下記の記事は東洋経済オンラインからプの借用(コピー)です
闇バイトは「生活苦な人」を狙う
大学生のAさんは「コロナで収入が減って苦しい。仕事がほしい」と書き込んだ後、知らないユーザーから「高収入のバイトをしませんか」という連絡をもらったという。親の経営する飲食店は休業状態で仕送りもストップ。生活費に当てるはずの頼みのバイトもシフトが激減し、生活費が尽きかけていた。
高収入の響きに引かれて返信をしたところ、「完全に受け子の誘いだった」という。受け子とは、振り込め詐欺などの特殊詐欺で、被害者から直接現金やキャッシュカードなどを受け取る役割のことだ。
新型コロナウイルス関連による解雇や雇い止めは、5月21日時点で1万人以上に。緊急事態宣言が発令された4月以降急増し、5月だけでも7000人を超える状態だ。
失業率の悪化と同時に、求人も減っている。厚生労働省によると、3月の有効求人倍率は1.39倍で前月より0.06%下がり3年半ぶりに1.4倍を割った。新規求人の落ち込みは特に大きく、1月から前年同月比で10%超の減少が続き、3月も12.1%減となった。
犯罪者集団は、失業や収入源に悩む人に狙いを定めて闇バイトの勧誘を始めている。その実態とリスクについて解説したい。
今年3月、千葉県の50代の女性が90代女性からキャッシュカードを騙し取ったとして逮捕された。加害女性は、新型コロナウイルスの影響で舞台照明の仕事がキャンセルとなり、Twitterで受け子のアルバイトの募集を見つけて応募したという。5月にも、福井県で22歳の男がやはりTwitterで「高収入」で検索したのをきっかけに、受け子のバイトをして逮捕された。
全国的な休校措置により、学生が狙われるリスクも高まっている。男子高校生がTwitterで「高収入バイト募集」とうたうアカウントに連絡をとったところ、「客の家に行きお金を受け取るだけの仕事で一日10〜50万円になる」などという返事がきた。「あまりに怪しいので慌てて断った」という。
また、海外でも失業者が中心に狙われている。PhishLabsの研究者が発見したフィッシングメッセージは、新型コロナウイルスによって失業したカナダ人やアメリカ人をターゲットとしており、「在宅で月5000ドル稼げる」とうたっていた。このような例は、世界的に増えているようだ。
えげつない「受け子バイト」のシステム
受け子バイトの手取りは、被害者から受け取った金額の10%ほどと言われている。100万円を受け取れば一日で10万円を得られるが、もちろん違法行為なので逮捕されるリスクもある。
闇バイトの首謀者は自分が捕まるリスクを減らすため、直接、被害者と接触する受け子や、ATMで現金を引き出し防犯カメラに映る出し子など逮捕されやすい役割を失業者や学生に任せるわけである。
ちなみに闇バイト募集の投稿には、「詳細はテレグラムにて」と書いてあることが多い。テレグラムとは機密性が高くメッセージの復元も難しいため、犯罪集団のやり取りにも多く使われているメッセージアプリだ。
実際に連絡を取ると事前に面談があり、お金の持ち逃げを防ぐために、運転免許証などの身分証明書か保証金の提出が求められる。その際、携帯電話番号や住所、両親の連絡先なども確認される。万が一、途中で逃げたときには、身分証明書がTwitterなどでさらされたり、実家や自宅に押しかけられる危険性がある。
当日の仕事用に、スーツやビジネスバッグ、マスク、帽子、偽のカードや封筒なども用意する必要がある。コロナ禍でテレワークの人が多かった最近では、スーツ姿が災いして職務質問され、逮捕された受け子もいるそうだ。
「受け子」「出し子」のほかにも、電話をする担当の「掛け子」や、規制薬物などを密輸する「運び」、強盗など暴力を伴う「叩き」もTwitterで募集されている。
叩きには、「アポ電強盗」も含まれる。出し子を襲って現金を奪うのは「取り子」だ。自分のグループの受け子や出し子からお金を奪い取り、その債務を受け子や出し子に背負わせたり、ほかのグループの受け子や出し子から横取りする場合もあるという。
闇バイトへの参加は「初犯でも実刑」
実は今コロナでの失業者を対象とした闇バイト募集も増加しているが、応募も増えている。生活苦や収入不安から、目先の誘惑に釣られてしまう人が少なくないようだ。
しかし、たとえば受け子をして詐欺容疑で逮捕された場合は、初犯であっても実刑判決がくだされることがあるなど、厳罰化の傾向にある。
未成年でも、14歳以上なら逮捕の対象だ。逮捕されて人生を棒に振ることがないよう、このような誘惑には目を向けないことが大切だ。
休業でアルバイトの収入が減少した学生を対象に10万円、住民税非課税世帯の学生には20万円の給付が決まった。これ以外にも文部科学省が、「新型コロナウィルス感染症の影響で学費等支援が必要になった学生のみなさんへ」として授業料減免や給付型奨学金などの対策を発表しているので、このような公的支援を頼り、なんとかして苦境を乗り切ってほしい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます