佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

2010.01.11

2010年01月11日 22時59分11秒 | 研究会・学会
 先日の九州MRI研究会の報告です。

 症例検討はごく簡単なメモのみ載せようと思います。
1.乳児のウェルニッケ脳症
 両側線状体に限局した異常信号域の鑑別。画像もですが、病歴(重度のアレルギー)から栄養状態を考えることがポイントでした。勉強になりました。

2.非AIDS患者に発生した進行性多巣性白質脳症
 限局性の、皮質下白質を巻き込んだ白質病変。

3.Marinesco-Sjogren症候群
 小脳の低形成と、小脳皮質の高信号。病歴と合わせて診断。非常に稀な疾患ですが、頭の中にいれておこうっと。

4.神経鞘腫(骨内、あるいは上眼窩裂由来)
 部位と、信号パターンが特徴的でした。髄膜腫との鑑別は?

5.左室緻密化障害
 後述のように、特別講演をしていただいた佐久間先生よりご指摘あり。

6.乳腺線維症
 強い線維化を主体とする病変にもかかわらず(硬癌や、浸潤性小葉癌などが鑑別)、乳腺の構築に乱れがほとんど無いのがポイント。更に、M先生によると超音波所見が特徴的で、側方の悪そうな感じと比べ前方の所見が大人しいというのがありました。

7.Early myocytis ossificans
 CTを見てみたかったです。高齢者ではあまりない疾患だと思っていました。

 特別講演は、
 三重大学医学部附属病院 准教授 中央放射線部長・放射線診断科長
 佐久間 肇 先生による
「心臓と冠動脈のMIR:日常診療における検査適応と読影のポイント」

 でした。
 昨年後半から、心臓MRIに興味がでてきたところだったので、良い勉強になりました。循環器領域は専門科で診断→治療をする、というイメージもあり、なかなか手を出しづらいと思っていましたが、「画像診断」であると考えると積極的になれそうです。

 内容は、読影の仕方、レポートの仕方をはじめ、多数のデータから現在のMRIが果たす役割を示していただきました。薬剤負荷は当院では行っていませんが、かなり有用のようです。 

 そして急遽、追加していただいたという左室緻密化障害のトコロも勉強になりました。やはり論文はデータをそのまま借用するだけでなく、原文を読んでキチンと理解しないといけないですね。左室緻密化障害に関しては、一部のみの肉柱所見ではなく画像では少なくとも半分以上の領域に所見を認め、家族歴を含めた検証が必要とのことです。

 なるほど…

 技術的なコトなどはあまりお聞きすることができませんでしたが、節々で参考になることがありました。今年度も残りわずかですが、何かできるかな?