本日!千秋楽!おめでとうございます!💕
【えんぶ 演劇キックサイト記事より引用】
宝塚歌劇団花組の新トップスター柚香光のプレお披露目公演である、宝塚歌劇花組公演Grand Festival『DANCE OLYMPIA』─Welcome to 2020─が、有楽町の東京国際フォーラムホールCで上演中だ(22日まで)。
Grand Festival『DANCE OLYMPIA』─Welcome to 2020─は、花組新トップスター柚香光の魅力に迫った稲葉太地によるオリジナルショー。
オリンピック・パラリンピックイヤーの開幕でもある2020年の東京の年頭を飾り、新生花組によるダンスの祭典を骨子に、新トップ柚香とトップ娘役華優希の新トップコンビ以下、花組選抜メンバーが繰り広げるダイナミックなショーパフォーマンスとなっている。
第1幕はストーリー仕立てで、ギリシア神話の英雄アキレウス(柚香光)が、最愛の姫君ブリーセーイス(華優希)を残して、腹心の戦友パトロクロス(水美舞斗)らギリシアの戦士たちと共に戦に出るが、戦場でバトロクロスを失い、自らも戦いの中朝日を浴びて気を失うと、現代のニューヨークにタイムスリップしてしまう…という流れで始まる。
マンハッタンのビル街に鎧姿で突然現れたアキレウスは、美貌のコスプレイヤーと勘違いされてたちまち人気者となり、パトロクロスにそっくりなストリートパフォーマー・パット(水美)、その仲間スミス(永久輝せあ)、トム(聖乃あすか)にダンスを習い、無名のダンサーでも認められれば深夜にオーディションを受けられるというオリンピアシアターに乗り込む。そこにはブリセーイスに瓜二つのスター・ブリーゼ(華)がいて……
と、転がって行くストーリーを書けばわかるように、基本的に物語自体は整合性を求める類とは全く異なり、作者の稲葉自体がその無理やり感を台詞でツッコんでしまっているのも、ご愛敬の趣の他愛ないものだ。
この第1幕の主眼は、戦に明け暮れた戦士が、踊る喜びに目覚めていく過程をコミカルに寄せて描いていくことにある。
何よりも、一目見たら忘れない彫りの深い顔立ちの新トップスター柚香が、よくぞ例えたと思うまさにギリシア神話の彫刻ばりのクールにキメた横顔を、意表をつくほどくしゃくしゃっと崩して笑う。その「ニパッと」と表現したいような、まるで少年さながらの表情とのギャップが繰り出す、天衣無縫な魅力が全編に詰め込まれていて、作りが思いっきりラフな中に実はよく考えられている仕掛けが面白い。
実際、宝塚のトップスターがサルエルパンツを履く日がくるとはちょっと想像しなかったが、その現代のルーズな出で立ちで尚ちゃんとカッコいいのが、令和に生まれた新トップ柚香光か…と思うと、同期の星組新トップスター礼真琴と共に、なんだかもう全てが人知を超えている感があり、宝塚持ってるな、との想いが募る。それほど踊る柚香は最強で、観ていてただただ気持ちが良い。
その上に、前任トップスター明日海りおの最後の相手役でもあった華優希とのコンビ感が、既に育まれているのが目を引く。
このコンビの大劇場お披露目公演にも決まっている『はいからさんが通る』で、相性の良さはすでに証明されている二人だが、このコンビが特に真価を発揮するのが芝居だろうな、ということが基本的にはダンスショーのストーリーの中でも既にあらわれている。
特に、戦士と姫君だと思っているアキレウスの柚香が、ブリーゼの華の手に恭しくキスを落とす場面などの、視線の交わし合いや、駆け引きが見事に物語性を増幅していて、ここからのコンビの展開に期待を抱かせた。
更に、柚香の同期生で同じ花組育ちの盟友である水美舞斗が、ダイナミックに踊る姿にも、あぁ花組が新しい時代を迎えたんだなという感慨があるし、水美の醸し出す雰囲気がグッと明るくなり、スター性が顕著に光ってきたのも頼もしい。ここに、雪組から組替え後花組生としてのデビューとなった永久輝せあの、抜群のキラキラ感が眩しく、伸びやかな芝居とスケールの大きさも花組によく合っている。
二人の異なる個性とかぶらず、ちょっとアンニュイな美しさを持つ聖乃あすかも、ストリートの若者に相応しい闊達さをよく出していて、柚香を加えた四人のダンスが溌剌としていた。
