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「私は死ぬんですか」と聞かれ…新型コロナ病棟で看護師が直面していること

2021-06-22 08:30:00 | 日記

下記はヨミドクターオンラインからの借用(コピー)です

新型コロナウイルス感染症患者のケアに従事する看護師は、日々の実践のなかで、どのような問題に直面しているのか。
報道を見て抱く「特別な恐怖感」
 新型コロナの患者さんからどんな言葉を投げかけられているのか、ある看護師に聞いてみました。すべての患者さんの意識が清明というわけではありません。そのなかでも、「私は死ぬんですか」とダイレクトに問われることがあるそうです。
 救命救急センターで長年働いていて、他の病気の場合にも同様に尋ねられることがあるそうですが、コロナに関しては、報道などを通して、重症化したり、亡くなったりしたケースのことを耳にし、特別な恐怖感を抱いているのではないかといいます。
 たとえば、酸素マスクを着けている患者さん。看護師から見ると、酸素の供給量が少なくできていて、少しずつ改善されているのですが、本人にとってはマスクは着けたままですし、状況が良くなっていることがわかりません。看護師は、良い兆候や悪くなっていないことをできるだけわかりやすく伝えるようにし、不安を和らげるアプローチをしていくそうです。
 新しい感染症のため、最初の頃は、長期的な見通しや予後もわからず、患者さんへの説明の仕方も不明瞭になってしまい、とてももどかしかったそうです。こうした状況も、患者さんを不安にさせているのではないかと語ります。最近は、少しずつデータが蓄積され、ある程度、先の見通しをふまえた説明ができるようになったといいます。重症患者では、本人ではなく、まず家族に状況を説明することも多いのですが、本人が理解できる状況であれば、肺の画像など視覚的な材料も活用しながら、根拠をもって話をしていくよう心掛けているそうです。
映像での対面でショックを受け
 家族内で感染し、同じ病院に入院している場合、重症度によって入院する病棟が違ってきます。自由に病棟を行き来し面会できるわけではないため、例えば集中治療室に入院中の80代の母を心配し、50代の娘が書いた手紙を、ビニール袋に入れて本人へ見せたこともあったといいます。さらに、タブレット端末で顔を見せ合うこともできます。
 ただ、重症度の高い患者さんの場合、薬剤の影響で意識がもうろうとしている場合もあります。映像を通した対面をすると、思った以上にリアリティーがあり、かえってショックを受けてしまったこともあったそうです。相手の顔を見て安心したいという思いは大切にしつつ、双方にとって負担にならないよう、再会がかなわない場合は、いまはなぜ映像を通して対面することが難しいのかをお話ししながら、様々な方策を検討し、何らかの形で交流できるようタイミングを見計い、対応しているそうです。
「次に電話がかかってきたら、亡くなる時かも」と…
 医療において、患者の家族は重要な人物です。患者の状況を説明し、しかるべき時には直接会って話をします。通常時だと面会は自由ですので、来院した家族に看護師が話をするのはよくあることです。ただ、この新型コロナウイルス感染症の 蔓延まんえん で、家族が濃厚接触者扱いとなることが多く、直接会って話をすることがほとんどなくなっているといいます。その場合、看護師はカルテ上の記録から家族の動向をつかんでいくしかないそうです。
 先日、この看護師の病棟に、家族から「患者の状態を知りたい」と問い合わせがあったそうです。コロナに限らず、個人情報保護の観点から、病院から家族へ電話をして説明することはあっても、外からかかってきた電話に対して、患者さんの詳細な情報を伝えることはしません。
 その時、看護師が家族から言われたことは、「毎日、毎日、『電話が来るかもしれない』と待ち続ける気持ち、『次に電話がかかってきたら、亡くなる時かもしれない』という恐れ、そういう思いでいる。それをわかってほしい」ということでした。
家族は「変わりない」ことを知りたい
 担当医はできるだけこまめに状況を説明しているそうですが、忙しく、毎日は電話をかけられないこともあります。看護師は「私たち医療者が、状態に変わりないから電話をしなかったとしても、家族にはそれもわからない。むしろ『変わりない』ことを、家族は知りたいのだと思う」と語ってくれました。
 重症の患者を見守る家族のケアをするのも、看護師の重要な役割です。このコロナ禍では、それも普段のように行えない状況があることがわかります。患者と家族は、互いの存在が大きな支えとなっていることが多く、制約が多いなかでも、その結びつきをどう保っていくかは、この新しい感染症がもたらした課題の一つと言えるでしょう。(鶴若麻理 聖路加国際大学准教授)



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