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久しぶりに早く起きて、娘と共に10時少し過ぎに出かけました。行き先は渋谷Bunkamura シアターコクーン。『十二人の怒れる男』を観るためです。実は本日が千穐楽。最初で最後の観劇となりました。
十二人の怒れる男 | Bunkamura
お目当は陪審員4番こと石丸幹二さんですが、石丸さんの舞台を観に行くのは昨年9月のミュージカル『ペテン師と詐欺師』以来、実に一年ぶり。このたびはストレートプレイです。
実は都心部へ出かけるのも、2月の法事で深川へ行って以来、約八ヶ月ぶりとなります。もちろん新型コロナウイルス禍ゆえの自粛行動です。近頃は電車での外出も隣駅くらい、それ以上は市内でも専らタクシーを使っていました。というわけで、久しぶりの電車での移動に際しては、なるべく乗車時間や乗り換えの少ないコースを選びました。往路はその方が座れるし、実は人も少ないのです。都の自粛解除以来、乗客数は少しずつ戻っているようですが、それでもコロナ禍以前の日曜日よりは少なめな感じでした。
昼前に神泉駅に到着。Bunkamura隣の東急本店でお昼を食べ、更にBunkamuraのロビーラウンジでアイスカフェオレで一休みするくらいの時間はありました。
入場前にアルコール消毒と検温あり。客席も一つずつ空けての配置。書き忘れましたが、舞台はセンターステージで、十二人の陪審員たちが議論を繰り広げるのを、観客が周りを囲んでリアルタイムで見つめるという臨場感ある演出です。
客席イメージ
その舞台内容ですが、出演者の皆さんの熱演もあり充実したものでした。先日、シドニー・ルメット監督、ヘンリー・フォンダ主演の映画版を久しぶりに観直したばかりですが、キャラクター設定や話の展開は、かなり細かい部分まで映画そのままでした。
まとまった感想も書きたいのですが、とりあえずはツイッターに上げたものを幾つか貼っておきます。
その前に石丸幹二さんのツイートも——
#十二人の怒れる男ただいま終演しました!新型コロナに負けず!無事完走🏃♂️1.同じ楽屋の #山崎一 さんとカンパニーTシャツを着て。2.台本とセンターテーブルに載った小道具3.そしてナイフを指していたテーブルの一部 ㊙️?御声援 御観劇 ありがとうございました#シアターコクーン#石丸幹二 pic.twitter.com/9cIX3REKSP
— 石丸幹二 (@team_kanji) October 4, 2020
机の上が「あのナイフ」で傷だらけ!
#十二人の怒れる男 最初で最後の鑑賞が千穐楽でした。内容は細かい所までほぼ映画と同じ。ただし、映画のあの印象的なエピローグはありませんでした。
— レイチェル (@Rachel2012R) October 4, 2020
#十二人の怒れる男 自分にとって、この話は法廷劇と言うよりやはり本格ミステリで、事件への疑問と同時に陪審員個々の人間性も解き明かされていく所がミソです。
— レイチェル (@Rachel2012R) October 4, 2020
#十二人の怒れる男 ラストの8番さんの3番さんへの振る舞いを見ると、このディスカッションが3番さんへのセラピーでもあったことがわかります。これも本格ミステリの構造による作用の一つ。京極夏彦先生言うところの「憑き物落とし」です。
— レイチェル (@Rachel2012R) October 4, 2020
フォロワーさんからのご指摘で思い出しましたが、8番陪審員役の堤真一さんは、まさにその京極夏彦先生原作の映画『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』で京極堂こと中禅寺秋彦を演じていました!実のところ、映画はどちらも未見なのですが……(しかし当時なぜかガイドブックを買った記憶はあります)
ミステリとしては、警察の杜撰捜査や検察の取り調べを複数のアマチュア探偵が検証し、事件の真相を推理し再構成するアームチェア・ディテクティブ物であり、最も近いのはアイザック・アシモフの『黒後家蜘蛛の会』シリーズだと思います。そして、議論を重ねる彼らを通して民主主義の有りようもが浮かび上がってくるという構成。「独裁国家で本格ミステリは生まれない」という至言を思い出さずにいられません。
最初のドラマ版やルメット監督による映画版が作られたのは1950年代。それから70年近い時を経ても、世界は今もなおこの作品を必要としています。