下記の記事は文春オンラインからの借用(コピー)です
2017年、婚約内定後に判明した小室圭さんの母の借金問題で、眞子さまと小室さんとの結婚が適切かを疑問視する意見が噴出した。対応が後手に回ったこともあってか、今もなお国民の間には多くの疑念・不満が根深く残っている。
そうした疑問の声は小室さん一家に向けられるだけでなく、皇室、さらに眞子さまの妹である佳子さまにまで飛び火した。皇族の生活の実態に迫った書籍『天皇家の家計簿』(宝島社)の一部を転載し、小室圭さんの母の金銭問題についての宮内庁の対応、そして佳子さまが眞子さまの結婚騒動に口を閉ざすようになった理由を紹介する。
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人件費と物件費が半々の「宮家」
天皇皇后両陛下、愛子さま、上皇ご夫妻のための内廷費の内訳は、おおむね人件費1、物件費2の割合である。
それでは宮家の皇族費はどのような割合になっているのか。これについて、1990年に当時の宮尾盤・宮内庁次長が「各皇族、宮家ごとに違いますけれども、物件費が大体48%、人件費が52%程度、こういうのが現在の割合であると考えております」と国会で答弁している。おおむね人件費と物件費が半々というイメージだ。
宮家もまた、それぞれ私的に雇用している職員がおり、そこに人件費がかかってくる。とはいえ、天皇家と同じ規模というわけではもちろんなく、雇えるとしても、国家公務員並みの給与を支払うとなると、多くても数名といったところだろう。
冒頭の『週刊女性』の記事(編集部注:眞子さまと男性[小室圭さん]のデートの様子が報じられた)で、眞子さまがユニクロを着ていたとあった。プリンセスが颯爽とユニクロを着こなす姿には格好良さもあるが、公務以外の日常では、庶民と同じレベルの衣服を着ている可能性は十分ある。
秋篠宮家を例にとれば、平成の時代、まだ皇嗣でなかった時代の秋篠宮さまの皇族費は3050万円で、一家全体では6710万円だった。眞子さま、佳子さまが成人するまではさらに1200万円ほど少ない5500万円である。宮内庁提供
ここで半分が人件費に消えるとすると、残りは約2000万円強。眞子さま、佳子さま、悠仁さまの教育費、留学費がかかり、私的な交際費、食費もかかる。そうなってくると、宮家としての品位を保つといっても、かなり節約の意識を持っていなければならないことが分かってくる。
戦後、お金で苦労した宮家の経済的負担を軽減するため、1970年代以降、住居に関しては国が提供することになり、またサポートする国家公務員の職員を増員したため、その点ではずいぶん「収支」は改善したと思われるが、それでも、自由に民間でビジネスができるわけではない皇族たちの生活は、民間の資産家と比べて、それほど優雅ではないだろう。
問題となった宮家の「違法謝礼」受け取り
宮家の、ある意味グレーな経理状況が問題視されたこともある。1995年に判明した「宮杯競輪・競艇謝礼問題」だ。
皇室経済法は、宮家の成年皇族が年に160万円以上の財産を譲渡する、あるいは贈与される場合、国会での議決を受ける必要があると定めている。
だが、高松宮喜久子さま、三笠宮寛仁さまの2つの宮家が、競輪や競艇を主催する自治体から長期にわたり、総額1億4000万円以上の現金を受領していたことが判明したのである。金額は年間160万円以上だった。
競輪や競艇には「宮杯」と呼ばれる、宮家の冠を銘打った大きなレースがある。その「宮杯」開催の謝礼として、長年にわたり宮家に公営ギャンブルマネーが流入していて、それを誰もチェックできないでいた。
結局、この問題は宮家が受け取ったすべての金銭を返還することで処理されたが、皇族費の在り方について問題を指摘する声が上がった。
たとえば当時の読売新聞は、次のような解説記事を掲載している。
〈「事実とは信じられない」。高松宮家が競輪の宮杯で年間1000万円の「謝礼」を受け取っていた問題が最初に報じられた時、複数の宮内庁幹部の印象はこの言葉に尽きたという。
この問題を宮内庁が極めて深刻に受け止めたのは、憲法で定めた国会議決を経ずに皇族に金が流れていたという事実、そしてその金額の大きさが「皇室に対する国民の信頼を揺るがしかねない」(同庁幹部)と憂慮したためだ。
なぜ、こんな事態に陥ったのか。ひとつには贈った側の認識不足がある。自治体などは当初、「皇族に失礼に当たらない額のお礼をしただけ」と悪びれずにコメントした。そして、皇族に対する年間160万円を超える贈与には国会の議決が必要なことを定めた憲法や皇室経済法の規定を知って初めて、「宮家に迷惑をかけた」と戸惑いを見せた。
一方、宮家側は法律を知らないはずはない。「謝礼」の受領に慣れてしまい、感覚がマヒしていたのだろうか。年間1000万円という「謝礼」は、日本的な贈り物社会の習慣とゆがみが、皇族という特別の地位に影響されて増幅した結果と言える。
返還の決定で、この問題には一応幕が引かれたが、しかし、今後の対策となると、即効薬は示されていない。突き詰めると、より構造的な問題にもぶつかる。
宮内庁が私的な家計のお世話もする天皇家などの場合と違って、宮家皇族の家計は相当部分、宮家の裁量に任されている。各宮家に宮内庁職員がいるものの、皇族方のプライバシーもあり、「家計について細かく口出しするのは難しい」(同庁幹部)という。ただ、国から皇族費を支給されている以上、今後の課題として、家計面などで役所が適切な補佐をしながらプライバシーとの折り合いを探る努力が必要だろう。
