久々の投稿です。
小田原に一風変わったアート施設がると云うことで行ってきました。
あらかじめオンラインでチケットを購入(受取はコンビニエンスストア)、電車で行く人は、同時に往復の送迎バスを予約することになっています。
東海道線の根府川駅で下車、しばらく待っていると送迎バスが到着、約10分で小田原江之浦測候所に到着。
根府川駅
相模湾岸に建つ無人駅ですが、鉄道ファンとしても知られるタモリがJR4368駅の中で一番気に入ったのが根府川駅とか。関東の駅百選にも選ばれている。
近年、江之浦測候所を見学に訪れる人が増え、駅の乗降客も増えているようです。
ちなみに根府川駅周辺には、飲食店や喫茶店などの暇を潰せるようなお店は全くありませんでした。
最初に江之浦測候所について
正式名称は「小田原文化財団江之浦測候所」とあります。写真家で現代美術作家の杉本氏がかってミカン畑だった小田原江之浦の地に建設した美術館並びに展示施設。
美術品鑑賞のためのギャラリー棟、石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、待合所などから構成されていて、日本文化の精髄を世界に発信することを目的としています。
各建築物は我が国の建築様式及び工法の各時代の特徴を取り入れて、それを再現している。
擁壁、建築群に使用されている石材は、根府川石、小松石などを使用している。
又、造園のための景石には早川石丁場群跡から出土した江戸城石垣用の原石を使用している。
駐車場から坂道を登ったところにある、カフェの休憩場所から相模湾を望む。
明月門
施設に到着して最初に出迎えてくれる「明月門(メイゲツモン)」。もともとは鎌倉にある臨済宗建長寺派の明月院の正門として室町時代に建てられたもの。さらに近年は南青山の根津美術館の正門として使用されていましたが、建て替えに伴い寄贈され、江之浦測候所正門として解体修理され再建されました。
待合所でチケットを回収、同時に施設の説明書冊子を受取る。
待合棟
硝子で囲まれた現代的な建築。中央のテーブルには樹齢1000年を超える屋久杉の天板。そこに高野山 大観寺にあった水鉢を埋め込んでいます。
ここで受け取った冊子を読み、前知識をインプット。
さあ 荷物をロッカーに預けて出発!
(広大な敷地にもかかわらず、景観を守るとかの理由で、道順を示す標識が全くなく、何処からどう廻ればいいのかまごまごした。出発前に貰った冊子を少し丁寧に見ておくべきだった。)
ギャラリー棟
海抜100メートルの地点に延びる全長100mの夏至光遥拝ギャラリー棟、
建物の延長線上の突端は海側へ突き出している。
この建築は、太陽が登る方向に向いていて、夏至の時は正面に夏至の日の出を見ることができる設定になっているそうです。
ギャラリー棟の手前の敷石は、京都市電軌道敷石。敷地内の巡廻路には京都市電で使われていた敷地が多数使われている。
ギャラリー棟先端から相模湾を望む。
ギャラリー棟内部
100メートルの構造壁は大谷石の自然剥離肌に覆われ、対面の硝子窓は柱の支え無しに硝子板が37枚が自立している。突き当りは空中に浮いていて、相模湾が一望できる。
大谷石で造られているギャラリー棟の外壁。
この日ギャラリー棟では、設立者杉本博司氏の作品「海景」シリーズの展示中でした。
冬至光遥拝隧道
こちらは冬至に朝日が登る方向に向いている鋼製のトンネル内部。
冬至の朝、相模湾から昇る陽光は70メートルの隧道(トンネル)を貫き、対面して置かれた巨石を照らし出す。
巨石
これらの巨石は江戸城の石垣のために切り出された石で、根府川海岸の海底には、近隣の山中から切り出され江戸湾まで回航する途中、回航に失敗して沈んだ巨石がいくつも眠っているそうです。
写真の右側にトンネルの入口があります。
トンネル入口
真ん中小さく白く見えるところが相模湾を望む出口。
トンネル入口の手前には、円形の石舞台。
中央には大名屋敷の大灯篭を据えていた伽藍石を置き、、周囲を京都市電の敷石を放射状に擦り合わせてある。
