先月、「サントメ・プリンシペの恐竜切手(2)」の回で、私はぼやいていた。
謎恐竜・テリジノサウルスを切手の図案にしろだの、とげとげ恐竜・アマルガサウルスを登場させろだの、クチバシがかわいいオビラプトルに出演させろだの、ぼやいていた。
ノムさんも苦言を呈するかと思われるほどのぼやきっぷりであった。
「天は我に味方した」のか、「もっと勉強しろよ」のメッセージだかは知らないが、ぼやいた直後のスタンプショウで、なんと、「アマルガサウルス」がご登場したではないか!しかも「カルノタウルス」とコンビで華々しく私の前に現れたのだ!!
これはご一緒に拙宅までお越し頂かねばなるまい、と捕獲いたしたのがこちら。
アルゼンチン、恐るべしである。脱帽。そして自分の無知から出たぼやきにお灸をすえたい。
1992年にアルゼンチンで発行された恐竜切手。どうやら、額面に+表示があることから、寄付金付きの切手のようである。
この「アマルガサウルス」と「カルノタウルス」はアルゼンチンから発掘されている恐竜たちである。いずれもインパクトの強さではテリジノサウルスやオビラプトルに引けを取らない。
「アマルガサウルス」は、「アマルガのトカゲ」という意味である。ネメグトサウルスやアパトサウルス(かつてのブロントサウルス)、ディプロドクスと同じグループ「ディプロドコイデア類」に属する竜脚類である。白亜紀前期に生息していた。
首に50cmにも達する長い「とげとげ」が並んでいる。「とげとげ」のままであったり、この切手のように「とげ」と「とげ」の間に膜が張っている姿で復元されている。個人的には膜が張っている方がより迫力があって好きである。
この「とげとげ」、実は「神経棘(きょく)」という脊椎骨から伸びている骨の一部なのである。ちょっと驚きである。
目の上に角が生えている。かなり変わったビジュアルをお持ちの獣脚類が、カルノタウルスである。その名は「肉食の雄牛」である。おっかない。
白亜紀中期に生息していたカルノタウルス、おっかないビジュアルとは対照的に、後世の私達人間にその姿を想像するヒントを残してくれた、実は律儀な恐竜だったのである。
化石というのは、骨や歯といった硬い組織が鉱物と置換されて残ったものだ。基本的には、皮膚や筋肉、脂肪といった柔らかい組織は化石には残らない。が、ご存じのように、「印象化石」というものが存在する。皮膚が泥に押し当てられてその形が残り、そのスタンプを押したような皮膚の跡が鉱物と置換されると、化石として残るのである。
このカルノタウルス、恐竜たちがめったに残してくれない、「皮膚の印象化石」を残してくれたのである。そしてその皮膚は、「粒状の鱗がびっしりと並んでおり、その周囲には小さな丸みを帯びた鱗が並んでいた」(『恐竜学入門』p.187)というのだ。
いずれの恐竜も、どうして「骨を伸ばしてみよう」とか、「角生やそう」と思ったのであろうか。これって、いつも不思議に思うのだが、何か必要に迫られて念じていれば、いずれは首の骨が50cmも伸びたり、目の上にかっこいい角が生えたりするものだろうか。
はたまた、棘が25cmくらいの段階があったのだろうか。角がこぶ程度の時期があったのだろうか。それとも、成長と共に伸びていった物なのか?不思議で仕方ない。考えると眠れなくなってしまうのだ。
この疑問て「なぜ像の鼻が長いのか?」という永遠の疑問に通じる気がする。
さらに言えば、「恐竜と鳥の境目」に存在していたとされる生物Xについての議論にも通じる。
黒と白とその中間のグレー。どこまでが黒でどこまでがグレーなのか。あるいはどこまでが白でどこまでがグレーなのか。そもそも、この「グレー」は存在するのかしないのか。
「烏鷺鳩」という言葉に込めた意味の一部である。
【参考文献】
・『恐竜学入門』 Fastovsky, Weishampel 著、真鍋真 監訳、藤原慎一・松本涼子 訳 (東京化学同人、2015年1月30日)
・『へんな恐竜』歯黒 猛夫 著(彩図社、2010年2月22日)
謎恐竜・テリジノサウルスを切手の図案にしろだの、とげとげ恐竜・アマルガサウルスを登場させろだの、クチバシがかわいいオビラプトルに出演させろだの、ぼやいていた。
ノムさんも苦言を呈するかと思われるほどのぼやきっぷりであった。
「天は我に味方した」のか、「もっと勉強しろよ」のメッセージだかは知らないが、ぼやいた直後のスタンプショウで、なんと、「アマルガサウルス」がご登場したではないか!しかも「カルノタウルス」とコンビで華々しく私の前に現れたのだ!!
