小学2年生のとき、妹がピアノを習いたいというのを「ふーん」と聞き流していた。
自分には関係ないと思っていた。
妹のレッスン初日、母に「りょうちゃんも一緒に行こう」と言われたので私もそのピアノ教室に連れて行かされた。
教室は近所の民家で、部屋は「魔女の宅急便」のキキの実家のような、隙あらばドライフラワーが飾られているような、鬱蒼としたどこか乾いた感じの部屋だった。
ソファに腰かけて魔女みたいな怪しげなおばさん先生にピアノを習う妹の様子をぼんやりと眺めていた。
妹のレッスンが終わったあと、「じゃ、次はお姉さんね」と魔女に言われて精神喪失。暴れまくって反抗した。
家に帰ってからも大暴れをし、網戸を蹴った。
網戸は穴が開いたうえ、ドリフのコントの如く、庭の池に倒れた。
しかし母が言うことは絶対なので毎週水曜日は魔女ん家に通った。
魔女も「こいつやる気ねぇな」と思っていたっぽく、あまり情熱をもって接していなかった気がする。
すぐに両親がピアノを買ってくれたが、練習なんてぜんぜんしなかった。毎週水曜日の夕方、鬱蒼とした魔女部屋で魔女の監視のもと、ずっとバイエルを弾いていた。一曲クリアすると楽譜に好きなシールを貼れるのだが、ピアノなんて興味がないのでどうでもよかった。
3年生の時、同じクラスになった友人わたが通うピアノ教室がよさそうだったのでそちらに編入。
編入先のN先生は同級生のお母さんで、優しくて上品でとてもいい先生だった。
教室の室内も明るく楚々とした様子で魔女ん家とは大違い。
何より友人わたが一緒というだけで嬉しかったし、その上、ピアノ教室にはシャム猫がおり、猫を間近で見たことがなかった私は大興奮。
…でもやっぱりピアノには興味がなくて、ぜんぜん練習せず。
一度だけ「どうして練習しないんですか?」とN先生に真顔で言われ、どう答えていいかわからずに泣いてしまったことがある。
でも練習しなかった。
だってピアノよりファミコンの方が100億倍楽しく思う小学生だったのだもの、私。
「さんまの名探偵」をいかに効率よくクリアすることに全力をかけていた。
「スーパーマリオ」は近隣の児童の中で一番早く8-4をクリアできた。
弾きながら寝てしまうような単調な曲目を練習する気なんてさらさらなかった。
小5になる前、友人わたは引っ越しで転校をしてしまい、さみしくて泣きそうになりながらも私はNピアノ教室に通った。
中学3年生になる直前、「高校受験のため」という名目でやっとピアノから離れられた。ピアノ教室の時間は塾(英語、数学)の通学にスライドされた。英語は予習に1時間ぐらいかかったが、授業が充実してて通うのが楽しみかった。その頃にはもうファミコンには飽きていた。
今でも友人わたとは毎日のようにLINEで連絡しあっている。
今夜も食後の一服後にLINEした。
わたへの文章を打ちながら、ふと、わたとピアノ教室に通ったこと、そして上記の「網戸ぶっ壊し伝説」を思い出した(我が家では伝説になっている)。
魔女ん家に騙されて連れていかれたあの日も、そうだ、今日みたいな薄暗い天気だった。
大人げないと思いつつ、今でも興味がないことを押し付けられるシーンに遭遇すると、魔女ん家がトラウマなのか、つい強烈な拒否反応を示してしまう。
さすがに網戸は壊さないけど。
(持ち家なので、暴れて網戸を壊したら自分で修繕せねばならぬのが面倒臭い)
母が思い描く「ピアノを弾ける娘」になれなくて申し訳なく思う。
自責の念を抱きつつ、マニキュアを塗りなおす。
ピアノ奏者に不向きなロングネイル。今夜はキャンメイクのオーロラカラーにした。
夕食はコンビニの広島焼き。
ピアノ同様、料理もまったく興味がない。
自分には関係ないと思っていた。
妹のレッスン初日、母に「りょうちゃんも一緒に行こう」と言われたので私もそのピアノ教室に連れて行かされた。
