幼少期のトラウマというのは、怖いものだ。
昔のピアノの先生は、怖くて厳しかった。私の先生も例外ではなかった。先生に怒られると怖いから、何かをするようになった。できない時は、どうしていいかわからなくて、辛かった。別に、先生を批判するつもりはないし、そういう時代だったのだろう。○○先生のお弟子さんは、みんな言葉遣いが悪いとか、☓☓先生のお弟子さんは、みんな暴力的だとか。
ヨーロッパに来て初めて、それがここでは、「虐待」と言われることに気付いた。
私は10年ほど音楽から遠ざかっていたことがある。その間に美術の勉強をした。
でも結局、音楽に戻ってきた。心のどこかに、先生は怖かったけど、音楽が好きだという気持ちが残っていたのだろう。
しかし、レッスンのトラウマというのは、なかなか克服できない。自分がピアノを教える立場にたって、カウンセラーに通って、それでも難しいものだ。
自分が教える方はいいけど、自分がレッスンを受ける立場となると、また変わってくる。リコーダーのレッスンを受ける決心がつくまで、2年以上かかった。いろいろな言い訳をして、レッスンを受けることを遠ざけてきた。
まだ2回しかレッスンを受けていないけど、本当に良い先生に会えたなあと思う。対面ではなくて、オンラインなのが残念だが、物を習うには、良い先生が必要って、よくよく分かった。幼少期のトラウマは、どこへ消えたのだろう。1回目のレッスンから、全然怖くなかった。むしろ、すごく勉強になったし、すごく刺激を受けた。レッスンが楽しみ、という気持ちも湧いてきた。不思議なことに、1回目のレッスンの予約をした時にもうすでに、良い予感がしていた。こういうのって、相性もあると思う。凄く熱心な温かい先生に会えて感謝している。
自分は、生徒にとって、良い先生かな? いつも考える。生徒達を熱心に温かく見守ってあげたい。精神的に健康な子どもを育てることよりも、病んでしまった大人を治療する方が難しいはず。