心臓ホルモン製剤、がん転移阻む働き 国循・阪大が発見
朝日新聞デジタル 10月27日(土)8時31分配信
【権敬淑】心不全に広く使われる心臓ホルモンの製剤に、がん細胞を転移させづらくする働きがあることを、国立循環器病研究センターと大阪大などの研究チームが見つけた。このホルモンを使うと肺がんの再発が減り、ほかのがんにも効果があることを動物で確認しており、幅広いがんの転移予防薬になる可能性がある。
心臓にはがんが転移しづらいことから、チームは心臓に特有なANPというホルモンに着目。2009年から非小細胞肺がん患者の再発の有無を観察して552人の最新データを調べたところ、がん手術中から心不全治療などでホルモンを点滴した人の2年後の再発率は4.5%、使わなかった人は19.2%と、明らかな差を確認した。がんの進行度は関係なかった。
ヒトのがん細胞を移植したマウスの実験でも、ホルモンを使った方が、そうでない方に比べて、血管転移のがん細胞数が、肺腺がんで約5分の1、肺の大細胞がん・大腸がん・乳がんで約3分の1と少なかった。ホルモンが、血管の内壁を守って、がん細胞を漏らしづらくしている仕組みも確かめた。
朝日新聞社