光井戸
トンネルの中間地点には採光のための空間があり、そこには光学硝子を敷き詰めた光井戸がある。
トンネルの出口付近から相模湾を望む。
冬至の日には、ここから日の出が昇るのが見られ、陽光が隧道(トンネル)を貫く、と云う。
トンネル(冬至光遥拝隧道)の屋根の部分。右の建築物は光学硝子舞台
隧道の突端近くに止め石(「これより前に行かないように」、の目印)が置いてありますが、そこまでも近寄ることも出来ませんでした。
光学硝子舞台
冬至の軸線に沿って、檜の懸造の上に光学硝子が敷き詰められた舞台とイタリアの古代ローマ円形劇場遺跡を実測し再現した観客席。
客席からは硝子の舞台が水面に浮いているように見える。
ここでは音楽イベントなどさまざまなプログラムが開催されています。
懸造(かけづくり)は京都清水寺の舞台にも見られる。
「石」
施設内を見て廻ると石を生かした建築物や作庭があちこちに点在する。
使用される石材は古材を基本とし、数十年に亘り収集された古墳時代から近世までの考古遺物や古材を使用しています。と、ガイドブックにあります。
石造りの能舞台(写真の上の部分)
舞台四隅の隅石(すみいし)には近隣の早川石丁場跡から発掘された、江戸城石垣のために使われた巨石を配している。
海に向かう三角塚の石組
海に向かった三角形の舞台の頂点は春分秋分時の正午の太陽の方角を指している。このとき太陽は子午線を通過する。と云う。
小松石 石組
当敷地から南に2キロ程の場所に小松石丁場がある。
小松石は積層が剥離した肌に独特の形と味わいがある。この小松石を景石として三角形の苔庭に据えた。
根府川石 浮橋
近隣の根府川石丁場から採取される根府川石は、自然肌の平滑面を持つのが特徴である。この平滑面を利用して踏石としてレベルを揃え、自然石を地表から僅かに浮かせて設置した。石を伏せるという工法の顕著な例である。
元興寺礎石
奈良の猿沢池近くの旧元興寺城から発掘された4基のうちの3基とされる。礎石の上に建つ柱の直径は60cmでかなり大型建築と推測される。
箱根宮ノ下にあった名旅館「奈良屋」の別邸に至る門。
平成13年の廃業に伴い箱根町より小田原文化財団に寄贈された。関東大震災後の大正~昭和初期の建築と思われる。戦後、日本国憲法草案の一部が近衛文麿、佐々木惣一によりこの旅館で書かれた。その後この別邸は岸信介元首相の夏の別荘として使用された。また門の巨大な踏込石は、大阪府箕面にあった旧笹川良一邸から移築された。
朝鮮灯篭
品川御殿山にあった旧家の庭に据えられていた灯篭で、再開発のためこの地に移された。
竹林エリアを望む。
江の浦測候所には2021年現在で全52の展示があり。明月門エリアと竹林エリアとあります。今回は明月門エリアを中心に見て廻りました。竹林エリアにも行きたかったのすが、急斜面になっていて体力の限界もあり断念。明月門エリアだけでも茶室など見過ごしたところもありましたが、十分堪能しました。
ギャラリー棟から江の浦測候所の周りのミカン畑のを望む。
※お断り:写真の説明文は、江の浦測候所の受付で頂いた、冊子の説明文を引用させていただきました。
江の浦測候所からの帰り、
2020年12月4日(金)、箱根・伊豆の玄関口として知られる小田原駅前にオープンした地上14階建ての複合商業施設「minaka小田原」。に立ち寄って見ました。
小田原ならではのショップ57店舗が集結した「ミナカ小田原」には、地元で人気のグルメやお土産店が軒を連ねる「小田原城下町・金次郎広場」、「ホテル」、屋上には小田原城を間近に望む展望足湯、など、”みらいの宿場街”をコンセプトにした施設は、本場の宿場町のような江戸情緒あふれる雰囲気を楽しむことができます。
屋上から小田原城方面を望む。
屋上にある展望足湯。
3階にある金次郎広場。両側には食べ物屋さんが連なっている。
長々とご覧いただきありがとうございました。
投稿者:やまちゃん
小田原に一風変わったアート施設がると云うことで行ってきました。