皇族費が十分かどうかの議論もある。「皇族としての品位保持」のため、宮家皇族には1人あたり年間2710万円が国から支払われる。喜久子さま1人の高松宮家は同額を、寛仁親王家の場合は家族分も含めて約4400万円を受け取っている。
この額については、皇室に“清貧”を求めれば「多過ぎる」という意見になり、その逆の意見もある。実情は、皇族費の多くは私的使用人の給与で消える。皇族方の現実の活動を考えると「私的使用人なしでのやりくりは難しい」(同)といい、宮家財政の問題は単純な解決法が見えてこない。〉(読売新聞1995年9月29日)
宮家の経済状況の聖域化
この問題では、宮家側は「お金にはまったく手をつけていなかった」という説明であったと報道されているが、それでも年間1000万円の現金となれば、皇族費の何割かにあたる巨額の金銭であり、それが生活費の一部になっていたとしてもおかしくはない。
宮家の経済状況がブラックボックス化、聖域化することによって、ある種のモラルハザードが進むのではないかという懸念はこのときからあったわけだが、その後本格的な議論はなされず、情報公開も進んではいない。
佳子さまも巻き込まれた結婚騒動
宮内庁が、宮家の私生活にどこまで立ち入り、そのお金の流れをどこまでチェックするのかという問題は、確かに難しい問題である。
宮内庁はこれまで、ひたすら皇族のプライバシーを守り、なるべく情報を公開しないという姿勢を守ってきた。それが「事なかれ主義」という対外的な姿勢だけの問題であればまだ良いが、内部で何が起きているのかを把握することができていなかったため、新しい時代に入っても、時折大きな問題が起きるようになっている。
眞子さまの問題で、いまも多くの国民が感じていることは、どうして早い段階で小室圭さんの金銭問題を把握し、迅速に処理できなかったのかという点だ。
皇太子妃の選定プロセスについては、非常に厳格な調査が行われているとされるが、宮家の皇族女性の結婚相手については、ほとんど放置状態である。秋篠宮さまと宮内庁の関係性がどのような状態にあるのか、外からはっきりとうかがい知ることはできないが、いずれにせよ、皇族がいまよりもより自由とプライバシーを求めていく流れが止まらないとするならば、それに合わせた新しい皇室像の構築と法整備を同時に進めなければならないだろう。
眞子さまの問題では、妹の佳子さまも、その「騒動」に巻き込まれている。
佳子さまは、その端麗な容姿もあって成年になられた頃から国民的人気が高まり、ファッションを特集した出版物がベストセラーとなるなど、同性からの人気も非常に高い「国民的アイドル」だった。
ところが2019年3月、眞子さまが結婚の延期を発表されたことについて「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」「姉の件に限らず、以前から私が感じていたことですが、メディア等の情報を受け止める際に、情報の信頼性や情報発信の意図などをよく考えることが大切だと思っています。今回の件を通して、情報があふれる社会においてしっかりと考えることの大切さを改めて感じています」と、はっきり自分自身のお考えを述べられたところ、結婚反対派からの反感を買うことになってしまうのである。
国民の税金で結婚するなという小室さんへの批判が佳子さまにまで飛び火し、「なぜ学校を卒業したのに就職しないのか」といった批判も飛び出した。以降、佳子さまはこの問題について口を閉ざしている。
一時金の金額を決定する「皇室経済会議」
皇族費のなかには、宮家の生活費のほか、皇族が初めて独立の生計を営む際に一時金として支出されるものと、皇族がその身分を離れる際に一時金として支出されるものも含まれる。皇族女性が民間人と結婚される際に支給される一時金が、まさにそれに該当する。
この一時金の金額については最終的に「皇室経済会議」のメンバーが決定する。ちなみに2020年12月現在のメンバーは次の通り。
◎衆議院議長 大島理森
◎衆議院副議長 赤松広隆
◎参議院議長 山東昭子
◎参議院副議長 小川敏夫
◎内閣総理大臣 菅義偉
◎財務大臣 麻生太郎
◎宮内庁長官 西村泰彦
◎会計検査院長 森田祐司
この皇室経済会議のメンバーは役職で固定されており、一時金の金額決定についてはほぼ前例を踏襲することになっている。眞子さまが民間人と結婚される際には、「皇族がその身分を離れる」ことになるため、1億5250万円(上限額)か、その9割程度の金額が一時金として支払われることになるだろう。
一部に「眞子さまが一時金の受け取りを辞退し、結婚式を挙げなければ、小室さんとの結婚も許される」という考え方もあるが、結婚と一時金は直接関係ないため、法的な解釈で言えば、眞子さまの意志と、一時金の金額決定は無関係ということになる。
いったん受け取って、それを寄付すれば良いといった主張をする識者もいるが、そうしたイレギュラーな「前例」を作ってまで結婚するというシナリオが実現するとは考えられず、もし眞子さまがどうしても小室さんと結婚するのであれば、一時金を受け取れるような状況になるまで、何らかの努力を重ねていく必要があるだろう。
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