菅首相の電撃発言により新たな局面に入った自民党総裁選。
菅首相の不出馬を聞いて河野氏や野田氏らが続々と名乗り出ていますが、本命が岸田氏なのは間違いないでしょう。
今の自民党は 二階派 安倍派 麻生派 の3派の意向+選挙のための大衆ウケ でほぼ全てが決まります。
※もし二階氏が幹事長から降りても、あの二階氏が影響力を失うわけがありません。必ず裏で影響力を持つ形を残すはずです。
3派に対して軋轢が少なく、(恐らく)操作しやすく、柔らかいイメージで一般受けも良い岸田氏は、はた目からも現状では1番適任と思えます。
しかし「3派の意向」を汲める、ということは、結局は菅政権のやってきたことから大きく変化出来ない、という意味も含まれると思います。
そして、この3派(というか自民党自体)の体質として、
政策をややこしくしてお友達企業に利益を回す
という点があります。
例えば「住宅政策」。
私は2019年に中古住宅を購入し、同時にリフォームを行いました。
空き家対策 や 住宅の熱効率改善 などの政府の方針があるので、補助金を利用しようと色々調べましたが、結局断念しました。
というのも、数々の「使えそうな」補助金はあるのですが、どれもまず「登録業者による工事」であることが前提条件だったのです。
私は地元の大工にリフォームを頼んだので、その時点で全ての補助金が使えない事になりました。
もし登録業者で工事するにしても「全窓を二重窓にする」「壁・床・天井のうち2面を断熱する空間を40平米以上」というような、無茶振りだったり理解が難しい内容だったりの上、使用する建材が厳密に決められており、付き合いのある建材業者を利用する地元工務店などではまず不可能。
その結果、補助金を利用できるのは実質的に「補助金を利用するために立ち上げた業者」だけ、というような状態になっています。※そのため、「エコ」「ロハス」を謳ったヨコ文字の新規建築業者が世の中に溢れていると思われます
この新規業者は「補助金が得られますよ」とうたっていますが、実際には工事単価などが従来相場より高いので結局補助金分は業者に入る形になります(実際に見積もり取って確認済)。
もちろん、ちゃんと補助金分をお客に還元する良心的な業者もあるでしょうが、その業者を見極めることは一般消費者には不可能です。
そして補助金を利用する際は「建材」も決められているため、大手建材メーカーは自動的に自社の建材が選ばれるためこちらにも利益が出るでしょう。けれど利用者当人である個人には還元が望めないのです。
そのくせ「経産省」や「国土交通省」などが同じ内容の補助金をカブって設定しているため(両方は受けられない)、見た目だけ「充実した補助」になっています。
つまり、結局は「中古住宅を買う」「リフォームする」当人にメリットが回らず、それを請け負う業者に利益のある制度になっているのです。
この構造、何かに似ていませんか?
コロナ対策における「持続化給付金」や「休業支援金」。これらもかなり似た構造です。
減税や確定申告を利用すれば手間を抑えてより公平に「実質的給付」を行えるはずなのに、敢えて煩雑な手続きを規定することで中間業者や下請け、孫請けに業務を受けさせての「中抜き」。
「休んだ本人」にお金を出すのではなく、勤める企業が申請する形にすることで制度自体が複雑化して、本当に給付の必要なフリーランスやパート・アルバイトに給付が行き渡らない「休業支援金」。
名目や方向性は合っていても、「やり方」が決定的に間違っているために本当に困っている人に回らない。しかもその間違いは利益誘導のために故意に行われる。
これは菅政権の問題ではなく、歴代の自民党政権に通じる問題で、自民党の体質と言っていいと思います。誰が総裁になろうと変わらないでしょう。
いくら新しい総裁が有効な政策を打ち出しても、実行において「これ」が起きてしまったらなんの意味もありません。
それだけに、総裁選後の衆院選挙が大切なのだと思います。
政権交代とまで言わなくとも、常に危機感を持たせていなければ、自民党にはまともな政策は期待出来ないと思います。
空き家の中古住宅を買ってリフォームすることに変わりはないのに、