前に書いた記事で、
日本はオリンピックを開催する条件をクリアできていない明確なデータがある
と書きました。今回はその話について。
この1年間、オリンピックについて色々な意見が出され続けています。
開催する事の意義や経済に与える影響、開催の主権者は誰なのか、もし中止した時の賠償金、、
それらの中で最も基本的で大事なポイントが
コロナ感染の危険性
だと思います。
オリンピック開催を主張する人も、中止を主張する人もその点に異議を唱える人はいないかと思います。
※すみません、1人だけいました。IOCのコーツ氏。「アルマゲドンがない限り開催する」と、コロナの事は頭にないと公言してました
コーツ氏を除き、ほとんどの方はコロナ禍の中でオリンピックを開催するためには、菅首相がいつも仰る通り「安心・安全」が第一と考えてる。
では「安心・安全」の大会とするには何が最も必要か?
会場でアルコールを出さないこと?
無観客で開催すること?
関係者をバブル方式で遮断すること?
色々な対策がありますが、これらはそれぞれが実際の現場で行う対策の1つでしかありません。
最も重要な事は
「ワクチン接種」
だと私は思います。
「何を当たり前な事を」
と思われるかもしれません。
けれど、この事はほとんど話題にすら上がっていません。
「オリンピックまでに60歳以上の接種を完了する」
とか、
「大規模接種センターを立ち上げて100万人接種」
などの対策をしているじゃないか、と言われる方もいるかもしれません。
けれど、それらのワクチン対策は、
これまで政府が行ってきたワクチン政策の結果を受けて、いま出来ることを行っているだけ
です。
いま切羽詰まった状況であたふたと色々な対策をとって、「対策してます」という雰囲気を出していますが、そもそもオリンピックのコロナ対策というものは
もっと長い時間をかけて計画的に作り上げるもの
であり、その基本となるものが「ワクチンのはずだった」と思います。
「のはずだった」と書いたのは、ご存知の通り日本はワクチン政策で完全に失敗しているからです。
ワクチン政策に失敗した以上、日本はオリンピックを開催する条件を満たしていないと私は思います。
菅首相が言う「安心安全」のオリンピックとするためには、ワクチンが必須だと思いませんか?※ワクチン接種をしても完全ではないですが、、
いくらバブル方式をとっても、案内係や食事係や運転手が必要です。
それらの人は同僚とも接し、家に帰るために電車に乗って、家族と接し、買い物にも行くでしょう。
そういった漏れが出る事はやむを得ない、それでも感染拡大を防ぐための、今の最大の武器がワクチンのはずです。
選手達を守るためにワクチンを打つのと同じように、開催するためには開催国の国民を守るためにワクチン接種を終える必要がある。これは至極当たり前の発想ではないでしょうか。
しかし、現実にはそれが出来なかった。それどころかオリンピックのボランティアの人達にさえ1度目の接種しか出来ない。
なぜこんなことになってしまったのか?
バイデン大統領との会談で渡米した菅首相は「全国民分のワクチンを確保した」と胸を張りましたが、はたして日本政府のワクチン政策は万全だったのでしょうか?
多くの専門家が
「ワクチン確保の最良の手段は自国で生産すること」
と、初期から言っていたワクチン開発。
政府寄りで知られる産経新聞がこんな記事を書いています。
記事の中で、世界と日本のワクチン開発の予算について書いています。
日本のワクチン開発支援予算は
・第一次補正予算 100億円
・第二次補正予算 1400億円
・第三時補正予算 1200億円
とのこと。
アメリカのワクチン開発の支援予算は
140億ドル(約1兆5000億円)
EUや中国も同等の額を拠出しているそうです。まさしくケタ違い。
※イギリスの予算も調べたのですがデータ無くしました(泣)でも「国民の暴動を覚悟するほどの大盤振る舞い」の額を拠出した、とのことでした。
そしてなにより注目は、第一次補正予算 100億円 ということ。
第一次補正予算は昨年4月20日に出されました。休校要請も含め、最初の緊急事態宣言が出されていた最も厳しい時です。
この時にわずか100億円しか示されなかったワクチン開発関係者の落胆はいかばかりでしょう。
※比較対象として、goto事業には兆円単位が予算で組まれています。
その後1000万規模の補正予算を組んだところで、そんな「出るか出ないかわからない」予算で、どんなプロジェクトが組めるでしょう。
昨年のコロナ対策の小出しっぷりには嫌気がさしていましたが、改めて見るとこれはヒドい。
ただしワクチン開発は「賭け」の要素もあり、日本ではそもそも難しかったのかもしれません。
では「ワクチン確保」についてはどうでしょう。
昨年8月に、イギリスのアストラゼネカと契約したと記事がありました。
ワクチン1億2千万回分を供給へ アストラゼネカと合意:朝日新聞デジタル
この記事内でファイザーと6000万人分を基本合意した、ともあります。
このアストラゼネカ製は「血栓の不安」で使われておらず、台湾や東南アジアへ「供与」されています。
その後10月にモデルナと2500万人分を契約
ワクチン供給、3社目合意 新型コロナ2500万人分―厚労省:時事ドットコム
この時点でアストラゼネカを除くと8500万人分。
その後、前述のバイデン大統領との会談時(2021年4月)にスガ首相が「全国民分のワクチン確保した」ということで、この時に7200万人分を確保したという事です。
ただし供給時期は明示されず、「年内」という取り決めとのことなので、オリンピックとは関係ない話の模様。
つまり今の時点では「8500万人分」しか確保されておらず、まだ全てが日本に届いていません。
今現在「ワクチンが足りない」と騒いでいますが、大規模接種センターや職場接種と大盤振る舞いすればそりゃ足りなくなるでしょう。小学生でも出来る計算です。
では他国ではどのように確保を進めていたのか?
元情報となる記事を無くしてしまったのですが(泣)、イギリスのワクチン政策について大新聞(日経新聞?)が書いた記事を見ました。そこには、
「自国のアストラゼネカだけでは生産が間に合わないため、米国のワクチンを含めて5億回(6億回?)分のワクチンを確保した」
とありました。
アメリカでも同様に数億回のワクチンを事前に確保した、という話です。
これは「ワクチンの囲い込み」という負の側面からの記事でもありましたが、他のワクチン接種先進国は国民の数を遥かに超えた分のワクチンを確保していた様です。
それに対し、2021年になってから「全国民分を確保した」と胸を張ったスガ首相。
その後、菅首相自身が「ワクチン確保は失敗だった」と認めたとのこと。
「ワクチン確保は大失敗だった」菅首相は認めている(日経ビジネス) - Yahoo!ニュース
日本はオリンピック開催を控えた国です。その国が「ワクチン確保は失敗したけどオリンピックはやります」と言っているわけです。
このワクチンに関わる数字だけを見ても、日本はオリンピック開催をするための準備を怠っていたことは明らかだと思います。
なぜこの「事実」をもって、「オリンピックを開催てきるだけの能力がない」と判断することが出来ないのでしょうか?
ワクチン確保に失敗した政府がなぜ「オリンピックをやる」と決める事が出来るのでしょうか。
いまになって盛んにオリンピック対策を議論しているのは、
「これまでの準備不足」
を指摘されないためのカモフラージュの意味もあるのではないか、とすら思いたくなります。
この「前段階」での準備が出来ていないからこそ、皆が不安に思い、政府が信頼出来ない原因の1つになっているのはハッキリしていると思います。
もしオリンピックが成功しても、それは「運が良かっただけ」です。
その事を次の衆院選まで絶対に忘れてはいけないと思います。
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