教室は近所の民家で、部屋は「魔女の宅急便」のキキの実家のような、隙あらばドライフラワーが飾られているような、鬱蒼としたどこか乾いた感じの部屋だった。
ソファに腰かけて魔女みたいな怪しげなおばさん先生にピアノを習う妹の様子をぼんやりと眺めていた。
妹のレッスンが終わったあと、「じゃ、次はお姉さんね」と魔女に言われて精神喪失。暴れまくって反抗した。
母よ、私は習わないとあれほど言ったではないか。嘘を吐かれて騙されてこんな魔女の住居みたいなところに来させられたと思うと腹が立った。
結局、その日は暴れたのでピアノの椅子に座っただけで「偉いです」と魔女に言われて終了した。鍵盤には触っていない。
結局、その日は暴れたのでピアノの椅子に座っただけで「偉いです」と魔女に言われて終了した。鍵盤には触っていない。
家に帰ってからも大暴れをし、網戸を蹴った。
網戸は穴が開いたうえ、ドリフのコントの如く、庭の池に倒れた。
しかし母が言うことは絶対なので毎週水曜日は魔女ん家に通った。
魔女も「こいつやる気ねぇな」と思っていたっぽく、あまり情熱をもって接していなかった気がする。
すぐに両親がピアノを買ってくれたが、練習なんてぜんぜんしなかった。毎週水曜日の夕方、鬱蒼とした魔女部屋で魔女の監視のもと、ずっとバイエルを弾いていた。一曲クリアすると楽譜に好きなシールを貼れるのだが、ピアノなんて興味がないのでどうでもよかった。
3年生の時、同じクラスになった友人わたが通うピアノ教室がよさそうだったのでそちらに編入。
編入先のN先生は同級生のお母さんで、優しくて上品でとてもいい先生だった。
教室の室内も明るく楚々とした様子で魔女ん家とは大違い。
何より友人わたが一緒というだけで嬉しかったし、その上、ピアノ教室にはシャム猫がおり、猫を間近で見たことがなかった私は大興奮。
…でもやっぱりピアノには興味がなくて、ぜんぜん練習せず。
一度だけ「どうして練習しないんですか?」とN先生に真顔で言われ、どう答えていいかわからずに泣いてしまったことがある。
でも練習しなかった。
だってピアノよりファミコンの方が100億倍楽しく思う小学生だったのだもの、私。
「さんまの名探偵」をいかに効率よくクリアすることに全力をかけていた。
「スーパーマリオ」は近隣の児童の中で一番早く8-4をクリアできた。
弾きながら寝てしまうような単調な曲目を練習する気なんてさらさらなかった。
小5になる前、友人わたは引っ越しで転校をしてしまい、さみしくて泣きそうになりながらも私はNピアノ教室に通った。
中学3年生になる直前、「高校受験のため」という名目でやっとピアノから離れられた。ピアノ教室の時間は塾(英語、数学)の通学にスライドされた。英語は予習に1時間ぐらいかかったが、授業が充実してて通うのが楽しみかった。その頃にはもうファミコンには飽きていた。
今でも友人わたとは毎日のようにLINEで連絡しあっている。
今夜も食後の一服後にLINEした。
わたへの文章を打ちながら、ふと、わたとピアノ教室に通ったこと、そして上記の「網戸ぶっ壊し伝説」を思い出した(我が家では伝説になっている)。
魔女ん家に騙されて連れていかれたあの日も、そうだ、今日みたいな薄暗い天気だった。
大人げないと思いつつ、今でも興味がないことを押し付けられるシーンに遭遇すると、魔女ん家がトラウマなのか、つい強烈な拒否反応を示してしまう。
さすがに網戸は壊さないけど。
(持ち家なので、暴れて網戸を壊したら自分で修繕せねばならぬのが面倒臭い)
母が思い描く「ピアノを弾ける娘」になれなくて申し訳なく思う。
自責の念を抱きつつ、マニキュアを塗りなおす。
ピアノ奏者に不向きなロングネイル。今夜はキャンメイクのオーロラカラーにした。
夕食はコンビニの広島焼き。
ピアノ同様、料理もまったく興味がない。
ピアノ弾けなくても料理できなくても生きていける!!