プロポジション 血の誓約ソニー・ピクチャーズエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
『300』DVDと同日発売のデイヴィッド・ウェナム出演作品、『プロポジション─血の誓約─』。
映画自体は傑作と言われながらも日本未公開だったので、DVDだけでも発売されて嬉しいです。豪版は持っていますが、アマゾンで予約購入しました。
当ブログでの作品レビューや感想は下記にまとめておきます。
自分にとっては『プレステージ』と並んで、いや、それ以上に力を入れて書いた渾身の(!)レビューです。実際、自分が書いて来たものの中で、「感想」ではなくて「批評」と呼ぶに値する文章はこれくらいだと思います。
長文なので、お時間がある時にでもお読み下さい。
"The Proposition"(1)
"The Proposition"(2)
The Propositionの俳優たち
"The Proposition"の音楽
それにしても、日本版DVDジャケットの「サム・ペキンパーに捧げる!血と暴力に溢れたバイオレンス・アクション!」なる惹句は、この作品の本質からはほど遠いと思います。
「血と暴力」は本当ですが、この作品が描こうとしたものは、映像特典「撮影の舞台裏」に於いて監督や出演者たちによって語られている通りで、自分が書いたレビューが外していなかったことが判り、ほっとしました。
開拓時代のオーストラリアのアウトバック。その環境にあって、開拓者や入植民たちはしょせん異邦人である。
だからこそ、その自然を愛し、その世界とその掟に或る意味順応しているアーサー・バーンズは、白人中心コミュニティから見ればアウトローでしかなく「モンスター」にしかなり得ない──
今回観直して、改めてそれが納得できました。
演じるダニー・ヒューストン自身も、そういう意味のことを語っています。『プロポジション』という作品の最大の見どころは、実にこのアーサーという特異なキャラクターそのものだと言ってもいいくらいです。
彼を語るヒューストンも、セクシーで魅力的でした。また、彼の口から「ローレン・バコールから聞いた話」として、父ジョン・ヒューストン監督とハンフリー・ボガートの逸話が語られるのも興味深かったです。
特典には、本編中殆ど出番のなかったノア・テイラーのインタビューも収録されていますが、彼が作品を正しく理解し、出演したのを誇りに思っていることが判って感銘を受けました。
その他の出演者も、まず脚本の素晴らしさに触れ、これこそがオーストラリアの真実、その本質を描いた作品だと語っているのが印象的です。
もちろんデイヴィッド・ウェナムへのインタビューもありますが、当然ながら映画の中のフレッチャーの「あの声」ではなく、彼本来の声で語っています。
フレッチャーという人物についての彼の見方は、当ブログのここで紹介したインタビューなどを参考にして下さい。
それにしても、あの対立構造の中ではいわば「ラスボス」にあたるフレッチャー自身が死ななかったことを興味深く思います。凡百の娯楽作品なら、その展開になりますよね。
ああいう結果になったことは、彼にとってラッキーなのかアンラッキーなのか……自ら口にした言葉を、相手側から実践されてしまったとも言える訳で、彼がその理論や立場を保ったままあの地に留まる限り、悪夢は終わらないでしょう。
いまだに300を観れていないのがアレですが『プロポジション』をみました。ずっと観たかったので日本語字幕で観られてうれしいです。
自分で感想を書くとうまくかけない、と悩んでいましたんですがQさんの記事がより分かりやすく映画の深いところまで分かるので感想のエントリーの中で紹介させていただきました。
そのアドレスはhttp://favoritecinema.269g.net/
『年中夢中シネマレヴュー』です。
不都合などがありましたらご一報くださいませ。
宜しくお願いします。
>白木庵さま
いらっしゃいませ。
トラックバックありがとうございます。後ほどこちらからも送らせて頂いてかまいませんでしょうか?
本当に劇場未公開が惜しい傑作だと思います。
>mahito様
こちらこそご無沙汰しております。
リンクありがとうございました。あのようなレビューでも何かお役に立てれば幸いです。
内容が内容だけに、日本での公開は難しかったかも知れませんが、ちゃんと評価されてしかるべき作品だと思います。
ところで、今月発売の映画・DVD雑誌の未公開作DVD紹介ページでは、『映画秘宝』が、かなりの高評価をこの映画に与えています。クセや偏りの強い雑誌ですが、その評は頷ける内容でした。