皆さんと一緒に考えましょう

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

何年も経ってから障害が…“農薬大国”日本の現実 「見えない毒性」から身をも守るためには?

2021-04-16 15:30:00 | 日記
下記の記事は文春オンラインからの借用(コピー)です

 かつて“中国猛毒食品”について取材したことがある。実際、中国の現場では大量の重金属に汚染された畑で栽培されていたりと驚きの連続だったが、実はその頃から、国産食材も危ないと言われていた。それを改めて確認したのが、2018年に出た北海道大学の池中良徳准教授らによる論文である。日本人なら毎日のように飲んでいるお茶から、農薬が検出されたと書かれていたのだ。それも、スーパーで購入した茶葉39検体の全てから出ただけではない。量は少ないが、ペットボトルのお茶からも全て検出されたという。とても信じられなかった。もっとも、数値は国が設定した残留基準値内だから違反ではない。「だったら安全でしょ?」と思うかもしれないが、そうとも言えないから問題なのである
 いったい日本はどれほど農薬を使っているのだろうか。そこで、単位面積当たりの農薬使用量をOECD加盟国で調べたところ、なんと日本は、韓国と並んで大量使用国であることがわかった。もっとも、実質トップはOECDに加盟していない中国だが、数値に大きな差があるわけではない。
 農薬が本格的に使われるようになったのは戦後だ。最初はDDTなど有機塩素系だったが、1960年代に入ってその毒性が明らかになると、入れ替わるようにして有機リン系殺虫剤が登場した。ところが、子供の脳に影響を与えることがわかり、EUなどは早々にその多くを禁止したが、なぜか日本では今も大量に使われている。そして90年代に登場したのが、昆虫に強い神経毒性を持つネオニコチノイド系農薬(以下、ネオニコ)である。ネオニコが使われると世界各地でミツバチが群れごと消えて問題になったが、やがて人間の脳にも影響して神経伝達を攪乱する神経毒性があることが分かり、使用を禁止する国が相次いだ。が、これも日本は禁止するどころか、さらに残留基準値を緩和して使いやすいようにしている。
世界に逆行して農薬の使用を増やそうとする理由
 なぜ世界に逆行して農薬の使用を増やそうとするのだろうか。理由はいくつか考えられる。まず消費者が、虫食い痕やキズのない野菜を求めるため、農家もそれに合わせて農薬を使うからだ。さらに政府が経済を優先するせいか、残留基準値を緩めても厳しくすることがないためである。アメリカに言われるまま基準値を変えるのもそのせいだろう。それに対して、「国産だから安全」を鵜呑みにした国民が、おかしいと声を上げないことが最大の理由だ。文句を言わないから、政府も安易に基準値を引き上げるのである。
 農薬には様々な種類があり、出荷量を調べると(土壌消毒剤を除いて)殺虫剤より除草剤が多く、グリホサートが全体の六割超を占める。これは、除草剤「ラウンドアップ」の主成分で、あらゆる植物を枯らしてしまうことから、農家が「枯葉剤」と呼んでいるものだ。実際、この農薬を開発したのは、かつてベトナム戦争で枯葉剤の製造に関わったモンサント(現在は買収されてドイツのバイエル傘下)である。
 ちなみに、最近の研究から、製剤のラウンドアップの毒性は、その主成分であるグリホサートより100倍も強いと分かってきたが、なぜか安全性試験ではグリホサート単独の毒性しか調べていない。そのデータで残留基準値が決められているのだ。私たちの口に入るのはラウンドアップだから、毒性が100倍も変わるなら、基準値は必ずしも安全とはいえないだろう。
 ラウンドアップは、これまでの農薬の害と同じで発がん性が大きな問題になっている。例えば、アメリカ人が摂取する量から換算したラウンドアップをラットの一生に相当する2年間与え続けると、オスは肝臓や腎臓に、メスは乳腺に大きな腫瘍が早期にできたというフランスのセラリーニ教授の実験もそうだ。2015年には、WHOの外部研究機関である国際がん研究機関(IARC)も、グリホサートの発がん性リスクを、五段階のうちの二番目に高いグループに分類したが、欧州食品安全機関(EFSA)や米国環境保護庁(EPA)は否定して混乱が続いていた。しかし、17年にカリフォルニア州が発がん性物質に加えたことで流れが変わった。これを契機に、製造会社のモンサントが訴えられる事例が相次ぎ、18年には、なんと約320億円もの賠償金の支払いを命じられ、その後もドミノ倒しのように敗訴したのだ。