実力に穴がなくなんでも任せられる優波慧、一ノ瀬航季らに続いて、やはり抜群のプロポーションが際立つ希波らいとも控える男役陣。
「花娘」の矜持を守る、華雅りりか、春妃うらら等、多くの上級生娘役が退団して尚、綺麗なお姉さんにこと欠かない娘役陣が揃い、ここに瀬戸かずやを中心とした『マスカレード・ホテル』組がいることを考えると、花組の陣容の豊かさに改めてびっくりさせられた。
その様式美と現代感覚をミックスした第1幕のあとに、世界のダンスパフォーマンスを繰り広げる第2幕のテーマは「挑戦」。
総勢で繰り出す和太鼓を皮切りに、アフリカン、ラテン、ここまで攻めるか?と驚かされるフラメンコ、と挑戦、挑戦、また挑戦のこれぞオリンピア精神のステージが続く。正直キャストの負担はどれほどのものか…と驚くばかりで、単純に両手に小道具を持ったままのアフリカンダンスの、柚香の腕にかかる負荷を想像しただけでも、もう少しタカラヅカナイズでも良いのではないか?とついつい思ってしまうが、この挑戦をやり遂げてしまう、走り切ることができる新生花組の若さと熱が、この構成によってあふれ出たのも事実。柚香のソロの選曲や、主題歌の歌い出しのキーなど、スターを活かすべきスタッフワークに一考を要するところもあるものの、「皆で踊ろう!」のあたかもオールスタンディング(実際に客席が立つ訳ではないが)のノリを思わせる弾けるパフォーマンスが、柚香率いる新生花組のカラーを強烈に打ち出すことに成功していた。
語り部の美花梨乃の台詞術が素晴らしい永久輝と聖乃のサロメの蠱惑、水美の筋肉美、若手がハイスピードで踊りまくる大喝采のワンシーンなど、場面場面の緩急も効いている。
何よりも、花組誕生100周年を祝した花組メドレーの、もう反則だよ…としか言いようのない名曲の数々は涙なくして見られず、大浦みずき、安寿ミラと続いてきた花組のひとつの伝統「ダンサートップスター」の系譜が柚香によって引き継がれたことが鮮やかに示されたのが印象的。
華との温かい、柔らかなデュエットダンスも目に残り、「心の翼」に乗せた、花組の未来に夢が膨らむステージとなっている。
宝塚歌劇団花組の新トップスター柚香光のプレお披露目公演である、宝塚歌劇花組公演Grand Festival『DANCE OLYMPIA』─Welcome to 2020─が、有楽町の東京国際フォーラムホールCで上演中だ(22日まで)。
Grand Festival『DANCE OLYMPIA』─Welcome to 2020─は、花組新トップスター柚香光の魅力に迫った稲葉太地によるオリジナルショー。
オリンピック・パラリンピックイヤーの開幕でもある2020年の東京の年頭を飾り、新生花組によるダンスの祭典を骨子に、新トップ柚香とトップ娘役華優希の新トップコンビ以下、花組選抜メンバーが繰り広げるダイナミックなショーパフォーマンスとなっている。
第1幕はストーリー仕立てで、ギリシア神話の英雄アキレウス(柚香光)が、最愛の姫君ブリーセーイス(華優希)を残して、腹心の戦友パトロクロス(水美舞斗)らギリシアの戦士たちと共に戦に出るが、戦場でバトロクロスを失い、自らも戦いの中朝日を浴びて気を失うと、現代のニューヨークにタイムスリップしてしまう…という流れで始まる。
マンハッタンのビル街に鎧姿で突然現れたアキレウスは、美貌のコスプレイヤーと勘違いされてたちまち人気者となり、パトロクロスにそっくりなストリートパフォーマー・パット(水美)、その仲間スミス(永久輝せあ)、トム(聖乃あすか)にダンスを習い、無名のダンサーでも認められれば深夜にオーディションを受けられるというオリンピアシアターに乗り込む。そこにはブリセーイスに瓜二つのスター・ブリーゼ(華)がいて……
と、転がって行くストーリーを書けばわかるように、基本的に物語自体は整合性を求める類とは全く異なり、作者の稲葉自体がその無理やり感を台詞でツッコんでしまっているのも、ご愛敬の趣の他愛ないものだ。
この第1幕の主眼は、戦に明け暮れた戦士が、踊る喜びに目覚めていく過程をコミカルに寄せて描いていくことにある。
