくはずだ。今でこそ、日本人にとっても当たり前となったクリスマス商戦。戦前にも、一部百貨店やホテル等にクリスマスツリーが飾られたり、イベントが営まれたケースはあったが、キリスト教徒のさほど多くない日本にクリスマスが年中イベントとして本格的に定着したのは、第二次大戦後のことであるという。日本の百貨店をはじめとする小売店等が欧米のイベント、商戦を真似することで、新たなビジネス機会を生み出し、様々な消費に火を点ける努力を重ねたことで、徐々に年中行事としてのクリスマスが日本人の意識の中に定着していった。
私は早晩、日本にも「春節商戦」なるものが、中華街のみならず日本のあちらこちらの繁華街に出現していくものと確信している。春節は中国大陸のみならず、香港、台湾、シンガポールなどの華人圏に加え、韓国でも同様に本当の意味での正月である。中国の経済力が増し、訪日中国人観光客が増えていく中で、かつて、欧米のクリスマスを模して商戦を拡大してきた小売店、ホテル、外食産業、それにマスコミ等もそれに便乗する形で、大々的なキャンペーンを張る日もそう遠くないのではないかと思う。その時アメ横はどうなっているのであろうか?