迷走している特措法改正案ですが、懲役刑などの行政罰は無くすことで与野党合意しました。「過料」という前科の付かない罰則となったことでなんとなく「よかった」となっていますが、、
今回の騒ぎの中で、私は以下2点に強い疑問を感じていました。
①今回なぜ内閣は、反対される事が明白な「懲役刑」という過激な内容で提出したのか。
②そして、なぜ国会審議に入る前の与野党協議で「過料」とする訂正であっさりと合意したのか。
あまりにお粗末な法案提出と訂正。本当にこんなお粗末な事をやるものなのか??
それについて、
「このハゲーッ!」
で一世を風靡した豊田真由子さんの記事がありました。
菅政権が「大迷走」…コロナ罰則論議で見えた「これだけの問題点」(豊田 真由子) @gendai_biz
キレまくるやばい人、というイメージだった豊田氏でしたが、最近は色々なメディアで鋭い論評をしています。
ご自身が議員として関わっていた厚生労働関係の話題に強く、今回も「入院拒否の罰則規定」について詳しく解説しています。
特に「なるほど」と思ったのは、今回の罰則規定が議員立法ではなく「閣法」として提出された点を問題視していること。
与野党協議により懲役刑や罰金などの「行政罰」が削除されて、ひとまず「よかったよかった」となったわけですが、豊田氏は
「閣法」として提出した物を国会審議前の与野党協議で訂正するなどありえない。
と指摘しています。
あまり馴染みのない「閣法」という言葉ですが、立法府である国会の議員が提出するのではなく、行政府である内閣が「行政上どうしても必要なもの」として提出する形なんだそうです。
行政側から提出するため、提出前に厳しくチェックする形をとっていて、
①各省が内容を練り上げて内閣に提出し、
②内閣で内容を精査し、
③内閣法制局で法的に問題がない事を確認する
と、それぞれの段階で偏りがないか、国民にとって本当に必要か、と何重にも審査された上で提出される物である、とのこと。
その閣法の最も重要な部分が、本番の国会審議前に変更されるのであれば、内閣は
「大して必要でないものをいい加減に提出した」
ということになります。
本当は必要でないのにやろうとしたのであれば、過剰な権力の行使ですし、本当は必要なのに撤回するのであれば、国民を守るつもりのない無責任ということになります。(本文ママ)
つまり今回のように「提出しておいて事前に撤回」というのは、どんな理由があるにせよその内閣には質的、能力的に大きな問題がある、と指摘しています。
また、与野党協議で「行政罰ではなく過料で」と合意した内容についても疑問を呈しています。
今回、「過料」という内容で与野党合意したことで、行政罰ではないにせよ「個人の行動を制限するための罰則」が成立することになる、と豊田氏は警鐘を鳴らしています。
現行の感染症法は、かつて結核やハンセン病等の患者が強制収容され終生隔離生活を強いられるなど、感染症のまん延防止の名目で、著しい人権侵害が行われてきたことへの深い反省の上に成立したものです。そして、現行の感染症法においては、エボラ出血熱やペストなど、非常に毒性の強いものも含め、入院や調査拒否に対する罰則は存在しません。こうしたことの理由や意味、重みを、どう考えるのでしょうか?
豊田氏は、今回の「過料」が今後、個人の自由の制限拡大への第一歩にならない事を強く願う、と記事を結んでいます。
この記事を読んだ上で、改めて冒頭の疑問点2つを挙げてみます。
今回なぜ内閣は、反対される事が明白な「懲役刑」という過激な内容で提出したのか。
そして、なぜ国会審議に入る前の与野党協議で訂正を合意したのか。
閣法として提出したなら、安倍〜菅政権の性質からして無理矢理にでも押し通そうとするのが彼らのやり方です。それがあっけないほどの今回の幕切れ。
もしかしたら「過料」という個人の自由を制限する突破口を、内閣は元々狙っていたのではないか?
そんな心配が杞憂であることを強く願います。