「少ない量なら安全」という“常識”は通用しない
 この裁判が注目されたのは、モンサントの膨大な内部機密文書が法廷に出されたことでだろう。のちに機密解除されたそれらの文書は、「モンサント・ペーパー」として公開されたが、そこにはラウンドアップががんを引き起こす可能性があることを、モンサントが早くから知っていたことなど、驚くようなことが暴露されていた。
 グリホサートの発がん性が広く知られるにつれ、この除草剤を禁止もしくは規制する国が増えていくが、日本はこの流れとは逆に残留基準値を大幅に緩和している。例えば2017年、今や主食にも等しい小麦を、5ppmから30ppmと6倍に緩め、ライ麦やソバは0.2ppmから30ppmと150倍も緩めたのもそうだ。ちなみにソバは中国産が多いと思われているが、実は18年度で輸入全体の約17%がアメリカ産である。
 発がん性を指摘されても、農薬に極めて「寛容」な日本では、ホームセンターに行けば、子供でもこの除草剤を買える。駐車場や家の周りの雑草取りに使うためである。ただ、世界的には遺伝子組み換え(GM)作物とセットで使うことが圧倒的に多い。除草剤耐性遺伝子を組み込んだ大豆などの畑に、ラウンドアップを空中から散布すると、雑草が枯れてGM作物が生き残るので、大規模農場には使い勝手がいいからである。その次に使用量の多いのは、農薬としてではなく、作物を枯らすために使われることだ。通常、小麦やソバは畑で枯れてから収穫するが、ラウンドアップで計画的に枯らすと歩留まりがいいと分かって世界中に広がっている。
 この農薬、植物に浸透していくので、大豆や小麦の食用部分にも残留する。もちろん洗っても落ちない。日本は年間に約2千万トンのGM作物を消費しているし、小麦も9割近くが輸入だから、検査すればほぼ全てから検出されるといわれる。もっとも、検出される数値はppb、つまり10億分の1グラム単位である。なんだ、そんな微量かと思うかもしれないが、実はネオニコもグリホサートも、最近の研究では、これまで「少ない量なら安全」と言われてきた農薬の常識が通用せず、ごく微量でも毒性を発揮することがわかっている。なぜ少量でも毒性が現れるのだろう。また、体内にグリホサートが入るとどんな健康被害が考えられるのだろうか。
農薬の人体への影響
 実はこの数年、農薬の発がん性以上に深刻な毒性が明らかになってきた。その一つが、ネオニコと同様、神経毒性があることである。この毒性は人間ではなく、ラットやマウスでの実験で分かったことだが、国が定めた食の安全基準もマウスなどの動物実験が基本であるように、マウスで起こることは人間でも起こりうることを忘れてはならない。
 私たちの日常生活は神経を流れる信号で成り立っているが、脳から出た情報は、シナプスというところで神経伝達物質が飛び出し、その先の受容体にくっついて伝わる。ところが、グリホサートの化学構造が、ある種の神経伝達物質と似ていて、ニセの伝達物質として受容体にくっついてしまうようだ。すると神経を興奮させて攪乱し、ダメージを与えてしまう。受容体にくっついて作用するのは、いわばドアの鍵穴に差し込む鍵と同じようなものだ。ドアを開けるのに鍵はいくつもいらない。一つあれば十分だ。これがごく少量でも強い神経毒性を発揮する理由である。
 その結果、体に何が起こるかについてはまだ論文も多くはないが、アメリカでの疫学研究では、グリホサートのばく露量と自閉症発症に相関関係があると報告されている。実際、妊娠したマウスにグリホサート製剤を含んだ水を飲ませたところ、このマウスから生まれた仔は、通常の水を飲ませたマウスの仔に比べ、自閉症スペクトラム障害のような異常行動を示したという論文が千葉大学から発表されている。
 日本が韓国と並んで発達障害大国であることはご存じだろうか。農薬の使用が多い国は自閉症の有病率も高く、明らかに相関関係があると言われていて、残念ながら日本はその当事国なのである。
 さらに困ったことは、グリホサートがくっつきやすい受容体は脳だけにあるのではないことだ。肝臓や心臓、腎臓、肺と多くの臓器に存在するので、臓器にどんな障害が起こるか全く予測がつかない。例えば、低濃度のグリホサートが腎臓の受容体に結合すると、活性酸素を発生させて細胞死を起こすという論文はその一例だ。
