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「自分はこんな所で働く人間じゃない」 “モンスター社員”に共通する“哀しい生態”とは

2021-03-17 15:30:00 | 日記

下記の記事は文春オンラインからの借用(コピー)です

平気で嘘をつく。被害者を装い、同僚を陥れる。見事な演技力で周囲を翻弄し、職場の人間関係をクラッシュさせる……。社会保険労務士の石川弘子氏のもとには、そうした“モンスター”としか例えようのない社員に関する相談が多数寄せられているという。
 ここでは同氏による著書『あなたの隣のモンスター社員』(文春新書)を引用し、理解に苦しむモンスター社員の“生態”を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)
◇◇◇
モンスターの心理
 モンスター社員を見ていると、「どうしてこんな言動を取るのだろう?」と理解に苦しむ。モンスター社員と一口にいっても、タイプは様々だが、それぞれ問題となる言動にフォーカスして、その背景を理解することは、モンスター社員対策として有益だろう。モンスター社員が起こす色々な問題行動の根本にある心理はある程度共通している。
    *  歪んだ自己愛
    *  プライドの高さ
    *  自信の無さ
    *  コンプレックス
    *  嫉妬
    *  不満、怒り
    *  傷つきやすさ
    *  依存的
 これらの心理から、様々な問題行動が発生する。その表われ方は人によって異なる。例えば、同じ「自信の無さ」であっても、それが「自慢ばかりする」という形で表れる人もいれば、「パワハラ」という形で表れる人もいる。
 次に、私が見たモンスター社員の問題行動の裏にある心理を紐解いていこう。大抵のモンスター社員は、これらの問題行動をいくつか同時に起こすので、実際の心理はもっと複雑だろう。また、私自身は、心理学の専門家ではないので、これが正しい見解なのかは分からない。しかし、実際にモンスター社員に話を聞くなかで、「こういった要素があるのではないか」と私自身が感じた事を書いてみることにする。
どうして会社批判や嫌がらせをするのか?
 まず1つ目のポイントは、「その人が、仕事やプライベートも含めた人生に満足しているかどうか?」という点だ。「やりがいのある仕事をして、いい同僚に恵まれ、思いやりある友人や家族に囲まれている」という人で、実はモンスター社員だった、という例を私は見た事がない。モンスター社員の場合、仕事への不満や、人間関係でのトラブル、家族関係の不和などを抱えているケースが多い。過剰な要求や言いがかりなどを繰り返すモンスター社員の心の奥には、世の中への不満や怒り、自分の人生を肯定できない鬱積した思いなどが見えることがある。
「本来、自分はこんな所で働く人間じゃない」
 M山は、40代の男性で、前職は誰もが知る有名企業でエンジニアをしていた。しかし、激務から体調を崩し、仕事を辞めて田舎に帰ってきた。体調も良くなり、地元で再就職をしようと就職活動を始めたが、自分のキャリアを活かすような仕事はなく、ようやく介護関係の会社に就職が決まった。しかし、今までと全く違う仕事になかなか馴染むことができず、同僚の女性従業員から、何度も注意を受ける事があった。そのうち、「前の仕事は、給料がこんなに高かった」「前の職場では、管理職で部下が20名くらいいた」「前の職場は大手企業だったから、福利厚生がよかった。休暇も毎年2週間くらい取れた」「この会社はワンマン社長が好き勝手に経営している」と会社の批判をするようになっていった
 その話を耳にした社長が、
「40代での再就職は難しいだろうと思って拾ってやったのに、どういうつもりだ」
どうして部下や同僚をいじめるのか?
 特定の部下や同僚を目の敵にして虐めたり、馬鹿にしたりする人が、実は深いコンプレックスを抱えていることがある。派遣会社で派遣社員の管理を行うK田は、営業所長として営業所の管理スタッフ採用なども担当していた。K田は、大学卒業後、職を転々として派遣会社に入社したのだが、自分の学歴についてコンプレックスを抱いていた。
 スタッフの採用面接で、自分の出身大学より偏差値が上の学校を卒業した人に対して、
「いい大学出ているからって、仕事が出来るとは限らない」
「俺の知人でも○○大学を出ている奴がいるが、そいつは今だに役職がついていない」
 と、面接に全く関係のないことを言って応募者を戸惑わせていた。
 あるとき、本社からK田の部下としてやってきたA木が、有名私立大学を出ていると知ると、A木に対して、何かにつけて嫌みを言うようになっていった。
自分よりいい学歴の部下を徹底的に虐める
「あの大学を出ているのに、こんなことも出来ないのか? せっかくいい学校出ても意味がないな」
「○○大卒って聞いたから、期待していたのに、使えない」
「本社も学歴だけで採用するから、ろくな人材が採用できない」
 などと頻繁に言うので、A木は徐々にメンタル不全になっていった。本社からそのことで注意を受けたK田は、
「○○大卒のお坊ちゃんは、ちょっとした事ですぐに本社に泣きつく。やっぱりいい大学出ている奴は駄目だな」
 と、A木に聞こえるように嫌みを言うのだった。A木はついに出勤できなくなり、異動を願い出て、別の営業所へ移っていった。