あらかじめオンラインでチケットを購入(受取はコンビニエンスストア)、電車で行く人は、同時に往復の送迎バスを予約することになっています。
東海道線の根府川駅で下車、しばらく待っていると送迎バスが到着、約10分で小田原江之浦測候所に到着。
根府川駅
相模湾岸に建つ無人駅ですが、鉄道ファンとしても知られるタモリがJR4368駅の中で一番気に入ったのが根府川駅とか。関東の駅百選にも選ばれている。
近年、江之浦測候所を見学に訪れる人が増え、駅の乗降客も増えているようです。
ちなみに根府川駅周辺には、飲食店や喫茶店などの暇を潰せるようなお店は全くありませんでした。
最初に江之浦測候所について
正式名称は「小田原文化財団江之浦測候所」とあります。写真家で現代美術作家の杉本氏がかってミカン畑だった小田原江之浦の地に建設した美術館並びに展示施設。
美術品鑑賞のためのギャラリー棟、石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、待合所などから構成されていて、日本文化の精髄を世界に発信することを目的としています。
各建築物は我が国の建築様式及び工法の各時代の特徴を取り入れて、それを再現している。
擁壁、建築群に使用されている石材は、根府川石、小松石などを使用している。
又、造園のための景石には早川石丁場群跡から出土した江戸城石垣用の原石を使用している。
駐車場から坂道を登ったところにある、カフェの休憩場所から相模湾を望む。
明月門
施設に到着して最初に出迎えてくれる「明月門(メイゲツモン)」。もともとは鎌倉にある臨済宗建長寺派の明月院の正門として室町時代に建てられたもの。さらに近年は南青山の根津美術館の正門として使用されていましたが、建て替えに伴い寄贈され、江之浦測候所正門として解体修理され再建されました。
待合所でチケットを回収、同時に施設の説明書冊子を受取る。
待合棟
硝子で囲まれた現代的な建築。中央のテーブルには樹齢1000年を超える屋久杉の天板。そこに高野山 大観寺にあった水鉢を埋め込んでいます。
ここで受け取った冊子を読み、前知識をインプット。
さあ 荷物をロッカーに預けて出発!
(広大な敷地にもかかわらず、景観を守るとかの理由で、道順を示す標識が全くなく、何処からどう廻ればいいのかまごまごした。出発前に貰った冊子を少し丁寧に見ておくべきだった。)
ギャラリー棟
海抜100メートルの地点に延びる全長100mの夏至光遥拝ギャラリー棟、
建物の延長線上の突端は海側へ突き出している。
この建築は、太陽が登る方向に向いていて、夏至の時は正面に夏至の日の出を見ることができる設定になっているそうです。
ギャラリー棟の手前の敷石は、京都市電軌道敷石。敷地内の巡廻路には京都市電で使われていた敷地が多数使われている。
ギャラリー棟先端から相模湾を望む。
ギャラリー棟内部
100メートルの構造壁は大谷石の自然剥離肌に覆われ、対面の硝子窓は柱の支え無しに硝子板が37枚が自立している。突き当りは空中に浮いていて、相模湾が一望できる。
大谷石で造られているギャラリー棟の外壁。
この日ギャラリー棟では、設立者杉本博司氏の作品「海景」シリーズの展示中でした。
冬至光遥拝隧道
こちらは冬至に朝日が登る方向に向いている鋼製のトンネル内部。
冬至の朝、相模湾から昇る陽光は70メートルの隧道(トンネル)を貫き、対面して置かれた巨石を照らし出す。
巨石
これらの巨石は江戸城の石垣のために切り出された石で、根府川海岸の海底には、近隣の山中から切り出され江戸湾まで回航する途中、回航に失敗して沈んだ巨石がいくつも眠っているそうです。
写真の右側にトンネルの入口があります。
トンネル入口
真ん中小さく白く見えるところが相模湾を望む出口。
トンネル入口の手前には、円形の石舞台。
中央には大名屋敷の大灯篭を据えていた伽藍石を置き、、周囲を京都市電の敷石を放射状に擦り合わせてある。
光井戸