毒性は遺伝する
 グリホサートの毒性で、もっとも影響が大きいのは、世代を超えて伝わる毒性だろう。この毒性がグリホサートで起こることが分かったのは最近のことで、一九年に発表された論文である。
 それによれば、妊娠中の母ラットに、ごく低濃度のグリホサートを1~2週間投与したところ、母ラットも仔ラットもなんら影響がなかったのに、孫とひ孫の世代になって腫瘍や生殖機能不全、肥満など様々な障害が発生したという。別の実験でもやはり孫の世代で異常が現れている。人間で喩えたら、親が食べたグリホサートが、7、80年も経って孫やひ孫に障害となって現れたようなものだ。
 また、ごく少量のグリホサートでタンパク質を作る遺伝子発現のスイッチを狂わせ、高確率に腫瘍を発生させたという実験もある。問題は、遺伝子発現のスイッチが狂うと、その影響が次世代に引き継がれる可能性があるということで、「毒性の遺伝」が起きつつあるのだ。
 こうした毒性は、胎児から思春期までの子供がもっとも影響を受けやすいと言われている。妊娠中、あるいは出産後の子育て中はとくに要注意だろう。
 余談だが、新型コロナで重症化した人の腸内細菌叢を調べると日和見菌(健康な時はおとなしいが、体が弱ったりすると悪玉菌に味方する)が増えて善玉菌が減っていたという論文がある。ネオニコは腸内細菌叢を変えることがわかっているが、実はグリホサートも腸内細菌叢を変えるといわれている。簡単にいうと善玉菌を減らし、悪玉菌を増やすということだ。
 腸内細菌叢が変わるとどんな影響があるのか。腸は第二の免疫器官といわれるくらいだから、考えられるのは免疫の異常によって起こる自己免疫疾患だろう。今世紀に入って潰瘍性大腸炎など自己免疫疾患やアレルギー疾患が増加しているのは、農薬を中心とした化学合成物質の増加と無関係ではないだろう。腸内細菌叢の変化は、単に免疫力を低下させるだけではないということである。
 では、農薬による健康被害を免れるには、どうすればいいのだろうか。
「見えない毒性」から身を守るには…?
 厚労省の試算では、日本人はグリホサートを小麦から46%、大豆から20%摂っているそうだ。輸入小麦を使ったパンやパスタを食べているからである。この試算では、意外にも子供のグリホサート摂取量が多いのだが、おそらく原因はGM大豆や輸入小麦を使った菓子類だろう。だからといって、子供にお菓子を食べさせないというのは不可能だから、せめて朝食は、国産小麦を使ったパンに替えたい。
 また、最近は全粒粉のパンが健康にいいということでよく売れているが、全粒粉は通常のパンよりグリホサートが数倍も残留している。国産小麦でない限り、全粒粉のパンや菓子は避けるべきだろう。
 大豆の比率が高いのは加工品などにGM大豆が使われているからで、国産大豆使用と書かれていないものは避けることだ。
 グリホサートは、摂取すると体内から排出されるまで約1週間かかる。普通に食べ続けていたら体内から消えることはないが、これを変えたいなら、有機食材にするしかない。これはネオニコでの実験結果だが、5日間だけでも有機食材にすると、体内の農薬は半減。1カ月以上なら限りなくゼロに近づくそうである。
 農薬の毒性というと、2008年の中国製毒ギョーザ事件を思い出す人は多いが、実際はこんな事件は滅多に起こらない。今の農薬で何が問題かというと、何年も経ってから障害が現れるなど、その毒性がすぐ現れないことである。今は「病気になるのも自己責任」といわれる時代だ。農薬のことを知らなくても、生きることに困るわけではないが、「見えない毒性」から自分と自分の家族を守りたいと思うなら、やはり知っておくべきだと思う。
 
追記:私が家庭菜園をしていた時にきゅうりにはうりバエが爆発的に増え花や葉っぱを食われ実がならない。なすにはアリがアブラムシを運んできて下の方の葉から枯れてゆきます。農薬のいらないのはさつま芋とかニンジンなどの根野菜くらいでした。ブッロコリなどは蝶々が卵を産み付ければ青虫の糞で見た目にみじめで食べる気になりません。スーパーで売っている野菜は野菜工場で生産されいるもの以外は皆農薬が使われていると思います。農薬を使わないと農家はやっていけません。除草剤を使わないと草取りが大変です。


コメントを投稿