下記はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です
新型コロナウイルスの影響は承知の通り、日本の経済界に混乱を招いた。国や自治体からテレワークなどを要請され、古い企業文化が根深く残る内資の会社は、その対応に四苦八苦した。ただ、企業活動を継続できているのであれば、それはいい方だ。東京商工リサーチによると、新型コロナウイルスの感染拡大が影響した倒産件数は、3月は全国で25件だったのが、4月末には114件まで膨れ上がった。
生きるか死ぬかの瀬戸際の中で、各企業の人事も対応を迫られた。春は定期異動の季節だ。更なる混乱を避けるため異動の発令を止める会社も出てきたが、中には社員が赴任先に引っ越してから、発令がストップするような事態も出ているようだ。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響で解雇や雇い止めされるケースが全国で2100人を超している。そして、今春に高校や大学などを卒業した生徒・学生に関しては、3月31日時点で23社の58人が内定取り消しとなった。
そんな中、せっかく入社できたのに、入社0日で会社を辞めた新入社員がいる。一体なぜ、ゆとり世代の彼は、会社を辞めたのだろうか。そこには、衝撃の言い分があった。
「勝ち組企業」を初日に退社したゆとりの言い分
「うちの会社は、とてもいい会社だと思います。面接官の人柄もいいし、給与も手取り月収35万。同級生から見れば勝ち組と言える企業で、ホワイト企業だったので。でも……」
今年3月に慶應義塾大学を卒業した川崎慎吾さん(仮名・22歳)は、昨年の新卒採用で見事内定を獲得した資本金数百億円の大手コンサルティング会社について、そう振り返る。しかし、一つだけ同期の50人以上のメンバーと異なる点がある。彼は今、その会社に在籍する社員ではないのだ。なんと川崎さん、入社初日にして“退社”しているのだ。しかも、会社には告げずに……。
なぜ働く前から辞めたのか。そしてなぜそれを告げないのか。話を聞くと、働くことへの意義が見いだせない若者像が浮かび上がってきた——。
都内の偏差値70の有名私立中高一貫男子校出身の川崎さん。中学時代から続けた陸上の経験からか身体は引き締まり、落ち着いた好青年といった印象を受けるが、大学3年生を迎えて取り組んだ就職活動に身は入らなかったそうだ。
ノータイ、ノージャケットで最終面接に挑む
「振り返れば就活をする覚悟も、しない覚悟もなくて中途半端でした。それがよくなかったのだと思います。就活サイトに登録したものの、エントリーシートもめんどくさくて出せなかったり、面接を無断欠席して行かなかったり……。でもなぜか1社だけ最終面接まで進んだんです。ただ、当日スーツのジャケットとネクタイが見つからなくて、遅刻して探すか、このまま行くか迷って、ネクタイもジャケットもなしで最終面接に行きました」
しかし、結果は内定。あっけなく川崎さんの就活は終わった。
「面接はたいした話はしていません。SPIテストの難易度が高かったので、地頭の良さを重視していたのではないかと思います」
晴れて内定を獲得し、内定者向けの研修が始まった。彼が内定先に違和感を覚え始めたのはこの頃からだった。
「10月から毎月課題が出されました。内容は、課題図書の要約と感想文、エクセルなどのオフィスソフトの操作、英語ニュースの翻訳。無理を強いられたものではなかったですし、ちゃんと新卒を育てるいい会社じゃんと思いました。ただ、僕は中学生のときから課題を課されるのは苦手だったんです」
「アルバイトと海外旅行で課題は一つも出せませんでした」
結果、川崎さんは課題を提出ができず、会社から何度も催促の連絡が入ったという。
「人事担当者は、電話口で『遅れてでも出そう』と優しく励まし、11月、12月を過ぎて年をまたいだときには『1月分だけでも』と譲歩して連絡してくれたんです。でも、こっちはバイトをしたり、卒業旅行でヨーロッパに行ったりしているうちに、どんどん月日は流れていく。時間もないしやる気もない。最終的に課題はアルバイトと海外旅行で一つも出せませんでした」
こうして迎えた4月1日。
入社日のことを「Xデーですね」と振り返る川崎さん。
当日の彼の動きを朝から振り返っていこう。
「前日には、地下鉄に乗って、駅へ着いて、ビルに入って……と会社に行くシミュレーションをしていました。でも課題をやっていない後ろめたさで、顔を合わせたくない自分もいました。結果、あっという間に朝を迎えて、気づいたら家を出なくてはならない11時。でもスマホをいじったまま11時は過ぎていました。『あ、終わったんだな』って何かが吹っ切れてそれまでです」
入社初日にバックレる。親にはまだ言ってない
こうして、川崎さんは入社初日にして内定先を無断欠勤した新人の第1号となった。
「もちろん、後悔することもあります。会社ってすごいじゃないですか。やることをこなせば月35万ももらえる。会社法人はリバイアサンみたいなものすごいデカい悪魔です。あの一部になれるなら心強いと思います」
川崎さんが終始口にしていたのは、「出社時間が過ぎたので終わりだと思った」という言葉。「時間が解決する」としばしば言われる訓言を、彼は悪い意味で倣ってしまった。
「今思えば、こういう意思決定を下した理由は2つあると思います。一点目に、僕には社会の役に立ちたいとか高尚な欲望を持っていないということ。二点目に、僕は普通に家族を持って生活したいという欲望を抱いていないということ。守るべきものもないし、社会貢献もしたくない。だから、結果的にこういう状況になりました」
現在、彼は仕事を辞めたことを親に言えていないという。
ポルノ作品を撮りたいからゴールデン街で働こうかな
「いまは知人に紹介された医療事務のアルバイトで週2日働いて就活しようかなと思っています。ただ、やりたいことといえば、ポルノ映像作品を撮りたいというのがあります。ただ、まったくの未経験なので、人脈作りが必要かなと。仕事をしながらゴールデン街とかで働いてみたいと思っています」
サラリーマンがやれるものならやりたい。でもやれなかった。
相反するもう一人の自分に耳を傾けるように、川崎さんは将来を模索していた。
さて、コロナで日本中が混乱している中でも、多くの組織には今年も新入社員が入ってきた。あなたの職場にはどんな新入社員が入ってきただろうか。是非教えてほしい。
ツマミ 具依フリーライター
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