内分泌代謝内科 備忘録

COVID-19 後の脊髄出血

SARS-CoV-2 感染と脊髄出血: 系統的レビュー
Neurosurg Rev 2023; 46: 300

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)感染の神経学的症状は多様である。そのうちのひとつに自然脊髄出血 (spontaneous spinal hemorrhage: SSH) がある。

SSH は、早急な治療が必要な神経外科的有害事象である。我々は、SARS-CoV-2 と SSH の関連を調べ、合理的な臨床的アプローチを明らかにすることを目的とした。

著者らは、SSH と SARS-CoV-2 感染に関して2023年1月25日までに発表された研究をPubMed、Scopus、Web of Science、Google Scholarで検索した。各データセットについて、(1) 介入後早期の神経学的状態、(2) 死亡率、(3) 介入後の神経学的リハビリテーション転帰の 3 つのアウトカムを検討するプール推定を行った。1341 件の結果を検討した結果、7 件のデータセットが最終的な解析のために特定された。

患者の 57%は女性であった。患者の 28%が重篤な全身感染を経験していた。SARS-CoV-2 感染から神経学的症状発現までの平均間隔は 18 日であった。疼痛と感覚運動障害が最も多かった(57%)。脊髄硬膜外血腫(EDH)が最も多い症状であった(71.4%)。3 例は保存的治療、 4例は脳外科的治療を受けた。疼痛と感覚運動障害は最も治療効果が高かった(100%)が、括約筋は最も治療効果が悪かった(0%)。長期経過観察では、患者の 71%が良好な回復を示した。

SARS-CoV-2 に関連した SSH はまれな感染合併症であり、しばしば分かりにくい (insidious) な症状を呈するため、臨床的に強く疑うことが必要である。SARS-CoV-2 に感染し、新たな神経学的症状や不釣り合いな頚部痛や背部痛を有する患者は、中枢神経軸 (neuroaxis) の評価が必要である。COVID-19 後の SSH の治療には、神経外科的介入と保存的管理の両方が有効な選択肢である。SSH の治療に対して標準的なアプローチは得られていないが、空間を占拠するような病変は脳外科的切除-減圧術に適しており、より緩徐な病変は保存的治療が可能である。これらの選択肢は、より大規模な研究でコンセンサスが得られるまで、個々に調整されるべきである。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37966587/
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