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「だまされたのでは…?」 意外と“モヤモヤ”する葬儀代 格安お葬式の知られざるカラクリとプロの見つけ方

2021-04-08 13:30:00 | 日記

下記の記事は文春オンラインからの借用(コピー)です

 高齢化社会が進行する中で、「弔われる人」の数が年々増加する現代日本。内閣府の高齢社会白書(平成29年版)でも死者数は右肩上がりの予想だ。昨今、ネットでは「低価格」がアピールされ、テレビCMも流れるなど、葬儀業界が劇的に変わりつつある。業界関係者の視点から現状をお伝えする。
「どうしてあんなに高いのか」お葬式のモヤモヤ
 葬儀の当事者(喪主)になることは、人生でそう何度もあるわけではない。身内が亡くなってから慌て、考える間もなく葬儀が終わってしまい、後日冷静に振り返ると「どうしてあんなに高いのか」とモヤモヤする。そしてネットで葬儀が10万円前後でできることを目にすると、「葬儀社にだまされたのでは…」と思う。「格安葬儀」が登場したことで、そうした経験をする人は近年増えているだろう。
 ただし、安いのには理由がある。ネットでうたう「格安」には、10万円では普通の葬儀が難しいことが巧みにぼかされているのだ。
お葬式のお金は4つのことで成り立っている
 そもそも葬儀の費用は、次の4つから成り立つ。まず祭壇(荘厳壇)を設けて通夜・葬儀を行う「葬祭費」、お寺への「お布施」、火葬場などでの「食事代」、そして「火葬場の使用料」だ。そして、格安価格をアピールするサイトの費用内訳をよく見ると、勘定されているのは4つのうちの「葬祭費」のみで、お布施、食事代、火葬場の使用料は除外しているのが普通である。
 その価格を、えてして規模の大きな葬儀が多かった“一昔前”の費用を使って比較し「安い」とうたう。スタンダードな進行であれば、通夜、葬儀を経て火葬場へ行く流れだが、通夜も葬儀も省いて火葬場だけで見送るようにするなど、削るだけ削り徹底的に手間を省いているからこその価格であり、その安さだけを喧伝することは、いわば「長所」のみを強調しているにすぎない。ウソを言っているわけではないが、果たしてそれがフェアかは、判断の分かれるところだ。
親族の弁当はコンビニ? 仕出し?
 たしかに、お布施や食事代は主催する当家の状況で振れ幅が激しい。特に食事代は大変で、ベテラン担当者でも予測が外れることもある。当家の予想を大きく上回る会葬者が来ると、食事はもちろん、会場スペースは足りず、受付も混乱し、算段が大きく狂う。そして食事の金額も総額に影響を与える。
 葬儀後の火葬場で必要になるお食事を例に挙げよう。例えば家族4人だけで弔い、コンビニやスーパーの弁当(500円)にすれば2000円で済む。ところが親族30人が参列して火葬場に行き、感謝の意味を込めて3000円の仕出し弁当を振る舞えば9万円に跳ね上がる。だから食事代は、葬儀のセット価格から除外せざるを得ない。『それでもしますか、お葬式?』第1話より 
 ゆえに大切なのは、上記4つを合わせた葬儀の総額がいくらなのか? ということだが、この部分は当家の方針が大きく関わってくる。どこまで呼ぶのかという参列者の数、お経をお願いするか、映画「おくりびと」のように納棺師にお願いするのか…。こうした条件が重なっていくと、総額はあっという間に変わる。結果、「誰もが一律この金額で出来る!」という相場になるような総額を事前に算出することが難しいのである。
「追加費用」を拒みづらい葬儀の環境
 では、なぜネットでは競うように料金の安さを前面に押し出すのか。言うまでもなく、葬儀の受注が欲しいからにほかならない。ひとたび葬儀の依頼を受けてしまえば、当家はただでさえ慣れない葬儀で心身に負担がかかっている状況。「追加費用」に疑問があったとして、当家が細かく質問をしたり、拒むのはなかなか難しいのが現実である。
 ちなみにネットで格安をアピールしているのは、葬儀社よりも、葬儀代理店という事実もある。代理店に葬儀を申し込む電話があっても、仕事をするのは提携した葬儀社。代理店は手数料を取って確実に儲けるビジネスモデルだ。葬儀が儲かるビジネスなら、葬儀代理店自身が葬儀を施行すればいいのだが、それはしない。ある意味では、それが葬儀をめぐる実際のところだ。
「お経を唱えてくれないのか!」
 もちろん、格安“葬儀”の価格競争で消費者の選択肢が増えたのは事実だ。しかし安さを強調するあまり、ボタンの掛け違いで起こる不幸なこともある。
「なるべく安く」という強い希望で、通夜と葬儀をしない「直葬」を選んだのに、後から「花を多く」「お経を唱えてくれないの?」などと、予算のかかる要望を出して、板挟みになる担当者もいたりする。葬儀社への悪いイメージが先行し、最初から“戦闘モード”に入ってしまい「自分の決めた以上の金額は出さない(もちろん格安サイトの料金プラン)」と言い張って話が進まない…という話を同業者が教えてくれたこともある。こうなってしまっては、消費者も葬儀社のどちらも良いことがない。
本当のプロの見つけ方
 それを防ぐには、葬儀社への事前相談が理想だ。年老いた家族が元気でも、見積もりをしてもらい、担当者を観察して応対を観察する。食事やお布施の話も含めて、葬儀費用の総額を教えてくれるのであれば、まず信頼できる。複数の葬儀社の見積もりを取って比較するのもいいだろう。大切なのは価格だけをみないこと。本当に安いかは、葬儀をやってみて初めて分かることで、担当者を「信頼できるか」を見てほしい。
 ネットの情報も「口コミの1つ」ぐらいに、緩やかに捉えることが大切だ。そのためには、自分の目と耳で確かめて、最終判断をする…という当たり前のことをすればいい。葬儀は地域差が大きい。かかりつけの医者と同じく、いざというときに備えて、先に葬儀社を決めておくのが最大の安全策なのである。高額商品の購入時は下調べと検討を重ねるのに、葬儀はネット検索で決めるべきなのか、考えてほしいところだ。『それでもしますか、お葬式?』第1話より 集英社
 そもそも本当のプロは、自分の仕事に誇りを持っている。技術や知識を安売りしないし、依頼者の要望に応じるのはもちろん、時には依頼者すら気付かない真意をくみ取って提案もする。予算に限界があればその範囲で全力を尽くし、「当家のため」と思えば嫌がられるのを覚悟でやんわりと苦言もする。それがプロとしての仕事だからだ。
 この記事を見た人が、そんな大切な人の最後を託せるプロを見つけて欲しいと切に願う



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