 K田は、その後も自分よりいい学歴の部下が来ると、徹底的に虐め、次々に部下を潰していった。この事態を重く見た本社の人事がK田を降格し、賃金を下げると、K田は案の定、会社に対して噛みつき、労働局の紛争調整委員会にあっせん(*)を申請した。結局、最終的に給与の6カ月分を支払う事で、K田は退職していった。
コンプレックスが肥大して…
 どんな人でも、多かれ少なかれ自分に対するコンプレックスを抱えている。しかし、それが極端に大きくなると、コンプレックスから自分を守るために、周囲の人間を攻撃する人がいる。K田の場合、自分の学歴について、周囲からバカにされないように、逆にその部分を攻撃する事によってバランスを保っていたのだろう。健全な人間関係を築くために、自分を肯定するというのはとても重要な事だ。しかし、K田の場合、自分の学歴を受け入れることができず、心の底では自分を否定していたのだろう。その思いが、部下へのいじめという形で噴出したのだ。
どうして自慢するのか?
 どうでもいいような自慢話を、話の脈絡に関係なくしてきたり、自分に注目があつまるよう、派手な言動で周囲の興味をひく人の根本にあるのは、自分への自信のなさだ。自己評価が低く、傷つきやすいので、「自分を良く見せたい」「周囲にすごい人だと思われたい」「本当は、こんな自分になりたい」という気持ちが、自慢や派手な言動につながる。時に、内容が現実味を帯びず、周囲から「うそつき」とされてしまうこともある。
 また、注目を浴びる事が大好きで、自己愛の強い人も自慢をする傾向がある。女性の場合、露出度の高い服を着たり、派手なメイクなどで異性の関心を引こうとする事もある。こういった人も、根本には自信のなさがあるのだろう。注目を浴びる事で、自分の心のバランスを取っているように思う。
男性従業員を次々と誘惑し…
 私の知人が勤める職場に、まさにこのタイプの女性モンスターがいた。そのモンスター社員は30歳前後の独身女性で、地方の短大を出て地元企業で数年働き、上京して都内のWEB制作会社で働いていた。口を開けば、自慢話ばかりで、
「自分の家は名家だ。父親は会社を経営する地元の名士だ」
「学生時代から十分な小遣いをもらっていたので、アルバイトなどした事がない」
「実家の庭の池には、1匹数千万円の錦鯉がいる」
「自分の出た短大は、地元では有名なお嬢様短大だ」
 といった話を繰り返し語る。自慢だけなら聞き流せば害も無いが、露出度の高い服で、男性従業員に迫り、次々と誘惑する。それも、同時期に何名もの同僚と関係を持つため、職場内の空気はギクシャクしていった。そのうち、「体調が悪い」「怪我をした」などと、会社を頻繁に休むようになった。知人が心配して尋ねると、
「彼氏と連絡が取れなくて、不安で食事が取れない」
「彼氏に殴られて、顔に痣ができたので、外に出られない」
 などと訴えた。彼女はその知人が同情して心配してくれるだろうと思ったのだろうが、知人は呆れてしまい、
「プライベートに口を出すつもりはないが、社会人として仕事にプライベートを持ち込んだり、職場の何人もの男性と関係を持つのはどうなのか?」
 と注意した。すると、逆上した彼女は、この知人を無視したり、仕事上の連絡をわざとしないなどの嫌がらせをしたりするようになった。当然仕事上も混乱が起こり、クライアントに迷惑をかけてしまうような事態に陥った。
 このような場合、本来は上司が厳しく注意するべきなのだろうが、なんと上司も彼女と関係を持った事があったらしく、結局何もお咎めがなかった。職場は散々引っかき回され、何人もの退職者を出し、ついに大口のクライアントも失った。
自己評価の低さがメンタルに与える影響
 この女性のように、自分が注目を浴びるために、自慢をしたり、自分がいかに不幸であるかを大げさに語るモンスター社員がいる。自慢話に関しては、自分自身の事ではなく、家柄や両親の職業、友人関係などを自慢する人が多いようだ。おそらく自分自身を認めていないので、自分の中には自慢できるものがないと無意識に思っているのだろう。自己評価が低いため、メンタル的に不安定なのだ。メンタルが不安定なため、一時の安らぎや親密さを求めて、次々と異性と関係を持つ場合もある。また、常に注目を浴びたいという気持ちが、派手な言動や自慢、虚言という形で表れるのだ。
 と叱責した。すると、M山は、ますます会社に対して反抗的になり、待遇面で不満を持っていた従業員などを味方に引き入れて、会社に対して嫌がらせをおこなうようになった。あるときは、管理者の机にゴミをぶちまけたり、あるときは、従業員全員のタイムカードをシュレッダーにかけたりなど、常軌を逸した行動にまでエスカレートしていった。たまりかねた会社が、M山を解雇すると、今度は弁護士を雇って、解雇無効の争いを起こすという始末だ。最終的には会社がいくらかM山に支払って何とか退職してもらった。
 M山は、大手企業でエンジニアをして管理職だったというくらいなので、おそらく優秀な人だったのだろう。ところが病気で自分の人生が大きく変わってしまい、鬱積した気持ちを抱えていったのだと推測する。
「本来、自分はこんな所で働く人間じゃない」
「もっと自分の能力は高いのだ」
 というプライドが、不満や怒りへと変わっていったではないか。その思いが、会社への批判や嫌がらせといったゆがんだ形で噴出した。会社批判、過剰な要求、嫌がらせ、非常識な言動の裏には、こういった感情が隠れている事がある。



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