下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です
大阪府や兵庫県を中心に新型コロナウイルスの感染再拡大が起きたのは、感染力の強い「変異株」が原因とされる。両府県での変異株の陽性率は約9割で、感染者が増えている首都圏でも5月には9割近くが変異株に置き換わるとみられる。今月から高齢者向けの接種が始まったワクチンは「変異株」拡大に対応できるのだろうか。
変異株はすでに全都道府県で確認されている。変異株には英国型の「N501Y」のほか、「N501Y」と「E484K」の2種類の変異を持つブラジル型や南アフリカ型もあるが、国内で流行しているのは前者だ。
【Q】ワクチンの接種は「N501Y」型の感染防止にどれぐらいの効果があるのか
【A】「N501Y型のウイルスへのワクチンの有効性について、ファイザーは2回打った場合で95%ほど、モデルナは94%と報告しています。一方、アストラゼネカのワクチンは70%程度に効果が落ちるとされています。現在のところ国内で承認されたワクチンはファイザーだけなので、ウイルスを抑える効果は同じぐらいあります」
ファイザーやモデルナのワクチンは「mRNA」ワクチン、アストラゼネカは「ウイルスベクターワクチン」と、それぞれ作製方法が異なるため、効果や副反応にも違いが出るのだ。
【Q】mRNAワクチンが変異株にも高い有効性を示すのはなぜか
【A】「mRNAワクチンは免疫原性(抗原が体内で免疫反応を引き起こすこと)が強く、ウイルス増殖の阻止をする働きを持つタンパク質(インターフェロンなど)を活性化する性質を持ちます。また、ウイルスの遺伝子情報から作られる抗体タンパクを体内で人工的に大量に作るワクチンなので、変異したウイルスのゲノム配列情報さえわかれば、どの変異にもすぐに対応が可能です」
一方のウイルスベクターワクチンは、チンパンジー由来の風邪のアデノウイルス(体内では病気を起こさないウイルス)をベクター(運び屋)として使っている。だが、このワクチン自体が免疫によって排除されることがあるため、免疫原性はmRNAに比べると弱いとされる。
【Q】変異株「E484K」を持つブラジル型や南アフリカ型はどうか
【A】「mRNA、ウイルスベクターともに、ワクチンが誘導する中和抗体の効果が従来型より20~30%低下しているという報告はあります。ただし、正式な論文にはなっていないため、今後変わってくるかもしれません。『N501Y』と『E484K』の2つ変異が起こったウイルスの場合には、10分の1くらいしか抗体のウイルス中和能はない、との報告もあります」
【Q】それでは、どのようにすればほぼ全ての変異型に対応できる?
【A】「個人的には、これまで報告されている2種類ほどの変異株のmRNAを従来型ワクチンに混合すれば非常に効果が高いものができると考えています。ファイザーCEOもこのような考えを示していますし、さらに従来型のワクチン接種を3度免疫(3回接種)すれば、抗コロナ抗体も非常に高くなり、予防も可能と発表しています」
インフルエンザの場合、ウイルスをホルマリンなどで殺して精製した「不活化ワクチン」は免疫原性が弱いため、繰り返される変異に対応できない。
mRNAワクチンなら、変異株へ対処できる可能性が高いという。
奥田研爾
横浜市立大学名誉教授
1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。
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