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地下アイドル29人を見てわかった「辞めない訳」

2021-05-21 13:30:00 | 日記

下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です

アイドルの世界でしか生きられない人たちがいます。
そう聞くと、世間の注目や憧れを集める芸能人を想像するかもしれません。
しかしゼロ年代から始まったアイドルブームを経て、アイドル業界の間口は格段に広がり、実にさまざまな人たちが活動できる懐が深い世界になりました。
ブサイクアイドルと呼ばれ、ツイッターに写真を投稿しただけで「ブス」「死ね」と罵詈雑言がやまなかったアイドル。
メンバー全員がうつ病で精神状態が悪く、いつも誰かがライブの出演時間に間に合わないアイドルグループ。
幼い頃から女性の体になりたくて30代で喉仏を切除し、借金を抱えながら人生の一発逆転を目指して舞台に立ち始めた性同一性障害のアイドル。悪気がないのに、やることなすこと炎上を引き起こしてしまうアイドルなどなど……。
地下アイドルは他者から解散や引退を迫られない
そんな29人の個性豊かすぎるインタビューを収録した拙著『アイドル病 それでもヤメない29の理由』でも詳しく述べていますが、運営にコストがかかるメジャーアイドルとは違って、インディーズな活動を繰り広げる地下アイドルは、会社や経営の都合で他者から解散や引退を迫られることはほとんどありません。各々に多かれ少なかれファンが存在しており、その活動を応援されています。
会社ではなくファンが直接支えているからこそ、独創的な表現を臆さずに続けられていると言えるでしょう。舞台に立ってファンからのリアクションを受けることで、彼女たちは自分自身の輪郭と表現を探っているのです。
アイドルの世界は、決して器用に生きているとは言えない彼女たちの自己表現の場になっています。
そもそも、はじめから地下アイドルになりたいと思っている人はなかなかいません。
私自身もそうでした。地下アイドルを知らないまま、気がついたら地下アイドルになっていて、同じようにライブハウスで活動している面白い人たちとたくさん出会いました。
そこには「自分のやってみたい活動を披露して応援してもらえる場所が地下アイドルの世界だった」という人がたくさんいて、自ら地下アイドルやアイドルを名乗る人は少なかったです。
彼女たちのパフォーマンスは荒削りで勢いがあり、それぞれ独特でした。アイドルではなく「サイエンス系うたのお姉さん」や「お薬お姉さん」のように、独自の肩書で活動されている方が多くいます。私自身、彼女たちのインタビューをまとめたゲラを見て、胸を詰まらせた覚えがあります。
いまここで輝けるから地下アイドルをやっている
年齢や活動を始めた時期もばらばらで、いま注目のeスポーツでイメージガールをしているグラビアアイドルもいれば、アキバ系カルチャーや地下アイドルの黎明期から、その道を切り開いてきたパイオニア的存在の人たちもいます。
地下アイドル活動を経て、当時のファンに応援されながら、自分に合う道を模索し続けている人たちもいます。
私は彼女たちの個性豊かな活動やキャラクターを面白いと思っていましたが、世間の人たちからすると、彼女たちの活動内容よりもあきらめないことのほうが不思議なのだと気がつきました。
ここでしか生きていけない。そんな切実さが伝わってきます。
いまは地下アイドルでも、有名なアイドルや、アイドルじゃなくてもいいから、とにかく有名になりたかったという人もいます。もしくはまだ何かを目指している途中で、いまのところは地下アイドルの世界がいちばん輝けると思っている人もいるかもしれません。
いずれにしても、いまここで輝けるから地下アイドルをやっている。そのことが魅力的に感じられるのです。
普通の人になりたくない。あるいはどこかはみ出してしまって普通の生活は送れないから、せめて舞台の上ではありのままの自分でいたい。ものすごく売れなくても、賞をもらったりできなくてもいいから、私の歌や踊りや考えを知ってほしい。
地下アイドルの世界は華々しいばかりではありませんが、そうした不器用な想いもファンを惹きつける魅力として受け止めてもらえる世界なのです。
彼女たちがアイドルでいられる理由
「人間的な魅力が技術を上回っていること」が、アイドルの定義のひとつだと言われています。
そして実際、彼女たちにはそのアイドル性に惹きつけられた熱狂的なファンが存在します。
彼女たちのステージに上がる覚悟と度胸、そしてファンの人たちの応援が、肩書を問わず彼女たちをアイドルたらしめているのだと改めて思いました。
地下アイドルとファンの関係は深いです。特にファンの高齢化を気にかける様子は印象深く、「無人島にオタクの集団墓地を建てたい」「グラドルデイサービスを始めたい」と展望を語る人たちもいました。
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すでにスナックやカフェ&バーを立ち上げて経営している人たちもいて、ファンの生活にも添い遂げようとする気持ちが伝わってきます。実のところ「人前に立って生きるための実践」をしている人たちです。
アイドルを辞めない彼女たちの姿は、ときに病的にも見えるかもしれませんが、健やかなるときも病めるときも、自分の表現を諦めない強さに満ちています。
主にライブハウスのような場所を活動拠点とする彼女たちの発言は、その膨大な活動量に対してごく一部しか記録されていません。
インディーズアイドルの世界は、自分が続けようと思えば、どこまでも表現を続けられる世界です。
アイドルに限らず、大人は誰でも自分で未来を選べます。自分にはできないと思っていたこと、過去には選んでこなかった経験したことのないことをこれから選んでもいいのです。
姫乃 たま : 地下アイドル、ライター



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