元高校教師のブログ[since2007/06/27]

地元仲間とのウォーキング、ハイキング、サイクリング、旅行の写真入報告。エッセイや意見も。

これこそ不条理--カミュの『誤解』と秋の気配「新宿御苑」

2013-09-29 07:24:46 | 日記

日時:2013-09-28
天気:晴れ
カメラ:Pentax X-5

第10回 ZORA 公演 『誤解baraque(バラック)』 --ZORA→zora's Website

 姪から案内を受けたとき、芝居を観た帰りに新宿御苑に寄ろうと思った。それが普通人の感覚だろう。だが、新宿御苑の閉園時間の関係で、順序が逆になった。

 原作がアルベール・カミュの『誤解』と聞いて、覚悟をして出かけた。やはり、分からないことだらけだった。

 新宿の小劇場で上演されたこの芝居のラストシーン。母親の問いに「何でもない、物音がしただけ」とマルタが応えたエンディングのセリフ。なぜか私は『異邦人』のセリフ、「太陽が眩しかったから」と重ね合わせ、深く印象に残った。だから、お前は分かったのか?と問われたら、答えられない。

 zoraのこの芝居、分からないことが多かった。舞台の設定がバラック(baraque ってフランス語?)で、旅館なら理解できるのだが、舞台では、どうやら治療院のようだ。
 母親が罪の意識で自殺したのかと思ったら、それは私の勘違いであった。彼女が銃(実際は空気銃)でマルタを黙らせた場面にも重大な意味があったのだろう。狂気と現実の世界、
正常人と異邦人、とかいうような。

 カミュのような、あちらの庶民は、太陽が輝く浜辺の街に幸福があるとの憧れがあるらしい。サザンは知らないが、日本人は、それほどではないのではないか。日本の夏は暑すぎて地中海のようなロマンが薄い。『誤解』の中では、どんよりとした内陸の貧しい(不幸と同義)おんぼろの家から逃れたいという欲求が母娘にあったのだろう。

 数十年振りで、多分、地中海の街から、息子が我が家に戻ってきて、不幸を幸福に変えようとした。だが、あまりにも永く時と空間が隔たったので、母娘は彼を認識できない。
 普通なら、息子のジャンが告白するのであろうが、彼は、それをしない。相手が気づいてくれるのを待つのだ。これは正常な人間の行動だろうか?異邦人という言葉が脳裏を横切る。

 そこに、本題の「誤解」があるのだろうか?彼は、それまでの客と同様に殺されてしまう。
正常人(普通の一般人)の世界では有り得ないことだ。幸福になるはずだったのが、一転、
不幸の結末になってしまった。

※舞台の写真を撮りたかったが、禁止ということで残念。

秋の気配の新宿御苑--ラッキー、ヴォランティアが案内してくれた。



 学生生活が渋谷だというのに、新宿御苑は初めてだ。千駄ケ谷駅で降りたら、すぐ分かると思ってた。ところが、プラットホームから体育館のある改札口に導かれ、線路の向かう側に行く地下道を探したが、案内板も無い。線路を背にして、改札口から道を左にとったのがいけなかった。行けども行けども、中に入るゲートがない。正門の前に出たが、締め切っていて
入れない。結局、大木戸門まで歩いてしまったが、そこまでたどり着くのは、大変だ。人に訊ねながら行かないと着けない。
 ところで、千駄ヶ谷門は改札を出たら、右に行く のが正解だと、後でしった。

 大木戸門から入苑して休憩所の先を歩いていたら、何やらアナウンス。10:30からヴォランティアによる案内があるという。集合場所は新宿門。時計を見たら、あと10分しかない。 
大急ぎで未知の道を歩いてやっと間に合った。後で知ったのだが、この案内は第二土曜と第四土曜の10:30と13:30から実施されている。

 私の場合、神に導かれた訳でもないのに、ラッキーだった。不条理が幸いしたのかな、とも
思った。
 ガイド曰く、「皆さんは恵まれました。例年この時期、木々の緑は、こんなに鮮やかではありません。今年は猛暑で木々が弱っていたところ、先の台風が恵の雨をもたらしてくれました。お陰で、木々は急に元気を取り戻し、緑が濃くなりました。例年なら、こんなことはありません。皆さんはラッキーです。
 ただし、台風の後遺症もあります。今年の紅葉は塩害により期待できません。そこの紅葉の葉を見てください。もう、その予兆があるでしょう?先の台風で被害にあった太平洋側は、どこも期待できません。京都に行くしかないですね。」

 このガイドさんのお陰で、初めて知ることばかり。
例1;恩賜上野動物園--「上野動物園は恩賜ですよね、動物はここのを持っていったので
   す。」---この新宿御苑に動物園があり、そこのを上野に移動した、つまり、皇室から
   下賜したとの歴史。
例2:イロハ紅葉--葉を取って手のひらに載せ、葉の尖った箇所を、イロハ--と数え、こうし
   て名がついてのです、と説明してくれた。
例3:家康の家臣・内藤家が、大名より広い敷地をもらった謂われ。
例4:広大な敷地が洋式庭園と日本庭園に二分された歴史
例5:現在の正門の中側にベルサイユ宮殿に模した建物と庭園ができるはずだった。 
例6:ここの温室で、日本の絶滅危惧種の植物を守る仕事をしていること。 

 フランス式庭園の前で時計を見たら正午近く。私は、この苑内で昼食をとってから、芝居
に行くので、案内の途中であったが、そこで礼を言って失礼した。日本庭園のほうの写真も撮らなくっちゃ。


タイワンホトトギス


十月サクラ


NTTドコモ、人呼んで「東京エンパイア・ステート・ビル」


案内してくれたガイドさん


旧御涼亭(歴史建造物)


チカラシバ

御苑内には巨木が多い


梅もどき   


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 9月25日(水)のつぶやき | トップ | 藤ヶ谷十三塚から彼岸花の持... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事