何よりも、一目見たら忘れない彫りの深い顔立ちの新トップスター柚香が、よくぞ例えたと思うまさにギリシア神話の彫刻ばりのクールにキメた横顔を、意表をつくほどくしゃくしゃっと崩して笑う。その「ニパッと」と表現したいような、まるで少年さながらの表情とのギャップが繰り出す、天衣無縫な魅力が全編に詰め込まれていて、作りが思いっきりラフな中に実はよく考えられている仕掛けが面白い。
実際、宝塚のトップスターがサルエルパンツを履く日がくるとはちょっと想像しなかったが、その現代のルーズな出で立ちで尚ちゃんとカッコいいのが、令和に生まれた新トップ柚香光か…と思うと、同期の星組新トップスター礼真琴と共に、なんだかもう全てが人知を超えている感があり、宝塚持ってるな、との想いが募る。それほど踊る柚香は最強で、観ていてただただ気持ちが良い。
その上に、前任トップスター明日海りおの最後の相手役でもあった華優希とのコンビ感が、既に育まれているのが目を引く。
このコンビの大劇場お披露目公演にも決まっている『はいからさんが通る』で、相性の良さはすでに証明されている二人だが、このコンビが特に真価を発揮するのが芝居だろうな、ということが基本的にはダンスショーのストーリーの中でも既にあらわれている。
特に、戦士と姫君だと思っているアキレウスの柚香が、ブリーゼの華の手に恭しくキスを落とす場面などの、視線の交わし合いや、駆け引きが見事に物語性を増幅していて、ここからのコンビの展開に期待を抱かせた。
更に、柚香の同期生で同じ花組育ちの盟友である水美舞斗が、ダイナミックに踊る姿にも、あぁ花組が新しい時代を迎えたんだなという感慨があるし、水美の醸し出す雰囲気がグッと明るくなり、スター性が顕著に光ってきたのも頼もしい。ここに、雪組から組替え後花組生としてのデビューとなった永久輝せあの、抜群のキラキラ感が眩しく、伸びやかな芝居とスケールの大きさも花組によく合っている。
二人の異なる個性とかぶらず、ちょっとアンニュイな美しさを持つ聖乃あすかも、ストリートの若者に相応しい闊達さをよく出していて、柚香を加えた四人のダンスが溌剌としていた。
実力に穴がなくなんでも任せられる優波慧、一ノ瀬航季らに続いて、やはり抜群のプロポーションが際立つ希波らいとも控える男役陣。
「花娘」の矜持を守る、華雅りりか、春妃うらら等、多くの上級生娘役が退団して尚、綺麗なお姉さんにこと欠かない娘役陣が揃い、ここに瀬戸かずやを中心とした『マスカレード・ホテル』組がいることを考えると、花組の陣容の豊かさに改めてびっくりさせられた。
その様式美と現代感覚をミックスした第1幕のあとに、世界のダンスパフォーマンスを繰り広げる第2幕のテーマは「挑戦」。
総勢で繰り出す和太鼓を皮切りに、アフリカン、ラテン、ここまで攻めるか?と驚かされるフラメンコ、と挑戦、挑戦、また挑戦のこれぞオリンピア精神のステージが続く。正直キャストの負担はどれほどのものか…と驚くばかりで、単純に両手に小道具を持ったままのアフリカンダンスの、柚香の腕にかかる負荷を想像しただけでも、もう少しタカラヅカナイズでも良いのではないか?とついつい思ってしまうが、この挑戦をやり遂げてしまう、走り切ることができる新生花組の若さと熱が、この構成によってあふれ出たのも事実。柚香のソロの選曲や、主題歌の歌い出しのキーなど、スターを活かすべきスタッフワークに一考を要するところもあるものの、「皆で踊ろう!」のあたかもオールスタンディング(実際に客席が立つ訳ではないが)のノリを思わせる弾けるパフォーマンスが、柚香率いる新生花組のカラーを強烈に打ち出すことに成功していた。
語り部の美花梨乃の台詞術が素晴らしい永久輝と聖乃のサロメの蠱惑、水美の筋肉美、若手がハイスピードで踊りまくる大喝采のワンシーンなど、場面場面の緩急も効いている。
何よりも、花組誕生100周年を祝した花組メドレーの、もう反則だよ…としか言いようのない名曲の数々は涙なくして見られず、大浦みずき、安寿ミラと続いてきた花組のひとつの伝統「ダンサートップスター」の系譜が柚香によって引き継がれたことが鮮やかに示されたのが印象的。
華との温かい、柔らかなデュエットダンスも目に残り、「心の翼」に乗せた、花組の未来に夢が膨らむステージとなっている。