これはご一緒に拙宅までお越し頂かねばなるまい、と捕獲いたしたのがこちら。
アルゼンチン、恐るべしである。脱帽。そして自分の無知から出たぼやきにお灸をすえたい。
1992年にアルゼンチンで発行された恐竜切手。どうやら、額面に+表示があることから、寄付金付きの切手のようである。
この「アマルガサウルス」と「カルノタウルス」はアルゼンチンから発掘されている恐竜たちである。いずれもインパクトの強さではテリジノサウルスやオビラプトルに引けを取らない。
「アマルガサウルス」は、「アマルガのトカゲ」という意味である。ネメグトサウルスやアパトサウルス(かつてのブロントサウルス)、ディプロドクスと同じグループ「ディプロドコイデア類」に属する竜脚類である。白亜紀前期に生息していた。
首に50cmにも達する長い「とげとげ」が並んでいる。「とげとげ」のままであったり、この切手のように「とげ」と「とげ」の間に膜が張っている姿で復元されている。個人的には膜が張っている方がより迫力があって好きである。
この「とげとげ」、実は「神経棘(きょく)」という脊椎骨から伸びている骨の一部なのである。ちょっと驚きである。
目の上に角が生えている。かなり変わったビジュアルをお持ちの獣脚類が、カルノタウルスである。その名は「肉食の雄牛」である。おっかない。
白亜紀中期に生息していたカルノタウルス、おっかないビジュアルとは対照的に、後世の私達人間にその姿を想像するヒントを残してくれた、実は律儀な恐竜だったのである。
化石というのは、骨や歯といった硬い組織が鉱物と置換されて残ったものだ。基本的には、皮膚や筋肉、脂肪といった柔らかい組織は化石には残らない。が、ご存じのように、「印象化石」というものが存在する。皮膚が泥に押し当てられてその形が残り、そのスタンプを押したような皮膚の跡が鉱物と置換されると、化石として残るのである。
このカルノタウルス、恐竜たちがめったに残してくれない、「皮膚の印象化石」を残してくれたのである。そしてその皮膚は、「粒状の鱗がびっしりと並んでおり、その周囲には小さな丸みを帯びた鱗が並んでいた」(『恐竜学入門』p.187)というのだ。
いずれの恐竜も、どうして「骨を伸ばしてみよう」とか、「角生やそう」と思ったのであろうか。これって、いつも不思議に思うのだが、何か必要に迫られて念じていれば、いずれは首の骨が50cmも伸びたり、目の上にかっこいい角が生えたりするものだろうか。
はたまた、棘が25cmくらいの段階があったのだろうか。角がこぶ程度の時期があったのだろうか。それとも、成長と共に伸びていった物なのか?不思議で仕方ない。考えると眠れなくなってしまうのだ。
この疑問て「なぜ像の鼻が長いのか?」という永遠の疑問に通じる気がする。
さらに言えば、「恐竜と鳥の境目」に存在していたとされる生物Xについての議論にも通じる。
黒と白とその中間のグレー。どこまでが黒でどこまでがグレーなのか。あるいはどこまでが白でどこまでがグレーなのか。そもそも、この「グレー」は存在するのかしないのか。
「烏鷺鳩」という言葉に込めた意味の一部である。
【参考文献】
・『恐竜学入門』 Fastovsky, Weishampel 著、真鍋真 監訳、藤原慎一・松本涼子 訳 (東京化学同人、2015年1月30日)
・『へんな恐竜』歯黒 猛夫 著(彩図社、2010年2月22日)