トンネルの中間地点には採光のための空間があり、そこには光学硝子を敷き詰めた光井戸がある。
トンネルの出口付近から相模湾を望む。
冬至の日には、ここから日の出が昇るのが見られ、陽光が隧道(トンネル)を貫く、と云う。
トンネル(冬至光遥拝隧道)の屋根の部分。右の建築物は光学硝子舞台
隧道の突端近くに止め石(「これより前に行かないように」、の目印)が置いてありますが、そこまでも近寄ることも出来ませんでした。
光学硝子舞台
冬至の軸線に沿って、檜の懸造の上に光学硝子が敷き詰められた舞台とイタリアの古代ローマ円形劇場遺跡を実測し再現した観客席。
客席からは硝子の舞台が水面に浮いているように見える。
ここでは音楽イベントなどさまざまなプログラムが開催されています。
懸造(かけづくり)は京都清水寺の舞台にも見られる。
「石」
施設内を見て廻ると石を生かした建築物や作庭があちこちに点在する。
使用される石材は古材を基本とし、数十年に亘り収集された古墳時代から近世までの考古遺物や古材を使用しています。と、ガイドブックにあります。
石造りの能舞台(写真の上の部分)
舞台四隅の隅石(すみいし)には近隣の早川石丁場跡から発掘された、江戸城石垣のために使われた巨石を配している。
海に向かう三角塚の石組
海に向かった三角形の舞台の頂点は春分秋分時の正午の太陽の方角を指している。このとき太陽は子午線を通過する。と云う。
小松石 石組
当敷地から南に2キロ程の場所に小松石丁場がある。
小松石は積層が剥離した肌に独特の形と味わいがある。この小松石を景石として三角形の苔庭に据えた。
根府川石 浮橋
近隣の根府川石丁場から採取される根府川石は、自然肌の平滑面を持つのが特徴である。この平滑面を利用して踏石としてレベルを揃え、自然石を地表から僅かに浮かせて設置した。石を伏せるという工法の顕著な例である。
元興寺礎石
奈良の猿沢池近くの旧元興寺城から発掘された4基のうちの3基とされる。礎石の上に建つ柱の直径は60cmでかなり大型建築と推測される。
箱根宮ノ下にあった名旅館「奈良屋」の別邸に至る門。
平成13年の廃業に伴い箱根町より小田原文化財団に寄贈された。関東大震災後の大正~昭和初期の建築と思われる。戦後、日本国憲法草案の一部が近衛文麿、佐々木惣一によりこの旅館で書かれた。その後この別邸は岸信介元首相の夏の別荘として使用された。また門の巨大な踏込石は、大阪府箕面にあった旧笹川良一邸から移築された。
朝鮮灯篭
品川御殿山にあった旧家の庭に据えられていた灯篭で、再開発のためこの地に移された。
竹林エリアを望む。
江の浦測候所には2021年現在で全52の展示があり。明月門エリアと竹林エリアとあります。今回は明月門エリアを中心に見て廻りました。竹林エリアにも行きたかったのすが、急斜面になっていて体力の限界もあり断念。明月門エリアだけでも茶室など見過ごしたところもありましたが、十分堪能しました。
ギャラリー棟から江の浦測候所の周りのミカン畑のを望む。
※お断り:写真の説明文は、江の浦測候所の受付で頂いた、冊子の説明文を引用させていただきました。
江の浦測候所からの帰り、
2020年12月4日(金)、箱根・伊豆の玄関口として知られる小田原駅前にオープンした地上14階建ての複合商業施設「minaka小田原」。に立ち寄って見ました。
小田原ならではのショップ57店舗が集結した「ミナカ小田原」には、地元で人気のグルメやお土産店が軒を連ねる「小田原城下町・金次郎広場」、「ホテル」、屋上には小田原城を間近に望む展望足湯、など、”みらいの宿場街”をコンセプトにした施設は、本場の宿場町のような江戸情緒あふれる雰囲気を楽しむことができます。
屋上から小田原城方面を望む。
屋上にある展望足湯。
3階にある金次郎広場。両側には食べ物屋さんが連なっている。
長々とご覧いただきありがとうございました。
投稿者:やまちゃん
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