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アナフィラキシーが怖い人に知ってほしい安心度

2021-08-16 14:30:00 | 日記

下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です  記事はテキストに変換していますから画像は出ません

ファイザー製新型コロナウイルスワクチン(コミナティ筋注、以下、ファイザーワクチン)は、日本を含め、世界中で広く用いられています。このワクチンが日本に導入された当初、医療従事者向け先行接種事業で安全性情報が収集されました。
私は、ワクチンの安全性を考えるうえで、特に副反応として挙げられているアレルギー反応の一種、アナフィラキシーに着目し、その情報をまとめた厚生労働省公開データを共同研究者とともに2次的に解析しました。
その結果が、2021年6月14日にイギリス・オックスフォード大学出版局が発行する国際的な医学誌『Journal of Travel Medicine(旅行医学ジャーナル、JTM)』誌に短報として公開されました。
アナフィラキシーとは、アレルギー物質(アレルゲン)が体内に入った後、数分後から十数分以内に起こる過敏反応のことで、皮膚や粘膜、呼吸器や循環器など、複数の場所に同時に症状が表れるのが特徴です。このうち、急な血圧低下や意識障害が起こるものを、アナフィラキシー・ショックと呼びます。
日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン」によると、具体的な症状は発疹(じんましん)や赤み、かゆみ、唇やまぶたの浮腫、腹痛、嘔吐、喘鳴(ぜんめい・呼吸がゼーゼーする)、呼吸困難、血圧低下、意識障害など、実にさまざまです。
約18万人の医療従事者の接種状況から
国立病院機構など100の医療機関を対象に、医療従事者向けファイザーワクチンの先行接種が2021年2月17日から始められました。これは、日本人での安全性情報が当時は不十分だったため、まず新型コロナウイルスへの感染リスクの高い医療従事者で接種を行い、安全性のデータを集めようという政策的意図があったと考えられます。
3月11日時点で約18万人の医療従事者が1回以上の接種を終え、その副反応発現状況が3月12日の「第53回厚生科学審議会」の資料として公開されました。
しかし、生データとして公開されているだけでは、その医学的解釈は難しく、また、医学界で重要視されている第三者からの査読を受けた論文の形にまではなっていないため、その評価も困難です。そこで、この資料の中のデータを2次解析し、医学論文としてまとめたのです。
結果は以下の通りです。
アナフィラキシーを発現した人数は37名、平均年齢は40歳、94.5%が女性でした。アナフィラキシーの発現率は、100万回接種当たり204.2回でした(注:ワクチン副反応の頻度はこのような表現を使います、%で表すと「0.02%」になります)。接種から30分以内に発現した方は37名中31名いました。
アレルギー歴がある人は21名です。その内訳を見ますと、薬あるいはワクチン15名(最多:インフルエンザワクチン5名)、食品10名(最多:卵4名)、化粧品4名と続きました。アナフィラキシーの基準を判定するブライトン分類が評価されたのは17名で、うち7名が「因果関係あり」と判定されました。
本データから何がわかったのでしょうか。
アメリカよりも日本のほうが数値は高く出たものの…
まず、日本人のアナフィラキシーの発現率は高いという可能性です。
アメリカ疾病対策センター(CDC)のデータによると、2020年12月14日から翌年1月18日にかけてアメリカではファイザーワクチンが約994万回接種され、100万回当たり4.7件の頻度(約0.0005%)でアナフィラキシーが認められました。
一方、今回の日本人を対象とした結果は204.2回と、アメリカの結果よりかなり高い発現頻度が示されました。
ただ、この結果の解釈には注意が必要です。アナフィラキシーの定義が曖昧だったため、本当の診断例ではなく疑い例まで多く含まれていたこと、また、医療従事者対象でアナフィラキシーに注意すべきと事前に知らされていたため軽微でも念のための報告が多く行われていたことが考えられます。そのため、過剰報告になり実際よりかなり多めの数字が初期の段階では出ていたのではと推測されます。
さらに、この数字を考えるうえで着目すべきポイントがあります。
まず、37名のうち35名が女性です。そして、57%(21名)が何らかのアレルギー歴を有しておりました。特筆すべきなのは化粧品です。化粧品には、ポリエチレングリコール(PEG)が含まれているものが増えています。PEGとは、成分を安定化させたり、効果を長持ちさせたりするために添加する物質で、医薬品や高級化粧品にも使用されています。ファイザーワクチンにもPEGが添加されていますので、これがアレルギー原因物質の可能性が考えられました。その他、ワクチンアレルギーは計7名(インフルエンザワクチン5名に加え、肝炎ワクチン2名)おり、ワクチンアレルギー既往がある人も注意が必要です。
今回、ファイザーワクチンによる日本人のアナフィラキシーの発現頻度は、多めに見積もられた初期の報告では0.02%という結果でした。
アナフィラキシー発現は非常にまれだが注意は必要
それでも、この値は決して絶対的に高くはありません。にもかかわらず、今回のアナフィラキシーを重要視する理由は、極めて多くの方が接種を受けるため、「万が一」を想定する必要があるからです。
具体的には、専用の救護スタッフの配置、昇圧薬や抗アレルギー薬などの準備、スムーズな病院緊急搬送の手続きなどが挙げられます。一般人対象の接種事業では、われわれ医療従事者はアナフィラキシーに備えて入念に準備を行ってきました。
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その甲斐あってか、2021年8月4日に公表された厚生労働省の資料によれば、日本のアナフィラキシーの発現頻度は約0.0005%(アナフィラキシー360件/推定接種回数7400万回余り、100万回接種あたり5件の頻度)という結果で、アメリカ疾病予防管理センターの結果と同程度でした。さらに、そのほとんどは回復し、死亡は認められませんでした。
ですので、ファイザーワクチンの接種におけるアナフィラキシーは非常にまれな副反応として注意は必要なものの、日本人での接種を依然として推奨できる安心材料になると考えられ、ひとまずホッとしている次第です。
橋本 貴尚 : 薬剤師



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